建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年8月号〉

北東北地域の経済を支える地元産業の国際競争力強化支援を目指す

―― 災害復旧を完了し北東北国際物流拠点港としての機能強化を推進

 国土交通省 東北地方整備局 八戸港湾・空港整備事務所 所長
 千葉 忠樹

八戸港全景

1.八戸港の概要

 八戸港は青森県南東部の太平洋側に位置しており、地元八戸市は、「海から拓け、海とともに発展してきた」といわれ、日本有数の水産都市として、さらには東北屈指の工業都市、国際物流拠点都市として発展してきました。
 八戸港の始まりは、寛文4年(1664年)、八戸藩が誕生した頃といわれ、当時は「鮫浦」と呼ばれ主に漁港として、また、江戸方面との交易拠点、三陸沿岸の避難港として栄えてきました。
 港湾としては、昭和14年に貿易港として開港指定、昭和26年には重要港湾に指定され、昭和39年の新産業都市指定を契機に、臨海部に相次いで製紙業、非鉄金属業等の基礎素材型企業の立地が進み、−13m・−14m大型公共岸壁やカーフェリー専用埠頭など、本格的な港湾整備が進められてきました。
 近年では循環型社会へ向け、環境・エネルギー産業創造特区の指定、エコタウンの承認、そして、リサイクルポートの指定を受け、八太郎地区では、国内初となる FRP製漁船のリサイクル事業が開始されております。

コンテナヤード

2.八戸港に対する期待

 平成6年に東北初の国際コンテナ定期航路となる東南アジア航路の開設が実現して以来、航路が順次開設され、現在では、中国・韓国航路や北米西岸航路のほか国際戦略港湾(京浜港)とを結ぶ3つの国際フィーダー航路を有しております。平成21年6月には「内航フィーダーの振興に向けた京浜港との連携に関する協定」を締結するなど、国際コンテナ戦略港湾の「集貨」「創貨」「競争力の強化」に積極的に取り組んでおります。コンテナ取扱個数は定期航路開設以来、順調に増加し、平成22年には4万5千TEUを超え、過去最高を記録しました。
 平成23年には東日本大震災の影響により約3万1千TEUまで激減しましたが、復旧・復興が順調に進み、平成25年7月末に港湾施設の災害復旧事業が完了したことなどにより、現在では震災前の水準以上に回復しております。
 また、日本有数の配合飼料の生産量を誇る八戸飼料コンビナートは、昭和57年の立地以来、北東北地域の飼料供給基地として畜産業の発展に大きく貢献し、今後も同地域への畜産関連産業や食品加工関連企業の立地が見込まれていることから、八戸港の飼料配分基地としての機能拡充が期待されております。
 さらに、平成27年4月には、北東北と北海道道東地域における新たなエネルギー拠点となるLNG輸入基地の操業開始が計画されており、環境・エネルギー関連産業の集積が期待されております。

LNG輸入基地

3.八戸港の課題と対応

 八戸港はかつての砂浜と馬淵川、新井田川の河口に広がる三角地帯に開発された港湾であり、港湾施設の整備に伴い発生する大量の浚渫土を活用し、ふ頭用地や工業用地の土地造成を行うことで物流拠点としての機能強化と産業基盤の拡大を同時に果たし、周辺地域産業の発展に大きく寄与してきました。現在の八戸港は河原木地区と八太郎地区の間に河口を有する馬淵川からの流下土砂による航路・泊地の埋没対策が課題となっております。
 八戸港の物流機能維持と航行船舶の安全確保のため、浚渫による水深確保と浚渫土砂を安定的に受け入れるため市川地区・八太郎地区における直轄土砂処分場の整備促進が急務となっております。また、港内静穏度の向上と沖合を航行する船舶の海難事故防止を図るため外航地区防波堤(中央・第二中央)の整備促進についても強く求められております。

市川地区(撮影:平成24年8月)

おわりに

 東日本大震災により甚大な被害を受けた防波堤等の復旧事業が平成25年7月末に完了したところでありますが、八戸港に対する期待はますます高まっております。八戸港湾・空港整備事務所では職員一丸となって、震災による影響を取り戻し、北東北国際物流拠点港としての機能強化を推進するために課題解決に向けた取り組みを加速して参ります。

八太郎地区(撮影:平成25年3月)


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