建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年7月号〉

但馬地域の地方創生を担う高速道路ネットワーク整備

 国土交通省 近畿地方整備局
 豊岡河川国道事務所 所長 別木 孝

図-1 北近畿豊岡自動車道の整備状況

1.事務所概要

 豊岡河川国道事務所は近畿北西部の兵庫県但馬地域に位置し、温泉やスキーなど豊かな自然を活かした観光が盛んな地域で、近年では、地域固有の資源となっているコウノトリ、山陰ジオパークの認定などにより知名度も向上し、観光客が増えています。
 当該事務所では、こうした但馬地域のまちづくりに深くかかわる必要な基盤づくりとして、コウノトリ舞う但馬の豊かな自然環境を守りつつ、水害から地域を守り安全安心を確保する円山川の治水事業、京阪神との交通基盤となり産業活性化や観光交流促進を図り、雪など災害時にも強い地域を造る国道483号北近畿豊岡自動車道、国道9号の整備等を実施しています。

2.近年の道路整備状況

 但馬地域は長らく「高速道路の空白地帯」と呼ばれてきました。北近畿豊岡自動車道は、兵庫県豊岡市を起点に丹波市の舞鶴若狭自動車道に至る延長約70kmの高規格幹線道路で、舞鶴若狭自動車道と播但連絡道路、将来は山陰近畿自動車道路と高速道路ネットワークを形成し、地域の交通のみならず国土の骨格としての重要なネットワークとなることが期待されています。
 平成18年には春日JCTから和田山JCTまでの36.4km、平成24年には和田山JCT〜八鹿氷ノ山ICの13.7kmが順次開通しており、遠阪トンネル有料道路を含めて現在約50kmが開通しています。
 一方、未開通区間は約20kmあり、八鹿氷ノ山ICから以北の約16kmを事業を進めているところで、そのうち(仮)日高ICまでの約10kmについて平成28年度開通を目指しています。また最北端の約7kmは都市計画手続き中であり早期事業着手を目指しています。

3.北近畿豊岡自動車道開通の整備効果

図-2 空き校舎に新たに企業が進出
3-1.雇用創出に寄与
 但馬地域は少子高齢化・過疎化が進んでおり、小学校の統廃合による空き校舎が顕在化するなどの課題がありますが、北近畿豊岡自動車道が開通したことにより、企業が空き校舎に進出し新たな雇用創出を産むなど、地域課題解決に寄与しています。
3-2.地場産業振興に寄与
 高速道路ネットワークの広がりは、京阪神圏のみならず首都圏との時間距離も短縮し、地域を代表するズワイガニの東京卸売市場での取扱量が増えるなど地場産業の振興にも寄与しています。

図-3 兵庫県産ズワイガニの東京卸売市場における出荷量・シェア

3-3.観光振興に寄与
 但馬地域は観光資源が豊富で、温泉や海水浴、スキーなど多くの観光客が訪問されていますが、近年では、城崎温泉のミシュラン二つ星獲得や地域固有の資源となっているコウノトリの放鳥、円山川ラムサール条約湿地登録や山陰海岸ジオパーク加盟認定、天空の城竹田城ブームなどにより知名度が向上し、海外からの旅行客にも人気となっており、北近畿豊岡自動車道の開通延伸により入り込み客が増えています。
3-4.地域医療に寄与
図-5 但馬地域の医療体制と道路整備による早期医療介入の変化
 但馬地域は兵庫県の約1/4の面積(東京都とほぼ同じ)を占めますが、第三次医療施設は豊岡市内に一つしかなく、ドクターヘリ・ドクターカーを活用する独自の医療体制により人々を守っています。「命の道」となる北近畿豊岡自動車道の延伸はこの体制をより支援することとなり地域の悲願ともなっています。


4.おわりに

 「但馬」は、四季折々の豊かな自然とおいしい食べ物が豊富で、魅力あふれる地域です。この魅力を発信できる北近畿豊岡自動車は地域に大きな期待を頂いています。  この期待に応えるためにも、早期に未整備区間の整備を進め、多くの人々に「但馬」を体験頂くため、地元の皆様の協力を頂きながら整備を進めて参ります。

図-4 但馬・丹波地域の主要観光地への入り込み客数の推移

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