建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年10月号〉

【ZOOM UP】

より質の高い医療を提供する小樽市立病院 12月1日開院

―― 災害拠点病院としての免震構造を採用

小樽市立病院統合新築工事

外観完成イメージ

 小樽市は、老朽化が進んだ市立小樽病院と、小樽市立脳・循環器・こころの医療センターの統合新築事業を進めている。
 計画では、現在の小樽病院の病床数は223床、脳・循環器・こころの医療センターは222床だが、新市立病院では388床に削減し、コンパクトで高機能の基幹病院を目指す方針だ。診療科目は継続することで機能を維持し、各分野における地域の医療センターを目指す。
 新病院としての医療方針は、がん診療と脳・神経疾患診療、心・血管疾患診療の3分野を柱とし、他の医療機関で担うことができない疾患の診察に対応するとともに、地域医療の連携調整や医師教育支援、医療連携システムID-LINKの活用などによって、地域医療センターとして機能させる考えだ。
 こうした基本理念に基づき、施設計画においては、外来待合や主な通路の先に開口部を設けて、自然採光の可能な快適空間を創出。外来部門は1階に集約し、診療科と放射線、検査部門を分かりやすく配置した。またユニバーサルデザインを実現するため、段差を解消し、案内サインも分かりやすいものとして配慮している。病室は3〜7階に配置し、全室に洗面とトイレを設置し、ゆとりある空間を提供する。
外観完成イメージ(鳥瞰) 外観完成イメージ(東側)

 この他、駐車場は250台分を確保した他、後志二次医療圏の基幹病院として、高度な急性期医療を担うため、救急・手術部門とヘリポートを直結する動線を確立。また災害拠点病院でもあるため、免震構造を採用し、自家発電設備を完備する。円滑な業務を維持するため、病棟中央に看護師詰め所となるスタッフステーションを配置してSSリンク(2つのスタッフステーション間を結ぶサービス動線)を確保するとともに、エレベーターも患者用と業務用に分離。
 外観は温かみのある色合いを採用し、小樽の街並み景観に調和させた。威圧感を抑えるため、敷地の高低差を利用した施設構成とし、高層部はセットバックさせている。敷地内には、以前建っていた小学校に関係する記念碑や植栽によるメモリアルガーデンを整備。
 エネルギー施設では、外断熱工法やLED照明、節水型便器などの採用で、省エネに配慮。空調も太陽光発電や地熱利用により、自然エネルギーを有効活用することにしている。
 今後の改修等に向けては内部の間仕切壁を乾式工法とするなど柔軟な対応が可能な構造となっている。


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