建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年11月号〉

【ZOOM UP】

大規模コンベンションの開催機能を有し各種スポーツ大会が可能な多目的アリーナを建設

―― 「人が輝く まちが輝く 交流都市 はこだて」輝く都市未来像の実現を目指す

函館市 函館アリーナ建設事業

外観完成イメージ

施設整備の背景と目的

 北海道と本州を結ぶ交通の結節点として、陸・海・空の交通体系が早くから整備され、南北海道における行政・経済・文化の中核都市として成長してきた函館市は、平成 16年には近隣 4町村と合併し翌年中核市へ移行したことから、“まちづくり”を総合的・計画的に進めるため、平成19年に平成 28年度までの 10年間のまちづくりの基本的考え方を明らかにした「新函館総合計画」を策定し、都市の将来像を「人が輝きまちが輝く 交流都市 はこだて」と定めた。
 同市はこれまで大型の集会場や展示場がないことから大規模なイベントなどは見送らざるを得なかったが、来るべき新幹線時代を見据え、“輝く都市未来像”への実現に向け、スポーツ・レクリェーション環境の充実を図り、合わせてコンベンション機能を備えた施設として、さらには「観光基本計画」や「新幹線で未来を創るまちづくり構想」で掲げた課題を実現するための中核施設として「函館アリーナ」の建設を行うことになった。
 平成23年9月に整備基本計画を策定し、建設地として、公共交通や宿泊施設が充実している湯の川温泉街と函館空港に隣接し、集客や誘致に優位性のある現市民体育館の敷地において、老朽化した施設に替えて整備することとなった。
 現在、平成27年8月の開館に向けて工事が進められており、開館後は全国レベルの競技大会や大規模コンベンションの受け入れ体制が整うことから、市民の生涯スポーツの振興や競技レベルの向上とともに大規模な大会やイベントなどの開催を通じて、地域の活性化に大きな役割を果たす施設となることを目指している。

施設の特徴

 函館アリーナは同市の徽章となっている巴の曲線に通じる 2つの楕円形アリーナで構成し、メインアリーナの屋根形状は変動放物回転体からなる王冠をイメージした特徴的なデザインとしている。また 2つのアリーナに挟まれた形でホールを配置し、市民会館の動線として活用するとともに、函館アリーナと市民会館の間に多目的広場を配置することで、2つの施設の間で様々な運用が可能となり相互連携に配慮した全体配置計画となる。
 メインアリーナは、バスケットボールコートが3面分の面積と 12.5mの天井高さを確保し、各種競技の全国大会が開催できることになる。また、各種コンベンションの開催に対応できるよう床には養生不要の屋内スポーツ用長尺弾性塩ビシートを採用し、大型車での搬入出にも耐えられるよう床荷重は5t/uとした。さらに、コンサートなど大音響の音楽イベントが開催出来るよう配慮している。
 サブアリーナは、バスケットコート1面分の面積と12.5mの天井高さを確保したことで各種競技公式大会が開催できるようになる。
 武道館は各種武道大会の開催が可能な面積を確保した。さらに同時に3つの競技練習が可能となるよう可動間仕切壁で3分割出来る室内仕様とした。また、収納式の的場を設置することで12人立ちの弓道大会も可能となった。
 また、可動間仕切壁の採用で分割可能な多目的会議室、スタジオおよび控室や観客席への動線を兼ねたランニング走路、トレーニングルームを配置し、大人数の集客イベントの開催から市民生涯スポーツの場としての機能も配慮している。
 一方、函館アリーナは準拠点避難所と位置づけられていることから、大地震時や暴風時における構造機能を高めるため、大地震時においては重要度係数1.25倍、最大級の暴風時においては想定した基準の風速の1.25倍の性能を有し、人命の安全確保を図る。また、津波や洪水による浸水対策として建物床レベルは周辺敷地より1m高く設定した。さらに、大規模災害時は救援物資の配布地点として活用されることから、72時間稼動可能な非常時発電装置を設置する。
 電気設備は、メインアリーナに国際大会レベルの照度基準を満たす高効率HIDランプを採用するほか、予備電源としてイベント用電源盤を屋内外に配置する。
 機械設備は、各エリアに配置した空調機により温度制御を行うとともに、ガスヒートポンプパッケージによる各部屋ごとの冷暖房を可能とするほか、空気の流れが影響する競技に支障が出ないよう、各アリーナとも置換換気方式とする。
 外構整備として隣接の市民会館と共用の駐車場は287台分とバス、タクシー乗降場の整備や多目的利用が出来る「ともえひろば」も設置する。


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