建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

 副局長インタビュー 胆振総合振興局副局長(建設管理部担当) 兼 日高振興局

自然災害から地域を守る事業推進と観光・物流など多彩な産業を支える交通ネットワークを強化

 北海道 胆振総合振興局副局長(建設管理部担当) 兼 日高振興局 副局長
木島 昇悦
 きしま・しょうえつ
 昭和32年4月20日生、帯広市出身
 徳島大学工学部建設工学科卒
 平成17年4月 釧路土木現業所事業部道路建設課長
 平成19年6月 建設部土木局道路課主幹(登別市派遣)
 平成21年4月 札幌土木現業所企画総務部企画調整室長
 平成22年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室地域調整課長
 平成23年6月 十勝総合振興局帯広建設管理部事業室長
 平成25年4月 建設部建設政策局建設管理課技術管理担当課長
 平成26年4月 建設部建設政策局次長((一財)北海道建設技術センタ一派遣)
 平成27年4月 現職

―― 副局長就任にあたっての抱負
木島 私たちの仕事は、地域住民の方々の安全安心を確保するとともに、地域産業の活性化を支えるため、インフラを整備し、それをしっかり保全していくことが重要です。  特に、災害発生時における初動体制が重要であり、職員が機動的に与えられた役割を果たせるよう、日頃から危機管理意識を徹底することと併せて、関係機関との連絡体制や情報共有を万全にしておくことが必要と考えています。  そのため、建設管理部内においても、本部と出張所等を含めて、風通しのよい職場づくりを目指しています。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組
厚幌ダム(厚真町、H27年5月撮影)
木島 胆振及び日高管内は東西方向に長く、太平洋に面していることから、台風や高潮・津波などに影響を非常に受けやすい地形です。  そのため、地域生活の安全安心の実現に向けて、河川、砂防、海岸保全などの防災施設をはじめ、災害に強い道路の整備を引き続き、優先して進めていきます。  河川及びダム事業としては、厚幌ダム(厚真町)が、H26.10月からダム本体工事に着手(契約)、ダム本体は現地採取した礫材料をセメントで固めた、CSGコンクリートが採用され、今年6月から打設を開始し、付替道路や付属施設等の工事を含めて、平成29年度の完成を目指します。また、厚幌ダム事業と共に、下流の厚真川(厚真町)の整備のほか、安平川(苫小牧市・安平町)や知利別川(室蘭市)等の整備を推進します。  砂防及び海岸保全事業としては、トマチャナイ川(新冠町)の事業を推進し、栄の沢2号川(安平町)で新規着手し、池売川(平取町)、穂別沢川(むかわ町)等の完成を目指すほか、室蘭市内4箇所で急傾斜地崩壊防止対策を、上久保内地区(壮瞥町)と様似地区(様似町)で地すべり対策を推進し、浦河井寒台(2)地区(浦河町)では急傾斜の完成を目指します。また、黄金海岸(伊達市)、虎杖浜海岸(白老町)を引き続き整備していきます。  道路事業としては、有珠山噴火に備えた滝之町伊達線(伊達市・壮瞥町)等の整備、落石などの危険個所対策として、大岸礼文停車場線(豊浦町)、静内中札内(新ひだか町)等の整備、通学路などの安全対策として、上向別浦河停車場線(浦河町)の整備を進めます。
── 農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取組
静内中札内線(新ひだか町)
木島 胆振及び日高管内は、室蘭市や苫小牧市を中心とした工業、洞爺湖や登別温泉を中心とした観光業、地域ごとに特色ある農業や水産業、日高の軽種馬生産など、多種多様な産業が展開されています。  これらの地域産業を支える基盤整備として、観光や物流に欠かせない交通ネットワークや水産物の供給基地としての漁港整備を引き続き進めていきます。  道路事業としては、観光地へのアクセス強化として、地球岬周辺の中央東線(室蘭市)、二十間道路の桜並木への平取静内線の整備(新ひだか町)の整備を行うとともに、室蘭方面から洞爺湖周辺へ通じる上長和萩原線(伊達市)に新規着手するほか、日高自動車道へアクセスする比宇厚賀停車場線(日高町)等を整備し、交通ネットワークの強化を図ります。  漁港事業としては、2000年の有珠山噴火を契機に着手している虻田漁港大磯分港(洞爺湖町)の整備推進をはじめ、歌別漁港(えりも町)等に新規着手し、荻伏漁港(浦河町)の機能強化事業の完成を目指します。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージ
虻田漁港大磯分港(洞爺湖町)
木島 建設産業は、社会資本の整備はもとより、地域の経済や雇用を支えるとともに、災害時の緊急を要する対応から日常的な維持管理の対応まで、広い範囲で地域の安全・安心を担っており、地域にとって重要な役割を果たしていると認識しています。  特に、胆振及び日高管内は、2000年の有珠山噴火災害や2003年の台風10号による豪雨災害をはじめ、幾度となく大きな災害に見舞われており、その度に、地域の地理や事業に精通した地元建設業者を中心に、地域の安全安心の確保のため、尽力して頂いていることに大変感謝しています。  建設業の経営環境は依然厳しい状況にあり、若年入職者の減少に伴う技術者の不足や就業者の高齢化等により、技術の継承が難しくなっていると聞いていますが、私達の欠かせないパートナーとして、これからも地域の中心となって、社会に貢献されることを期待しています。
厚真川(厚真町)

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