建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年10月号〉

福島県の沿岸部と内陸部を結ぶ「相馬福島道路(復興支援道路)」

 国土交通省 東北地方整備局 福島河川国道事務所 所長
 永尾 慎一郎

相馬福島道路 全体図

はじめに

 福島河川国道事務所は、阿武隈川の改修や管理、吾妻山山系の砂防事業、福島県県北地区の国道4号及び13号の管理、さらに東北中央自動車道や復興支援道路である相馬福島道路といった高規格幹線道路の整備などを行っています。その中から今回は、相馬福島道路について事業概要などを紹介します。

相馬福島道路の概要

東北復興道路・復興支援道路
 相馬福島道路は、常磐自動車道と東北縦貫自動車道を結ぶ延長約45kmの高規格幹線道路であり、東日本大震災からの早期復興を図るリーディングプロジェクトとして位置づけられています。本道路の整備により、被災地と内陸部の連携が強化され、被災地の復興支援につながることから、早期完成を目指して進めています。
 相馬福島道路は、「全体図」に示すとおり、5つの区間に分けて事業を進めており、このうち、福島河川国道事務所では阿武隈東〜阿武隈、霊山道路、霊山〜福島の3区間、約29kmを担当しています。
 現在、阿武隈東〜阿武隈、霊山道路の区間においては、平成29年度の供用を目指し、改良工事、トンネル工事、橋梁工事を全面展開しています。また、平成25年度に事業化となった霊山〜福島においては、設計及び用地協議を進めており、平成26年度の着工を目指しています。

期待される整備効果

 現在、福島県沿岸部の相馬市と内陸部の県都福島市を結ぶルートとしては国道115号が主要経路となっており、東日本大震災では沿岸被災地の救助・救援活動等の重要な役割を担いました。
 一方、国道115号は線形不良箇所が多く事前通行規制区間もあり、平成18年には大雨による落石で約1ヶ月間の全面通行止めが発生し、物流や観光など地域経済や地域の生活に大きな影響が出るなど、安全性や信頼性に課題を抱えています。
 相馬福島道路の整備により、災害に強い交通・防災ネットワークが形成されるとともに、相馬市と福島市間の所要時間が60分から47分へと短縮されることによる地域間交流の促進をはじめ、福島市内の第3次救急医療施設への搬送時間短縮や安定搬送などの救急医療活動への貢献、内陸企業における相馬港を活用した輸送効率化による企業活動の活性化などが期待されます。また、同時に整備を進めている東北中央自動車道(福島〜米沢)とともに、太平洋岸と山形県を結ぶ新たな広域ネットワークを形成することとなり、地域間交流とそれに伴う経済発展なども期待されています。

一般国道115号(現道)の現状
相双医療圏北部の沿岸3市町から第三次救急医療施設への搬送割合(H21〜24)

おわりに

 東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の被災地の復興は、道半ばです。
 福島河川国道事務所は、被災地の1日も早い復興を目指し、引き続き事業を進めて参ります。

月舘高架橋
境ノ目トンネル


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