建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年9月号〉

紀勢線(田辺〜すさみ)、那智勝浦道路、奥瀞道路の工事が進捗

―― 紀南地方の安全・安心に貢献

 国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所 所長
 西海 俊幸

紀南河川国道事務所管内図(道路)

 紀南河川国道事務所は、紀伊半島の南部に位置し、熊野川等の改修・維持管理と、国道42号の改築・維持管理、近畿自動車道紀勢線の整備を行っています。
 紀南地域は、まだまだ高速道路の整備率が低く、ミッシングリンクも多く残っている状況であり、また、南海トラフ巨大地震の際、唯一の主要幹線道路である国道42号の約半分の区間が津波により通行不能になると予測されているなど、道路整備の面での災害に対する備えは十分とは言えない状況です。そのような中、当事務所では、災害時の交通確保をはじめ、地域の活性化や交通環境の改善、利便向上等を目的として、道路改築事業に取り組んでおり、特に近畿自動車道紀勢線(田辺〜すさみ)、那智勝浦道路、奥瀞道路(U期)の3つの路線は来年度の開通に向けて工事の最盛期を迎えているところです。

紀勢線(田辺〜すさみ)西津浦トンネル(仮称) 紀勢線(田辺〜すさみ)稲成高架橋(仮称)


 今回はその3路線について、工事の進捗状況をふまえ、ご紹介をさせていただきます。

1.近畿自動車道紀勢線(田辺〜すさみ)

 近畿自動車道紀勢線は、大阪府から紀伊半島をぐるりと一周し、三重県へと至る全長約335kmの高規格幹線道路であり、このうち南紀田辺IC〜すさみIC(仮称)までの38kmの区間を新直轄方式で整備を進めています。
 この区間は、平成27年9月に予定されている「紀の国わかやま国体」にあわせた開通を目標に全線で工事を展開しており、現在、全延長の約半分をしめるトンネルは22本のうち13本が貫通済、橋梁も44橋のうち10橋が完成するなど、大規模な構造物が次々と完成し、着実に工事が進捗している状況です。

那智勝浦道路 金剛寺トンネル(仮称) 那智勝浦道路 橋ノ川第一橋(仮称)

2.国道42号那智勝浦道路

 那智勝浦道路は新宮市と那智勝浦町を結ぶ15.2kmの自動車専用道路で、そのうち8.9kmの区間は平成20年に暫定2車線で開通しています。残る6.3kmについても、平成27年度の開通を目指して、全線にわたり改良やトンネル、橋梁等の工事を推進しており、トンネルは8本中3本が貫通済、橋梁では7橋中2橋が完成済など、紀勢線と同様、着実に工事が進捗しています。

奥瀞道路(U期) 葛山トンネル(仮称) 奥瀞道路(U期) 玉置口第一橋(仮称)

3.奥瀞道路(U期)

 奥瀞道路(U期)は、平成20年に開通した奥瀞道路(6.3km)に隣接する5.2kmの区間で、県が管理する国道169号の改築事業として、権限代行により国で整備を行っています。平成27年度の開通を目指して、全線にわたり改良やトンネル、橋梁等の工事を推進しており、トンネルは4本中2本が貫通済、橋梁では7橋中1橋が完成済など、大規模構造物を中心に工事が進捗しています。

近畿自動車道紀勢線の整備状況

4.おわりに

 本日ご紹介させていただいた3路線のほかにも、H25年度に新宮市から三重県紀宝町をつなぐ「新宮紀宝道路」、H26年度には、先に紹介した紀勢線(田辺〜すさみ)から連続し、すさみ町から串本町まで延びる「すさみ串本道路」の事業に着手するなど、紀伊半島を一周する高規格幹線道路のネットワーク化を着々と進めてきているところです。
 残る未事業化区間についても、地元自治体をはじめ多くの方々から大きな期待をいただいているところであり、引き続き積極的な整備促進と未事業化区間の早期の事業着手を目指して努力していきたいと思います。


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