建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年2月号〉

鳥取県東部における高速道路網の整備と効果

 国土交通省 中国地方整備局
 鳥取河川国道事務所
 所長 望月 拓郎

図-1 鳥取県内の高規格幹線道路網等の整備状況

1.事務所概要

 鳥取河川国道事務所が位置する鳥取県東部は、千代川の恵みと街道交流により、古くから因幡の国として栄えた歴史のある地域です。また、鳥取砂丘や山陰海岸ジオパーク等、この地域に特有な自然に恵まれた観光資源が豊かな地域です。
 管内では、一級河川千代川水系の河川事業を行っています。また、一般国道9号、29号、53号、鳥取自動車道(中国横断自動車道姫路鳥取線及び373号志戸坂峠道路)の道路事業を行っています。

2.近年の道路整備状況

 鳥取自動車道は、平成25年3月大原IC〜西粟倉IC間8.8kmの開通により、全線約62kmが中国道と繋がることとなりました。鳥取自動車道に接続する山陰道鳥取西道路鳥取IC〜鳥取西IC間延長1.8kmが平成25年12月、さらに国道9号駟馳山バイパス延長7.7kmが平成26年3月全線開通し、高速道路網が急速に形成されたところです。
 現在、鳥取県内の山陰道整備率は約65%です。山陰道鳥取西道路は総延長19.3kmですが、未開通である17.5kmにおいて、古代山陰道の可能性が高い道路遺構などが発掘されており、文化財発掘調査と道路工事等の調整を綿密に行い、事業を推進しています。
 鳥取自動車道では、鳥取県内3箇所において追越付加車線の整備を進めています。また岡山県内区間1箇所(岡山国道事務所)も整備を進めています。

3.鳥取自動車道開通の効果

 鳥取自動車道が中国道に連結することで、県都鳥取市を含む鳥取県東部はようやく全国高速道路網の仲間入りを果たしました。
 この開通により、誘致企業数や雇用予定者数が増加など、地域経済に活力を呼び込む効果が得られましたが、特に、地域産業と人口に関する3例を御紹介致します。
1)1つ目は、鳥取県東部の観光入込客数が大きく増加していることです。中部地方や近畿地方など中国地方以外の県外客が増加しており、集客エリアの広域化が進展しています。(図-2)

図-2 鳥取県への出発地別観光客の推移

2)2つ目は、水産物の流通拡大です。鳥取県東部の水産物は、水揚げしたその日に関西圏で販売していませんでした。ニーズはあったのですが、時間短縮や定時性の確保により販売店側の受入が実現したもので、今後事業の発展が期待されるところです。
3)3つ目は、移住者数の増加です。森林セラピーや民泊、観光など来訪により得られた近距離感から、特に関西圏からの移住が多い傾向です。少子高齢化の進む沿線市町にとって地域づくり支援の一助として期待されています。(図-3)

図-3 智頭町の人口、移住者の推移

4.今後の取組

 今後は、山陰道鳥取西道路のうち未開通延長17.5kmの整備を重点的に取り組みます。特に、吉岡温泉IC(仮称)〜青谷IC間延長12.3kmについて、平成29年度(注)の開通を目指し、鋭意事業を推進します。
 これまでの整備効果を鳥取県東部全域、さらには鳥取県全域に波及させるため、山陰道鳥取西道路では、以下の役割が期待されています。

(1)国道9号の渋滞緩和

 特に鳥取市白兎周辺では通勤時間帯等に1kmを越える渋滞が発生しており、渋滞緩和が期待されます。

(2)災害時等の代替路線の確保

 国道9号では事故や雪害等により通行止めが頻発しており、通行止めの影響を回避することが可能になります。(写真-1)

(3)東西間の移動時間短縮

 鳥取県東西方向の所要時間短縮が図られ、観光の広域化や物流の効率化による地域への貢献が期待されています。(図-4)

写真-1 国道9号冬期の状況(鳥取市気高町日光坂地内)
図-4 鳥取市役所〜米子市役所への所要時間の推移

5.おわりに

 山陰道鳥取西道路や交通安全事業など道路事業については、早期に整備効果が発揮できるよう地元の皆様の協力を頂きながら、関係する機関と全力で取り組んで参ります。


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