建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年5月号〉

【ZOOM UP】

児童に優しく暖かみのあるエコスクールを目指す

―― 太陽光をフルに利用した校舎設計と災害時の避難機能も確保

北海道苫前町 苫前町立古丹別小学校改築事業

外観完成予想パース

 苫前町は再生可能エネルギー(風力発電)の率先した取り組みを行う中、古丹別小学校改築事業において更なる地球温暖化対策を考慮し建設を進めている。

建設の経緯

 町は建設にあたり、平成24年1月から住民も参画の検討委員会組織を発足、協議を重ねた。同25年3月からは教員や町職員などで構成する“ワーキンググループ”を立ち上げ、プランニングや具体的内容を創り上げた。同25年11月基本設計、同26年3月実施計画を完成させて、同26年8月より本工事に着手した。完成は27年7月を予定し、外構工事を経て平成27年9月使用開始の予定でその後グラウンド整備に着手する。

エコスクールの取り組み

 検討委員会・ワーキングループで温暖化対策(エコ)の協議を重ねた結果、校舎建設地の「古丹別地区」は、以前は営林署を有し、林業が盛んな町として栄え、木工場もあり賑わいがある市街地であった。
 このことから、木材を使用したエコへの方向性を決め、木質系バイオマスへとしてシフトした。その後、様々な関係と協議を重ねてた結果、木質ペレット材を使用したペレットボイラーを採用した。

施設の特色

 校舎を含めた建物全体は鉄筋コンクリート造り平屋建で体育館を取り込み一体化した特徴ある施設としている。また、校舎の長さは約100mあり横に長い学校である。
 内部は、正面玄関を入ると多目的ホールを配置し、全校集会や全校給食などができるスペースを有し、上部は吹き抜けとなっていて、上部ハイサイドからの太陽光が心地よいものになっている。
内観完成予想パース
 また、このハイサイドは奥の廊下にも続いており、明るい廊下となっている。さらに、ハイサイドには、南北両側に窓を有し、夏は風通しが良くするなど、施設全体の風通しや換気を考慮したエコ仕様としている。
 普通教室は全て南側に配置し、廊下の壁は上部と下部に開口を設け、夏の涼風、冬の暖風を取り込むなど考慮している。
 内部仕上は、施設全体は木質を多様的使用し、落ちつきと暖かみのある校舎とした。

その他

 学校体育館は災害時等には避難施設にも指定されているため、防災倉庫の設置や多目的トイレを配置し、身障者等にも配慮してその利用には非常時は雨水を利用できるタンクを設置した。
 一方、屋外には食育活動として各学年の菜園場として、田んぼや畑を整備し、児童が自ら米や野菜を作る演出もしている。


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