建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年12月号〉

県都青森市と八戸市を結ぶ上北自動車道の早期開通に向けて


 国土交通省 東北地方整備局
青森河川国道事務所 所長
 石塚 宗司



 青森河川国道事務所では、青森県の優れた自然環境、景観、観光資源等と調和を図りつつ、河川及び道路事業について、重点化を図り整備を進めています。また、地域と連携を図りながら適切な維持管理に努めています。
 青森県の交通事情は、生活の足として自動車交通への依存率が高く、人口の集中する都市部を中心に慢性的な交通渋滞や交通事故が多発しています。また、全国有数の豪雪地帯であり、冬期交通の確保も重要な課題となっています。
 このような県内の様々な課題に対応するため道路事業では、東日本大震災からの復興道路となる「三陸沿岸道路」など高規格幹線道路ネットワークの整備や交通の円滑化を目指した交差点改良、道路の老朽化対策など、4路線7箇所の改築事業と自動車専用道路を含む約315kmの管理を担当しています。
 今回はその中から、上北自動車道についてご紹介します。

1.上北自動車道の概要

 上北自動車道は、県都青森市と第二の都市八戸市を結ぶ高規格幹線道路ネットワークとして、既に開通中の東北縦貫自動車道(八戸線)から百石道路、第二みちのく有料道路へのアクセス強化と一般国道4号及び45号の交通混雑緩和や交通事故の減少、沿道環境の改善、地域間の連携強化などを目的とした延長約24kmの自動車専用道路です。その内、八戸側の上北道路(延長約7.7km)は、平成25年3月に開通し、現在、上北天間林道路(延長約7.8km)の改良工事、橋梁及び横断構造物工事の推進と天間林道路(延長約8.3km)の用地買収着手、調査設計と今年度末の工事着手を目指し事業を進めています。

(県)乙供停車場中野線付近から
(仮称)天間林(2)ICを望む
上北天間林道路起点付近から
(仮称)天間林(1)ICを望む

2.期待される整備効果

1)交通混雑の緩和

 上北道路、上北天間林道路及び天間林道路の整備により、並行する一般国道4号や45号などの周辺道路の一部交通が転換し、交通混雑の緩和が期待されます。

2)交通事故の減少

 並行する一般国道4号・45号などでは、重大事故の発生する確率が高い区間が多く存在しています。上北自動車道の整備で信号交差点や急カーブ急勾配箇所などを回避出来ることから、交通事故の減少が期待されます。

3)地域間の連携強化

 青森市と八戸市間の所要時間112分が約92分へと約20分短縮し、拠点都市間の連携強化が図られます。これにより、物流の効率化や広域観光を支援し、地域産業の活性化が期待されます。

4)救急医療体制の強化

 周辺地域から第3次救急医療施設(八戸市立市民病院)などへの搬送時間が短縮され、救急医療体制の強化が期待されるほか、搬送時の患者への負担軽減が図られます。

5)冬期における円滑な物流の確保

 東北縦貫自動車道(弘前線)は、冬期の気象条件などにより通行止めが多発する路線であるため、上北自動車道の整備により、冬期の安定した代替路の確保が期待されます。

3.上北道路の整備効果(H25年3月24日開通)

(1)第二みちのく有料道路の交通量増加

 上北自動車道と隣接している第二みちのく有料道路(県道路公社)は上北道路の整備により、整備前後で交通量・料金収入とも約3割増加し、黒字を確保。長期債務は約9億1800万円減少しています。

(2)企業立地の促進や雇用確保

 青森県県南・下北地域の基本計画において産業集積の形成や活性化を図るため、高規格幹線道路等のインフラ整備を位置づけしているところであり、上北道路の整備は、工業団地の分譲率向上や高卒求人数増加の一助になっています。

4.おわりに

 上北自動車道の整備にあたっては、これまでも青森県及び関係市町からご理解ご協力をいただきながら事業を推進してきたところですが、引き続き青森県及び関係市町と連携を図りながら、一日も早い開通を目指しさらに努力を重ねて参ります。
 また、三陸沿岸道路は、東北道八戸JCTから階上ICまで開通しており、青森県内の残り3kmについて、復興の加速化に寄与すべく引き続き整備を推進して参ります。


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