建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

大宮国道事務所の事業概要

 国土交通省 関東地方整備局 大宮国道事務所 所長 真田 晃宏

 埼玉県は、歴史的に日光街道や中山道など江戸を起点とする放射状の街道が発達し、浦和、熊谷などの主要都市も、この街道筋の宿場として発展してきました。
 このような背景から、現在の道路網も関越道、東北道の高規格幹線道路および、国道4号、17号などの南北に伸びる主要な幹線道路が、県内道路網の骨格となっています。
 大宮国道事務所では、これら南北軸の国道4号、17号のほか、東西軸のネットワークを形成する首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、国道16号の整備、管理を担当しています。
 県内の人口増加率は、近年鈍化しているものの、都心に近い県南地域への集中傾向は続いており、自動車保有台数も過去20年間で約3割増加しています。
 また、県内の旅客輸送の約7割が自動車交通であり、自動車での移動が地域の重要な交通手段となっていることから、当事務所においても、安全で安心して通行できる国道の整備、維持管理に努めています。
 圏央道の埼玉県区間は、県内の新たな東西方向の交通軸として、また、県が推進する沿線への産業集積に向けた基盤整備を支援するため、県内の計画延長58.4kmのうち、これまでに47.6kmを開通しています。桶川北本IC〜白岡菖蒲IC間の10.8kmを当事務所が担当しており、平成27年度開通に向けて事業を進めております。

圏央道 桶川加納IC(2015年1月空撮)

 国道17号上尾道路は、国道17号の交通渋滞を解消し、沿道環境の改善を図ることを目的に計画された、延長20.1kmのバイパスで、圏央道を境に南側をT期区間、北側をU期区間として事業を進めています。T期区間の延長11.0kmについては、平成27年度全線開通に向けて事業を進めています。また、豊かな自然環境が残る湿地部を通過することから、地域の方々と協働し、湿地環境の保全に取り組んでいます。U期区間の延長9.1kmについては、平成23年度より事業に着手し、道路設計等を推進するとともに平成27年度より用地買収に着手します。
 国道17号本庄道路は、国道17号の渋滞緩和や本庄地方拠点都市地域開発を支援する延長13.1kmのバイパスです。群馬県との県境に流れる神流川には、架橋後81年が経過している神流川橋があり、地域の防災、震災対策の観点からも、架け替えを急ぐ必要があることから、延長7.0kmについては平成25年度より、橋梁の架け替え工事を推進するとともに本庄市沼和田から同市都島区間の1.1kmについて用地買収に着手します。
 国道16号入間狭山拡幅は、国道16号唯一の2車線区間である延長4.6kmの拡幅事業であり、これまでに4.2kmを4車線化しています。残る0.4kmについては、平成29年度の開通に向けて事業を進めています。
 交通安全対策、通学路の安全対策として、埼玉県内の国道を対象に優先して対策が必要な箇所の中から事故の危険性が高い等の「主な事故危険区間」について交差点改良や歩道狭隘区間の歩道拡幅など歩行者の安全対策などを進めています。また、自転車走行空間の整備として、自治体で策定の「自転車ネットワーク整備計画」に基づき歩行者と自転車利用者の安全性向上を図るため自転車専用通行帯などの整備を実施します。その他、無電柱化の整備として、安全で快適な通行空間の確保、防災の向上を図るため電線類の地中化を実施しています。

首都直下地震に備えた“八方向作戦”による道路啓開

 当事務所は、国道4号、16号、17号の3路線、延長約262kmを維持管理しており、効率的な維持管理によりコスト縮減を図りつつ、安全安心な交通の確保に努めるとともに、重要な道路ネットワークの安全性・信頼性を確保するため、構造物の老朽化対策や大規模地震発生時における緊急輸送道路を確保するための耐震対策を実施しています。
 厳しい財政状況の中、老朽化した道路インフラの補修や更新を確実に実施していくことが国・地方公共団体の共通の課題となっていることから、県及び市町村と一体となり「埼玉県道路メンテナンス会議」を設置し、効率的・効果的な老朽化対策について議論を進めており、市町村の皆様と一緒に話し合いながら連携して課題解決に取り組んでいるところです。
 関東地方整備局における首都直下地震対策では、道路管理者、関係機関で構成される「首都直下地震啓開計画検討協議会」を設置し具体的な検討を進めており、首都直下地震の際、都心に向けた八方向(八方位)毎に高速道路、国道を組み合わせながら道路啓開ルートを設定し都心へ向かう1車線を緊急に確保することとしています。当事務所では国道17号など北西方向からの道路啓開を担当しています。
平成26年12月24日車両移動訓練実施状況
 埼玉県内の「道の駅」は19の施設が登録されています。「道の駅」は、平成5年の制度創設以来、現在では全国で1059箇所に広がり、地元の名物や観光資源を活かして、多くの人々を迎え、地域の雇用創出や経済の活性化、住民サービスの向上にも貢献しています。この「道の駅」を経済の好循環を地方に行き渡せる成長戦略の強力なツールと位置づけ、関係機関と連携して支援し、地方創生の拠点として機能強化ができるよう取り組んでいます。
 当事務所管内は、さいたま市などの中核都市をはじめとして都市化が進み、道路交通需要は、今後、増加、多様化すると考えられ、首都圏の長期的発展基盤の形成、豊かで創造的な地域社会、快適な日常生活を営むための生活基盤の良好な保全のため、引き続き各種事業を推進する所存です。


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