建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年7月号〉

 副局長インタビュー 渡島総合振興局・檜山振興局

北海道新幹線や高規格幹線道路整備事業に連動した高速交通ネットワークの形成

 北海道 渡島総合振興局副局長(建設管理部担当)
 兼 檜山振興局 副局長
小林 敏克
 こばやし・としかつ
 昭和35年8月30日生まれ
 昭和58年4月1日 函館土木現業所
 平成18年4月1日 旭川土木現業所事業部治水課長
 平成20年4月1日 建設部建設管理局建設政策課主幹
 平成22年4月1日 釧路総合振興局釧路建設管理部事業室長
 平成24年4月1日 総合政策部政策局社会資本課長
 平成25年4月1日 渡島総合振興局副局長(建設管理部担当)兼檜山振興局副局長

―― 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせください
小林 日頃からの建設行政の推進にご理解とご協力をいただき心から感謝します。
 道南地域では、北海道新幹線の開業を平成28年3月に控え、レールの敷設や架線工事がほぼ完了し、新型車両デザインも公表されるなど、いよいよ開業が近づいているということを実感できる段階になってきました。
 夏前には新函館(仮称)駅舎及び木古内駅舎の外観も出来上がる予定です。開業に向けた準備やイベントの実施など、さらなる機運の醸成に官民あげた取り組みが進められています。
 また、道新幹線の開業効果を全道に波及させる観点から、高規格幹線道路の整備も急ピッチで進められており、新たな高速ネットワークが形成されつつあります。
 函館建設管理部においても、その整備効果を最大限に発揮するため、これらに連動する必要な社会資本整備を促進していきたいと考えています。
 また、災害の多い昨今にあって、災害に強く安全性の高い道路整備や総合的な治水対策、土砂災害対策などの必要性を実感しているところです。このため、地域の皆様との情報の共有が重要です。
 折々の機会に各市町の皆様や建設業の皆様方と意見交換を行い、災害に強い安心で安全な社会資本整備を進めてまいります。
厚沢部川
―― 安全で安心な地域づくりや防災強化に向けた取り組みについてお聞かせください
小林 自然災害による影響は、ここ道南地域でも大きなものがあります、昨年度も8月の大雨により、道道八雲厚沢部線において通行規制を余儀なくされるなど、地域の広範囲にわたって土木施設に被害がありました。
 自然災害に対する備えは、安全・安心な地域づくりに重要な課題です。このため、治水事業では、久根別川(北斗市、七飯町)や厚沢部川(江差町、厚沢部町)、太櫓川(せたな町)などで引き続き河川改修に取り組むとともに、新たに、青苗川(奥尻町)、馬場川(せたな町)などの防潮水門において施設の延命化に着手します。
 道路事業では、老朽化が著しく、大型車両のすれ違いに支障をきたしている八雲今金線の今金橋の架替を図るなど道南地域の安全・安心の確保に努めてまいります。
 また、砂防事業では、駒ケ岳など火山地域における土砂災害対策で八幡川(函館市)などにおいて事業を推進するとともに、石倉川(森町)の事業完成を目指します。
 急傾斜地事業では、函館山背泊(函館市)、知内市街地(知内町)などで崖地における土砂崩れ対策を推進します。
 また、建設海岸事業では、高潮対策として進めている松前海岸(松前町)の事業完成を目指すほか、石倉海岸(森町)、山越海岸(八雲町)において老朽化対策を進めます。
 漁港事業では、鹿部漁港の水産流通基盤整備事業(鹿部町)や長万部漁港(長万部町)、掛澗漁港(森町)の機能保全事業の完成を目指しています。新たに、蛯谷漁港(森町)など7漁港で機能保全事業に着手します。
新吉堀トンネル
―― 平成26年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業・の向上や観光・環境など「北海道価値」を高める整備事業の取り組みを伺います
小林 道では、道南地域の魅力である食と観光を軸とした取り組みを積極的に進めており、北海道新幹線を活かした振興策が最重要課題となっています。
 このため、函館建設管理部では、平成27年度中の道新幹線開業に向け、開業後のまちづくりを支援するため、新幹線駅が設置される新函館駅(仮称)や木古内駅の駅前通りの整備を推進します。
 さらに、開業効果を道南全域に波及させる観点から、平成25年度から江差木古内線の新吉堀トンネル(上ノ国町、木古内町)に着手しており、木古内駅と檜山方面とのアクセス機能向上を図ります。
 また、道南地域では新たな高速交通ネットワークの形成が急ピッチで進展しています。地域高規格道路の函館新外環状道路(新外環)は、函館IC〜赤川IC間が平成26年度中の供用を目指しています。さらに、函館・江差自動車道の北斗茂辺地IC〜木古内IC間も整備が進められています。
 函館建設管理部では、これらの動きに連動して、函館新外環状道路関連では赤井川ICに接続する3・3・20放射2号線(函館市)などの整備を推進するほか、函館上磯線(産業道路)の渋滞緩和のため3・4・47文教通(函館市)の早期完成を目指しています。
 さらに、主要観光地の一つである大沼地域は、平成24年にラムサール条約登録湿地となり魅力が一層高まりました。そこで、七飯町が策定している「大沼環境活性化ビジョン」を支援し良好な河川空間の創出のため、大沼環境整備事業を実施し、掘削・護岸工を実施し、町と連携しながら地域の魅力向上に努めていきます。
文教通
―― 地域活性化に向けた社会資本整備事業に貢献し、災害時の復旧対策などを担う建設業界への要望や期待などお聞かせください
小林 建設業は、社会費本整備において重要な役割を担うとともに、災害発生時真っ先に被災現場に駆けつけ復旧作業などに大きな力を発揮し、地域防災上なくてならない存在です。また、道内の主要産業の一つとして地域経済を支える大きな役割を果たしております。
 しかしながら、高まりつつある社会資本整備の需要に比して技能労働者の不足が指摘されるなど、業界全体の疲弊が懸念されことから、業界の意見を聞きながら、具体的な取り組みを進めてまいります。建設業界には、これまで培われた確かな技術やノウハウの発揮に期待するとともに、私どもとしても地域振興・活性化・安全・安心の確保に向け、地域に密着した存在である建設業界と綿密に連携を図って参りたいと考えております。
大沼環境整備事業(護岸工)

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