建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年7月号〉

 副局長インタビュー 後志総合振興局副局長(建設管理部担当)

“しりべしの食と観光”を生かし、地域を支える交通ネットワークを形成

 北海道 後志総合振興局 副局長(建設管理部担当)
小林亘
 こばやし・わたる
 昭和32年10月8日生、札幌市出身
 平成16年4月1日 日高支庁地域政策課 主幹
 平成19年6月1日 建設部土木局河川課 主幹
 平成21年4月1日 小樽土木現業所企画調整室 室長
 平成22年4月1日 苫小牧港管理組合 施設部長
 平成24年4月1日 建設部空港港湾局物流港湾課 物流担当課長
 平成25年4月1日 総合政策部物流港湾室 参事
 平成26年4月1日 現職

―― 副局長ご就任にあたっての抱負をお聞かせください
小林 小樽建設管理部は、企画調整室長として勤務した平成21年度以来5年ぶりの勤務です。これまで本庁勤務が長く、前職では北海道の物流に関する施策に従事し、公共事業の発注業務や道路や河川等の公物管理といった、建設部出先機関の業務経験が少ないので、いろいろ勉強しながら頑張って参ります。
 後志管内では、北海道新幹線の札幌延伸や北海道横断自動車道共和余市間の新規着手など、地域の振興や観光振興、安全安心の確保に大きく寄与する交通ネットワークの整備が進められています。
 管内の市町村では、これらの整備に合わせ、雄大な自然を体験できるラフティングや、豊富な観光資源を活用したグルメ探索など、多種多様な体験滞在型観光メニューの創出や、地域が有している魅力を国内外に発信して観光振興に取り組んでおり、後志総合振興局では、こうした取り組みを支援しています。
 小樽建設管理部においても、小樽市や倶知安町の新幹線新駅を中心としたまちなみ整備への支援や、道横断道整備に関連する地方交通ネットワークの整備など、地域振興や観光振興につながる事業を推進しています。
 後志総合振興局は倶知安町に、小樽建設管理部は小樽市に存在し、車で約1時間の距離がありますが、私としては、総合振興局と一体となって、市町村の要望を聴きながら、まちづくりや道路の整備などに積極的に努めて参ります。
小樽西インター線
―― 安全で安心な地域づくりや防災強化に向けた取り組みをお聞かせください
小林 後志管内は、羊蹄山麓は初雪が早く道内屈指の豪雪地帯であり、積丹半島以南の海岸地帯は季節風を正面から受けて風雪が強く、波は波浪が激しくなります。
 このため暴風雪や豪雪、波浪などの気象状況に注意をはらう必要があり、小樽建設管理部では防災力強化に向けて、時間外・休日における非常配備マニュアルを作成し、平日以外においても異常気象発生に適格に対応する体制を整備するとともに、小樽建設協会と協定を結び、災害時の連絡体制や応急工事の迅速な実施に向けた体制を整備しております。
 安全安心を確保する主要な事業は、道路事業では、泊原子力発電所周辺地域の住民を迅速かつ確実に避難させる道道泊共和線の整備を進めます。また、道道小樽定山渓線の地すべり対策や、道道岩内洞爺線のロックシェッド、道道古平神恵内線の雪崩防止柵など、防災対策の事業を実施します。
 治水事業では、尻別川・オロッコ川で護岸や放水路の整備を、朱太川では流下能力を上げる整備計画を策定しております。急傾斜地・地すべり・海岸事業では、3カ所の新規事業を含む17カ所で事業を進めます。
小樽定山渓線(地すべり対策)
―― 平成26年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業や観光・環境など「北海道価値」を高める整備事業の取り組みをお伺いします
小林 管内の農業は、蘭越・共和の水稲、羊蹄山麓の畑作物・野菜、北後志の果樹、南後志の畜産など、幅広い生産活動が行われており、「北海道農業の縮図」と呼べる特徴があります。
 漁業は、古くは「ニシン漁」で栄え、刺し網等の漁船漁業を主体として発展してきましたが、漁業就労者の減少や高齢化に加え、沖合漁業からの撤退、縮小、輸入水産物の増加や魚価の低迷などにより、漁業生産が低迷していますが、サケやサクラマスまたヒラメやニシンなどの採卵増殖事業や、ウニの種苗放流など、資源増産に取り組んでいます。
 観光面では、管内は景観に優れ、歴史・伝統文化に富み、また雪質のよさで世界有数のリゾートとして知られるニセコアンヌプリ、豊富な湧出量がある多くの温泉など観光資源に恵まれ、年間約1,856万人の観光客が訪れます。
 今般、後志管内では、雄大な自然を利用した登山やラフティング、カヌーなどのアウトドアスポーツの体験や、果樹狩りや野菜の収穫、漁業を実施する「体験型観光」のメニューが増え、観光客も増加しています。このように、後志は北海道らしさを一度に体験できる体験観光王国であり、小樽建設管理部では、地域産業や観光の振興のため、小樽市と観光地との交通アクセスの向上を図る、小樽西インター線や小樽環状線の最上トンネルを整備します。また観光地における冬期歩行や車両通行の安全性向上のため、ニセコ高原比羅夫線において歩道の新設やロードヒーティングの整備をします。
―― 地域活性化に向けた社会資本整備事業に貢献し、災害時の復旧対策などを担う建設業界への要望・期待などお聞かせ下さい
小林 日本各地において異常気象の発生が増加しております。後志管内も豪雨や豪雪が頻発しております。
 このため、災害に強い交通インフラや治水施設の整備や施設の適切な維持管理は重要と考えており、その実施においては建設業界の皆様方の協力が不可欠ですので、引き続きご協力をお願いします。
 小樽建設管理部でも小樽建設協会と災害時の連絡体制を定め、管内各地の建設業者の皆様とともに、地域を支える協力体制をつくって参りたいと考えています。
朱太川

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