建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年5月号〉

三陸沿岸道路への地域の期待【前編】

―― 三陸沿岸地域の早期復興のために

 国土交通省 東北地方整備局 仙台河川国道事務所
 所長 宮田 忠明

三陸沿岸道路(宮城県内)

 仙台河川国道事務所では河川(一級河川の阿武隈川(下流)・名取川)、海岸(仙台湾南部海岸)、道路(宮城県内の一般国道6路線(4号、6号、45号、47号、48号、108号)と復興道路である三陸沿岸道路)の維持管理、整備を担当しております。ここでは東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトとして事業を進めている三陸沿岸道路についてご紹介いたします。
 三陸地域の沿岸部は内陸部に比べて移動距離に対する所要時間が非常に長く、様々な場面で不便をもたらしています。同程度の距離であっても、移動に要する時間を比較すると、その差は歴然で、岩手県と宮城県の救急搬送においても、他の地域や全国平均よりも長い時間を要しています。特に平成23年の3.11東日本大震災では、三陸地域の動脈である国道45号が津波による冠水・瓦礫堆積・路面崩壊によって通行不能になりました。その際、災害時に機能する迂回路が近傍にないため、多数の孤立地区が発生しました。
 このようなことから、三陸沿岸地域の所要時間の短縮、物流の効率化、救急医療施設への搬送時間の短縮、災害時にも寸断しない強靭な道路の確保を目的に宮城、岩手、青森の各県の太平洋沿岸部を結ぶ延長約359qの自動車専用道路として「三陸沿岸道路」の整備が進められており、地域から早期開通が期待されています。

整備効果:仙台〜宮古間が約3時間の短縮 整備効果:救急医療施設への搬送時間が短縮

 この三陸沿岸道路の宮城県内は、南から@「仙塩道路」、A「仙台松島道路」、BC「矢本石巻道路」、D「桃生登米道路」、E「登米志津川道路」、F「南三陸道路」、「歌津本吉道路」、G「本吉気仙沼道路U期」、「本吉気仙沼道路」、H「気仙沼道路」、「唐桑道路」、「唐桑高田道路」の各区間毎に事業を進めております。
 「仙塩道路」は仙台市宮城野区中野の一般国道45号に接続する仙台港北ICから宮城郡利府町春日の利府中ICを結ぶ延長7.8qで、利府JCTで仙台北部道路と連結しています。平成9年3月に2車線で開通していましたが、平成23年度から4車線化の拡幅事業に着手し、中間に新たに設けられる多賀城ICとともに平成27年度内の開通を目標に事業を進めております。
 「仙台松島道路」は利府中ICから東松島市川下の鳴瀬奥松島ICを結ぶ延長18.3qで、宮城県道路公社により平成5年3月までに2車線で開通しましたが、平成24年7月には利府中ICから松島海岸IC間、平成26年3月には松島海岸ICから松島北IC間、平成27年3月に松島北ICから鳴瀬奥松島IC間が4車線化されました。

整備効果:三陸地域の物流の効率化・品質の向上 整備効果:災害時にも寸断しない強靭な道路の確保

 「矢本石巻道路」は鳴瀬奥松島ICから石巻市桃生町太田の桃生豊里ICを結ぶ延長26.5qの区間で、このうち鳴瀬奥松島ICから石巻河南IC間の12.4qは平成10年3月に2車線で開通し、平成20年1月からは無料開放しています。平成15年12月には石巻河南ICから河北IC間の6.7q、平成19年6月には河北ICから桃生豊里IC間の7.4qが2車線で開通しています。平成23年度からは4車線化の拡幅事業に着手し、平成27年3月には(仮称)石巻北IC付近までの下り線側拡幅が完成、引き続き上り線側のリフレッシュ工事を進めており、平成27年の秋までには石巻赤十字病院付近に新たに設けられる(仮称)石巻北IC及び上り線側のリフレッシュ工事を完成させる予定です。(以下、次号に続く)


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