建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年7月号〉

 副局長インタビュー 宗谷総合振興局

主要産業の酪農・水産・観光資源を活かした事業や経済振興と安全な地域づくりを目指す

 北海道 宗谷総合振興局 副局長(建設管理部担当)
安田 郁夫
 やすだ・いくお
 昭和31年7月8日生まれ 利尻郡利尻町出身
 北見工業大学 卒業
 昭和54年10月 北海道庁入庁
 平成13年4月 釧路土木現業所 工事契約課 主幹
 平成15年6月 釧路土木現業所 道路建設課長
 平成17年4月 建設部砂防災害課 主幹
 平成20年4月 稚内土木現業所 企画調整室長
 平成22年4月 十勝総合振興局 帯広建設管理部事業室長
 平成23年6月 建設部建設管理局建設情報課 建設業支援担当課長
 平成25年4月 建設部建設政策局施設防災課 津波防災担当課長
 平成26年4月 現職

―― 副局長就任にあたりまして事業推進の抱負をお聞かせ下さい
安田 宗谷管内は、利尻礼文サロベツ国立公園やラムサール条約登録湿地などを有する雄大な自然を生かした観光業や日本海、オホーツク海に接し道内上位の水揚げ量を誇る水産業、冷涼な気候風土を活かした酪農業も盛んな地域となっています。
 稚内建設管理部は、これらの豊富な資源を活かした地域の振興に資する経済活動を支えるとともに、地域の方々の安全安心な暮らしの確保に向け、地元市町村などの関係機関と連携を図りながら、社会資本整備に向けた各種取り組みを推進してまいります。
 また、これまで整備した社会資本施設についてもライフサイクルコストを見極めながら、効率的・効果的な維持管理を行い、既存施設の長寿命化を図ってまいります。
―― 安全で安心な地域づくりや防災強化に向けた取り組みについてお聞かせください
安田 当管内は、交通手段の多くは道路に依存していることから、道路交通ネットワークの強化を進めるとともに、冬期間における管内特有の地吹雪・吹きだまりなどに対して安全で安心な通年交通を確保に向けた整備事業を推進します。
 また、橋梁等の点検・補修事業を行い既存施設の長寿命化を図ってまいります。河川及び砂防事業では、自然災害から住民の生命や財産を守り、安全で安心に暮らせる地域づくりを目指し、河川改修整備や砂防施設・急傾斜地崩壊防止施設の整備を推進するとともに、ソフト対策として土砂災害警戒区域等の指定を推進します。
クサンル川総合流域防災工事(予備費)(繰越)
―― 平成26年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境など「北海道価値」を高める整備事業の取り組みをお伺いします
安田 本年度の事業推進にあたり、特に水産業や観光資源を活かした事業や経済振興と安全で安全な地域づくりを目指します。
 その中で、元地香深線(新トンネル)事業については、本路線は礼文島最大の水揚げの元地漁港がある元地地区と島の玄関口である香深地区を結ぶ唯一の路線であり、水産物の流通や「桃岩」「地蔵岩」など観光地への往来、緊急車両の通行等、必要不可欠な道路ですが、落石による通行止めが常時懸念されており、抜本的な対策が喫緊の課題となっています。本事業による落石危険箇所を回避することにより、安全・安心な通行が確保され、民政の安定や経済活動の活性化が図られます。また、地元住民からは一日も早い開通が期待されており、平成29年度の供用開始を目指して、事業推進をしています。
 次に、利尻富士利尻線(鴛泊地区)ですが、本路線は、利尻島の幹線道路であるとともに、緊急輸送道路にも指定されており、防災、救急医療、漁業など日常生活から観光支援に至るまで、島民にとってなくてはならない重要な路線です。
 鴛泊地区は、沿線に官公庁や旅館が連なり、商店街も形成され、さらに鴛泊フェリーターミナルや利尻空港が近くにあることから、本土との玄関口として多くの観光客で賑わっている地域ですが、当該地区は市街地における隘路区間であり、道路幅員が狭く歩道も未整備のため、車両のすれ違いに困難が生じており、特に冬期間には、路肩に堆積した雪の影響により歩行者が危険にさらされています。
 さらには、急勾配・急カーブ区間を有しているため、大型バスなどの通行車両の円滑な走行に支障を来たしていることから道路整備を図ることにより隘路を解消し、冬期間を含めた安全で円滑な道路交通の確保を図ります。
 さらに、河川事業のクサンル川ですが、稚内市街地を流れ、国道40号やJR宗谷線と交差しながら稚内港へ流下している2級河川です。流域の急速な宅地化により洪水流量の増大を招き、度々洪水被害が発生しているため、河道の拡幅による整備を進めます。
―― 地域活性化に向けた社会資本整備事業に貢献し、災害時の復旧対策などを担う建設業界への要望・期待などお聞かせください
安田 管内の建設業は、地域に精通し経済、雇用、安全、安心を守る重要な役割を担っています。また、若い世代が業界の活性化にむけて様々な取り組みを行なっています。
 私共としても、経営の安定に向けた「経営効率化の取り組み」を地域事情を踏まえてさらに進めていきたい。また、課題でもあります人材の確保に関しても、建設業の役割や魅力を地域の方々に、業界と一緒になって発信してまいります。
利尻富士利尻線 改良工事(鴛泊工区)(補正・明許)

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