建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年1月号〉

首都圏の新たな物流機能を担って

国土交通省 関東地方整備局 鹿島港湾・空港整備事務所


首都圏の高規格道路ネットワーク図

 鹿島港湾・空港整備事務所は、茨城県の全域を所管しており、重要港湾の「鹿島港」、「茨城港(日立港区、常陸那珂港区、大洗港区)」の2港と共用空港の「百里飛行場(茨城空港)」において、事業を展開しています。
 茨城県の港湾は3・11の東日本大震災により被災しましたが、平成26年4月現在、港湾施設の復旧は概ね終了しており、岸壁については全て利用可能な状況です。現在は復興を加速するための港湾施設の整備を実施しています。

■鹿島港外港地区国際物流ターミナル整備事業

鹿島港全景

 鹿島港は石油化学コンビナート企業群、製鉄関連企業群などを擁する鹿島臨海工業地帯として発展してきており、貨物需要の増大に対応するための公共岸壁の整備が急がれています。また、東日本大震災の教訓を踏まえ、大規模地震発生後の緊急物資輸送の確保や、企業物流を維持するための耐震強化岸壁の整備が強く求められています。
25mケーソン進水(海上打継場へ)
 このため、鹿島港の玄関である外港地区においては、外貿貨物の増加と船舶の大型化に対応するとともに、大規模地震に対する耐震性能を有する新たな国際物流ターミナル(水深14m)の整備しています。
 同施設は、平成25年4月に水深13mで一部供用を開始しましたが、更なる静穏度確保のため、防波堤整備を促進しています。
 具体的には、南防波堤において、これまで15mケーソンを据え付けて、延伸してきましたが、今年度より25mの長大ケーソンによる延伸に切り替えて、防波堤整備を促進しています。

■茨城港常陸那珂港区外港地区国際海上コンテナターミナル等整備事業

建設用機械の積込状況

 茨城港常陸那珂港区の背後圏である北関東地域(茨城県・群馬県・栃木県)は、首都圏の製造業の拠点として、工場立地が進展しており、域内等の生産・消費活動の拡大に伴い、常陸那珂港区を利用する海上輸送需要が増大しています。
 このため、北関東自動車道等の広域道路ネットワークとの良好なアクセスを活かして背後圏と国内外とを結ぶ新たな物流拠点として、コンテナ貨物や※RORO貨物の効率的な輸送に対応する国際海上コンテナターミナル(水深14m、12m)及び国際物流ターミナル(水深10m)を整備し、既に供用しております。
 供用している岸壁は、直背後に立地する建設機械メーカーの工場から大型建設機械が自走して直接船積みできることから、物流コストとCO2の削減が図られ、企業の国際競争力が向上します。
 こうした企業活動の支援として、港内静穏度を向上させ、船舶の航行安全と岸壁での荷役作業の効率性を高めるため、東防波堤の延伸を図ります。

常陸那珂港区全景

■茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区国際物流ターミナル整備事業

中央ふ頭地区岸壁裏埋工施工状況

 茨城港常陸那珂港区は、背後に大手建設機械メーカーの製造工場が立地するとともに、企業立地が相次いでおり、建設機械や中古自動車の輸出を中心とする外貿RORO貨物の一大輸送拠点となっています。また、鹿島港と同様に耐震強化岸壁の整備が強く求められています。
 このため、平成24年度から、茨城港における外貿貨物需要の増大に対応した取扱能力の向上を図るとともに、大規模地震に対する耐震性能を有する新たな国際物流ターミナル(水深12m)を常陸那珂港区中央ふ頭地区に整備しています。
 今年度は、岸壁ケーソンの据付、ふ頭用地の埋立等を行い、来年度に、上部工、舗装工を行うとともに、岸壁前面の航路・泊地(-12m)の浚渫を行う予定で、平成27年度の完成を目指しています。

■百里飛行場エプロン拡張事業

 百里飛行場(茨城空港)は、平成22年3月に開港し、現在は国内線5路線と国際線1路線が定期就航し、チャーター便もあわせて年間40万人に利用されています。
 今後、路線数、乗客数とも更なる増加が見込まれるため、航空機の便数の増加等に対応すべく、エプロン(駐機場)機能の向上を図るため拡張を行います。
 今後とも、茨城県内の各港湾は、役割を分担しながら、地域との連携を高め、首都圏の新たな物流機能を担っていきます。

百里飛行場整備計画

※RORO:ROLL ON ROLL OFFの略。貨物をトラックやフォークリフトで積み卸す水平荷役方式をいう。水平荷役方式の貨物船(RORO船)は、船尾や船体の側面にトラック等の出入り用の開閉扉を有する。


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