建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年7月号〉

能登と三大都市(東京・大阪・名古屋)を結ぶ「七尾氷見道路」

 国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所 所長
金澤 文彦


 金沢河川国道事務所は、能越自動車道、国道159号、国道8号において、バイパス整備や道路拡幅などの改築事業を推進しています。その中から今回は、能越自動車道の一部を構成する「七尾氷見道路」について当事務所の取り組みをご紹介します。
 能越自動車道は、石川県輪島市を起点とし、七尾市を経由して富山県砺波市に至る延長約100kmの高規格幹線道路です。
 七尾氷見道路は、高規格幹線道路網の形成と重要港湾七尾港・国際拠点港湾伏木富山港へのアクセス強化、国道160号の事前通行規制区間の迂回を目的とした道路であり、石川県内では、七尾市八幡から富山県境間の延長約13.6kmで事業を推進しています。

事業の経緯

 七尾氷見道路は平成8年度に事業化し、平成13年度に用地着手、平成15年度に工事着手しました。
 平成21年度に氷見北IC〜氷見IC間、平成23年度に灘浦IC〜氷見北IC間、平成24年度には七尾城山IC〜七尾大泊IC間が開通しました。
七尾城山IC〜七尾大泊IC 供用式典(H25.3.24)

期待される効果

(1)渋滞緩和
 七尾氷見道路の整備によって円滑な走行環境が確保され、国道160号の主要渋滞箇所における混雑の緩和が期待されます。例えば七尾市役所〜氷見市役所間の旅行速度が向上するとともに走行距離が約3km短縮し、旅行時間約21分の短縮が見込まれます。

(2)交通事故の減少

 また、生活道路の安全性向上も期待されます。これまで、国道160号は県境付近を中心に線形不良区間が多く、事故危険区間や死傷事故率の高い交差点が点在していました。七尾氷見道路の整備により、大型車等の通過交通が転換し、国道160号の安全性が向上します。

千野地区工事状況(H26.3.22撮影) 城山高架橋工事状況(H26.4.28撮影)
(3)代替えルートの確保

 富山湾沿岸部を通過する国道160号は、約7割が連続雨量や越波による事前通行規制区間に該当し、年平均約1.3日の全面通行止めが発生しています。国道160号で通行規制が発生しても、七尾氷見道路が迂回ルートとして確保され、緊急時における周辺地域の安全性が向上します。

(4)第三次医療施設へのアクセス向上

能越自動車道整備に伴う観光圏域の拡大
能登地域と3大都市圏のアクセス性向上
 七尾氷見道路周辺には、能登地域唯一の第三次医療施設である公立能登総合病院があります。七尾氷見道路の整備により、沿岸地域から第三次医療施設への搬送時間が短縮し、救命救急活動支援に寄与することが期待されます。

(5)主要観光地へのアクセス向上

 北陸新幹線は平成27年春の開業が予定されており、また七尾氷見道路も平成26年度末の全線開通を予定し、平成25年3月末に無料化となった“のと里山海道”と連携し、主要観光地へのアクセスルートとしての機能性向上だけでなく、新幹線を利用する観光客のアクセス利便性の向上、地域活性化へ寄与することなどが期待されます。

今後の見通し

 平成26年度は(仮称)七尾IC〜七尾城山IC間(延長3.2km)及び、七尾大泊IC〜灘浦IC間(延長7.1kmのうち石川県区間1.1km)の開通を目指し、改良工事、橋梁工事、及び舗装工事等を完成させ、年度内の開通を予定しています。
 上記の区間が開通することにより、(仮称)七尾IC〜氷見ICまでの七尾氷見道路(延長28.1km)が全線開通することになります。能登地域・富山県西部地域とのつながりが強化されることはいうまでもありませんが、その波及効果として、石川県・富山県の産業・経済・文化の交流が深まることが期待されます。能越自動車道と北陸自動車道・東海北陸自動車道・中部縦貫自動車道とが連携し、能登地域と東京・大阪・名古屋を中心とする三大都市圏との交流を促進し北陸地方全体の発展を目指していきます。

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