建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年6月号〉

石見(いわみ)の国のかわづくり・みちづくり・地域づくり

 国土交通省 中国地方整備局 浜田河川国道事務所 所長
松本 治男




浜田河川国道事務所の管理区域

一.管内の概要

 浜田河川国道事務所が管轄している石見地域(石央(せきおう)・石西(せきせい))は、中国地方の北西部にあり、東は鳥取県〜京阪神方面へ、西は山口県〜九州方面に、南は中国山地で広島県に接し、北は日本海に面しています。石見地域は島根県の面積の約半分、人口の約1/4を占めており、近年は人口減少や高齢化が顕著になってきています。「いわみ」の名にあるように、山が海まで迫り、平地が少なく、災害が起こりやすい地形・地質で、降水量も多く、幾度となく洪水などに見舞われています。その半面、美しい自然景観に恵まれ、古くから文人に親しまれ、万葉の歌人柿本人麻呂がその美しい情景を妻への想いとともに情熱的に歌い上げた地としても知られています。

ニ.主な事業の概要

○河川事業
 浜田河川国道事務所は江の川、高津川の二水系の一級河川を管理しています。江の川は中国山地のほぼ中央を貫流して江津市において日本海に注ぐ「中国太郎」の異名を持つ中国地方最大の河川です。その流域は広島県・島根県に属し、流域面積3,900km2(全国16位、中国地方1位)、幹川流路延長194.0km(全国12位、中国地方1位)となっています。高津川は、中国山地の西部を源流とし、益田市において日本海に注ぐ、流域面積1,090km2、幹川流路延長81kmの河川です。一級河川で唯一、支流を含めてダムが一つもなく、日本有数の清流として知られています。
 江の川の下流部は山間狭隘部に集落が点在しており、通常の築堤方式で施工した場合、堤防高が高い箇所で約20mとなり、堤防と背後の急峻な山に囲まれた窪地に家屋が残ることによる住環境の悪化、貴重な田畑が著しく減少するなどの弊害が発生しています。これを解消するため、対象地区を想定した洪水水位までかさ上げを行うことにより、治水の安全度を確保しつつ山間部の狭い土地の有効利用を図る、土地利用一体型水防災事業を行っています。また、堤防に沿って見られる幅20〜30mの竹林は、約1200年前に弘法大師の教えにより竹を植えたと伝えられています。竹林が出水時の水の勢いを緩和し、堤防の侵食崩壊を防ぐのに役立つことが経験的に知られ広まったものと考えられています。
 高津川においては、土砂堆積等による河道断面不足が生じています。河道掘削等の工事に際しては貴重な鮎の産卵場や瀬、淵等の保全に配慮する必要があります。このため計画段階から学識経験者や漁協関係者・市民の方々に意見を伺い、地域と連携を図りつつ事業を進めています。

浜田河川国道事務所 国道9号、191号管理区間
一般国道9号 浜田・三隅道路(路線図)


○道路事業

@一般国道9号浜田・三隅道路

 浜田市原井町から浜田市三隅町森溝上の間で整備している浜田・三隅道路は、国道9号にある多数の事故多発箇所や防災対策箇所の解消、主要渋滞ポイントである熱田交差点の渋滞緩和等を目的とした延長14.5kmの自動車専用道路であり、山陰自動車道の一部として事業を進めています。
 平成25年度末の進捗率は約8割(事業費ベース)であり、現在、改良、橋梁、舗装などの工事を全区間で展開しています。浜田市原井町から浜田市西村町(西村IC(仮称))までは平成26年度に、浜田市西村町から浜田市三隅町森溝上までは平成28年度内の供用を目指し、引き続き事業を推進します。

A一般国道9号三隅・益田道路

 浜田市三隅町から益田市遠田町の間で整備を行う三隅・益田道路は、国道9号の代替機能の確保と広域医療の連携強化、地域経済の活性化を目的とした延長15.2kmの自動車専用道路であり、山陰道自動車道の一部として事業を進めています。
 平成24年度に新規事業化され、測量や地質調査、詳細設計を進めています。
一般国道9号 三隅・益田道路(路線図)

B維持管理

 国道9号(江津市黒松町から山口県境までの124.5km)と国道191号(国道9号との交差点(中吉田交差点)から山口県境までの15.4km)を管理しています。この区間において道路パトロールや橋梁等の道路構造物の点検、補修及びより地域に密着した歩道整備など安全で安心な道路整備を推進していきます。
 また、国道9号の山口県境付近は、標高が高く急勾配が続くため冬季においては、除雪および路面凍結防止対策を行い幹線道路としての交通確保に努めています。

三.おわりに

 当事務所では、石見地域の川・道・地域を一体的に考え、地域の皆様が安全安心に暮らせ、美しく活力ある石見地域を目指し、石見地域の個性を生かした地域づくりにつながる真に必要とされる公共事業を着実に進めてまいります。

HOME