建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年5月号〉

市民に愛されるダムづくりをめざして

―― 情報化施工で地域密着都市型ダムをつくる

 安威川ダム建設工事
 大林組・前田建設工業・奥村組・日本国土開発 特定建設工事共同企業体
 安威川ダムJV工事事務所 所長 岩ア 久幸



H27.02.19 掘削状況

安威川ダム建設工事の特徴

 安威川ダムは、全国でもまれな都市型ダムで、型式は中央コア型ロックフィルダムです。盛立材料の9割を占めるロック材すべてをダム上流約6kmにある採石工場より購入し、1日平均500台以上のダンプトラックで運搬するのが大きな特徴です。そのため盛立てに約3年の歳月を要します。
 工事は平成26年4月より準備工に着手し、11月には安全祈願祭及び起工式を催し、本格的に堤体掘削を開始しました。

ICT施工(転圧管理)

情報化施工の積極的導入

 施工では、堤体掘削・積込み機械のセット数の増加と重機の大型化、ロック材盛立て機械のセット数の増加と先行ロック盛立などにより工期短縮を図るとともに、ICTを用いた情報化施工を積極的に導入し、作業の効率化と品質の確保・向上を目指します。
 採用する主な情報化施工は、@携帯端末を用いた運土管理システムの採用、A3D-CADモデルの構築による土量把握・管理、Bマシンガイダンス機能の採用による作業の効率化と品質管理、C堤体盛立施工にαシステムを導入することによる品質確保・向上、DCIM(3次元データモデル)の導入による生産性向上と施工情報の集約、などです。

安威川フェスの様子

地域の生活環境・自然環境の保全

 都市型ダムということもあり、地域の生活環境および自然環境の保全には特に配慮して施工に取り組んでいます。
工事により発生する騒音・振動・粉塵に対しては、新技術の採用や複合(発破+機械)掘削方式の採用をはじめソフト、ハード両面の工夫を凝らして環境負荷の低減を図ります。とりわけ濁水対策は、ダムサイトのみならず材料購入先の採石工場内から運搬路に至るまでを対象に高度排水処理などを施し、生活環境の保全に努めています。
 また、現場では、安威川動植物保全マニュアルを作業員全員に配布して環境保全意識の高揚に努めるとともに、ダム周辺の自然環境保全対策として複数のビオトープの整備を行い希少な動植物の保全や良好な環境を創出し、ダム建設により消失する安威川周辺の常緑広葉樹林を新しく出現するダム湖畔に再生します。
 このように周辺環境に配慮しながら施工することで地域との繋がりを強くし、一方でダム資料館の建造、情報誌の発行及び地域イベントへの積極的な参加を通じて、“市民に愛されるダムづくり”に取り組んでいます。


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