建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年4月号〉

三重、愛知、岐阜の三県をつなぐ国道475号東海環状自動車道「MAGロード」

―― 東回りを完了し西回りの整備に全力

 国土交通省 中部地方整備局
 岐阜国道事務所 所長 石井 克尚

 国道475号東海環状自動車道は、名古屋市中心部から30〜40km圏に位置する愛知・岐阜・三重県の豊田市から岐阜市、大垣市、四日市市などの都市を連絡し広域的な道路ネットワークを形成する延長約160kmの高規格幹線道路です。このうち、東回り区間の豊田東ジャンクション(JCT)から関広見インターチェンジ(IC)間の延長約76kmに加え2012年9月には西回り区間の初開通となる大垣西ICから養老JCT間の延長約6kmが開通しています。未開通である西回り区間の延長約71kmのうち、当事務所では、岐阜県区間の延長約47kmを担当しています。

1.現在の進捗状況について

 東海環状自動車道西回りについては、平成26年度当初予算において、養老JCTから養老IC(仮称)間の2017年度開通の見通しを立てることができました。2017年度は養老改元1300年といった節目の年であり、地域のイベントも予定されておりますので、しっかり整備を推進していきたいと考えています。また、西回り全体の岐阜県内の用地進捗率が9割を超え、いよいよ工事を本格的に展開していく時期が近づいています。まずは、早期に開通の見通しが立てられるよう、引き続き努力して参りたいと考えています。
 次に、西回りの各区間別の状況について、西回り区間を北側から順にご説明します。
 関広見ICから高富IC(仮称)間では、2014年7月に西回り区間では初めてのトンネル工事となる延長約600mの北野トンネル(仮称)、8月に延長約1300mの三輪トンネル(仮称)に着手しました。
 高富IC(仮称)から糸貫IC(仮称)間および養老IC(仮称)から岐阜県・三重県境間では、2013年に用地取得前の事業計画説明会を実施し、用地取得を開始しました。
 糸貫IC(仮称)から大野・神戸IC(仮称)間では、2013年8月から用地取得を開始し、2014年10月には新たに本巣市内で工事に着手するなど、徐々に工事を進めています。
 大野神戸IC(仮称)から大垣西IC間では、現地を見ても明らかなように橋梁下部工が立ち並んでおり、2013年に橋梁上部工事に着手しました。
 養老JCTから養老IC(仮称)間では、2013年に橋梁上部工事に着手し、2017年度の開通に向け工事を推進しています。
 西回り区間の岐阜県内における休憩施設として、岐阜パーキングエリア(PA)(仮称)、本巣PA(仮称)、海津PA(仮称)を計画しています。そのうちPAに直接乗り入れが可能なスマートIC(SIC)について、自治体からの接続申請により、2013年6月に岐阜PA(仮称)に接続する岐阜三輪SIC(仮称)、2014年8月には、海津PA(仮称)に接続する海津SIC(仮称)の連結許可がなされました。事業主体である自治体及び中日本高速路株式会社と連携して事業を進めます。

2.期待される効果

 東海環状自動車道は、中京圏の放射状道路ネットワークを環状道路で結び、広域ネットワークを構築することで、環状道路内の渋滞緩和、沿線地域の地域産業・観光産業の支援、災害に強い道路機能の確保等に寄与します。
 広域ネットワークの視点では、東海環状自動車道の全線が開通すれば、中京圏の主要都市間の所要時間の短縮が見込まれます。また、環状道路の分散導入・バイパス機能により、高速道路の主要渋滞箇所を避けた通行が可能となり、特に環状道路内側の高速道路の渋滞緩和が期待できます。
 地域産業の視点では、東回り区間の開通により、道路沿線の工業団地の数が飛躍的に伸びて地域産業の活性化に寄与しています。西回り区間も同様に地域産業の活性化が期待できます。例えば、2012年9月に部分開通した大垣西ICから養老JCT間では、一般道から高速道路へ輸送ルートが転換したことにより、輸送の定時性確保や運転時間の減少による環境改善に寄与しています。開通当初は約2,000台であった交通量も現在では約3,000台まで伸びてきています。
 観光産業の視点では、東回り区間の整備により、土岐プレミアムアウトレットが開業するなど、高速道路ICからの利便性向上により、沿線観光施設の開発や観光入込客数の増加が確認でき、西回り区間においても同様に観光産業の活性化が期待できます。
 防災対策の視点では、東海、東南海・南海地震の発生時には濃尾平野を中心に震度6強以上の大きな揺れが想定されています。東海環状自動車道は、強震動予測地域(震度6強以上)や海抜ゼロメートル地帯のような災害リスクの高い地域を避ける位置に計画されています。東日本大震災において、内陸部の東北自動車道がくしの歯の軸となり、沿岸部の救急活動に重要な役割を果たしたように、東海環状自動車道も東名、東名阪といった中部地方のくしの歯の軸となる道路に接続する広域支援ルートとしての効果が期待されています。
 さらに、岐阜県内の効果として、医療の視点もあります。高度救命救急センターである岐阜大学医学部附属病院の近傍に岐阜IC(仮称)を計画しており、沿線市町から病院へのアクセスが大幅に向上するため、救命救急医療への貢献が期待できます。

3.おわりに

 公共事業を取り巻く状況は引き続き厳しい状況ではありますが、当事務所としては東海環状自動車道の必要性を幅広く多くの方々に理解していただくことが大切と考えています。今後も、関係自治体と緊密に連携を取り、地域の皆様のご協力を頂きながら事業を推進して参ります。


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