建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年7月号〉

三重県北勢・伊賀地域の安全で 円滑な道路交通を目指して

―― 東海環状、国道1号、258号整備で「みえ県民力ビジョン」をバックアップ

 国土交通省 中部地方整備局
 北勢国道事務所 所長 堀江 勝樹

 北勢国道事務所は、「三重県北勢・伊賀地域の安全で円滑な交通を目指して」をミッション(使命)として道づくりに臨んでいます。この三重県北勢地域と伊賀地域は、中部圏と関西圏を結ぶ交通の要衝で、産業や観光の活発な県全域を牽引する重要拠点ですが、慢性的な道路渋滞や交通事故が多発する地域でもあり、地域の人々の暮らしや経済に大きな影響を与えています。
 そのため、これらの課題の解消と、更なる発展に向けた目標を定め、三重県長期総合計画である「みえ県民力ビジョン」を支援すべく、国道475号東海環状自動車道、国道1号北勢バイパス、関バイパス、桑名東部拡幅、国道258号大桑道路の整備と国道25号名阪国道の交通安全対策と維持管理を行っています。

国道475号 東海環状自動車道

 東海環状自動車道は、名古屋市の周辺30〜40km圏に位置する四日市市、東員町、いなべ市、大垣市、岐阜市、関市、土岐市、豊田市等の諸都市を有機的に結ぶ延長約160kmの高規格幹線道路です。また、新東名・新名神高速道路、伊勢湾岸自動車道や東名・名神、中央道、東海北陸道及び東名阪道とも相互に連絡しながら環状を形成する名古屋都市圏の骨格道路です。
 このうち新四日市JCT〜養老IC(仮称)間は、新四日市JCTで新名神高速道路と分岐後、東員町・いなべ市を経て三重県と岐阜県の県境を越え、岐阜県養老郡養老町に連絡し、養老JCTにて名神高速道路と接続します。
 この区間が整備されることで、名古屋圏の岐阜・三重県の諸都市間の所要時間が短縮され、利便性が向上します。特に名古屋港・四日市港からの60分圏域が拡大し、名古屋港・四日市港の背後圏への物流の効率化が可能となります。更に、この沿線地域で工業団地の整備・計画が進められており、開通により、沿線市町の地域経済の活性化も期待できます。
 また、この区間は海抜ゼロメートル地帯を迂回しており、高架構造が大半を占めるため、津波等による浸水時にも避難・救助・復旧・復興のための緊急輸送道路ネットワークとして役割を果たすことも期待できます。
 現在、北勢国道事務所では東員IC〜新四日市JCT間の平成27年度4車線開通、大安IC(仮称)〜東員IC間の平成30年度の暫定2車線開通を目指し事業を推進しています。
 平成27年度は、東員IC〜新四日市JCT間の改良工事等を推進、大安IC(仮称)〜東員IC間の橋梁上下部工事、道路設計等の推進、岐阜・三重県境〜北勢IC(仮称)間の用地取得及び埋蔵文化財調査、本線改良工事に向けた準備工事を推進します。

国道1号 北勢バイパス

 国道1号北勢バイパスは、三重県三重郡川越町(国道23号)から四日市市采女に至る延長約21.0q(国道1号)の幹線道路です。現在、国道23号から四日市市道日永八郷線までの延長8.5kmが開通しています。
 北勢バイパスは、国道1号と国道23号並びに、内陸部の生活道路を適切に交通分散することにより交通混雑の緩和を図るとともに、道路交通の安全を確保し、さらには内陸部の地域開発を促進することも目指しています。
 四日市市垂坂町〜(市)日永八郷線間(延長1.4km)が平成27年3月7日に暫定2車線で開通しました。
 平成27年度は、続く(市)日永八郷線〜国道477号間の改良工事・トンネル工事に着手する予定で、用地取得等も推進します。その先の国道477号〜四日市市釆女(国道1号)間の調査設計を推進しています。

国道1号桑名東部拡幅(伊勢大橋架替)

 国道1号桑名東部拡幅は、現道交通の4車線拡幅による渋滞緩和、交通安全確保及び昭和9年架橋で老朽化の著しい伊勢大橋の架替を目的に計画された、延長約3.9kmの事業です。
 伊勢大橋は、広い道路幅、歩道及び右折レーンを設けるなど様々の改良により、便利で快適な橋に変わり、交通混雑の緩和を図るだけでなく、観光地や主要都市等への移動をスムーズにすることで、行動圏域を広げ地域の活性化を図る役割も担います。
 平成27年度は、伊勢大橋架け替え関連区間(延長2.1km)の改良工事、橋梁下部工事を推進します。

国道258号大桑道路

 大桑道路は、岐阜県西濃地域と三重県北勢地域間の円滑な交通流確保及び地域開発支援を目的に計画された延長41.6q(三重県内延長14.1km)の幹線道路で、昭和50年度までに全線が暫定2車線で開通し、現在は、交通量の増大、車両の大型化に伴い、順次4車線化を進めています。このうち三重県区間の桑名市多度町香取〜国道23号までの延長12.2kmの4車線が完成しています。このうち、桑名市多度町香取〜桑名市多度町下野代間(延長1.3km)については、平成27年3月10日に4車線が完成したところであります。
 平成27年度は、その先の桑名市多度町柚井〜同市多度町香取間(延長1.9km)の4車線開通を目指して、橋梁上部工事・舗装工事等を推進します。

国道25号名阪国道

 国道25号名阪国道は、三重県亀山市〜奈良県天理市迄の延長約73km(三重県内延長41.6km)の自動車専用道路です。昭和40年に暫定2車線で開通し、昭和55年に全線4車線で完成しました。今年で開通50年となるこの道路は、東名阪・西名阪自動車道と直結し、名神・新名神高速道路の代替機能を有する無料の自動車専用道路です。現在は、増加する交通事故等の課題に対処する為、インターチェンジ改良や登坂車線整備幅等の道路構造の改善を進め、事前雨量通行規制区間の解除を目指した防災対策や耐震補強及び橋梁の長寿命化を進めるとともに、安全で信頼性の高い道路を確保するために、路面・道路施設の保守・修繕等の維持修繕工事、道路管理業務を実施しています。

最後に

 当地域の「安全で円滑な道路交通の確保」は、道路改築事業の早期整備だけでなく、震災・防災機能の強化も重要課題であり、南海トラフ巨大地震時における「中部版くしの歯作成(道路啓開)」を遂行する為にも、名阪国道の橋梁補強等の防災機能強化も合わせ、今後も事業を推進してまいります。


HOME