建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年5月号〉

寄稿シリーズ 現場代理人の目

建設現場の最前線から
〜北海道建設部 釧路建設管理部編




 建設現場は現場代理人をトップに、多くの作業員、重機オペレーターらが、専門的知識と技能をフルに発揮する技術者たちの晴れ舞台でもある。だが、現場は常に平坦な場所とは限らず、寒風吹き荒れる野ざらしの現場や、目のくらむ高所や陽光の届かない地下、坑内の場合もあり、危険も伴うために一般者が立ち入ることは出来ない聖域だ。そうした人目から隔離された建設現場の様子を、最前線で陣頭指揮にあたる現場代理人の寄稿を通じて紹介する。

北海道建設部 釧路建設管理部


●伊茶仁海岸 高潮対策工事(補正・明許)外
  株式会社 上田組 現場代理人 遠藤 正美


●別海漁港農山漁村地域整備交付金工事
  白崎・釧石・堀松 特定建設工事共同企業体 現場代理人 門脇 博雅


●根室中標津線道路改良工事(ゼロ国債)
  高玉・三友経常建設共同企業体 現場代理人(高玉建設工業株式会社) 須崎 和徳


●友知漁港 機能強化工事1工区(補正・明許)
  真壁建設株式会社 現場代理人 森 弘之


●春採川統合河川整備工事外(電気設備)
  サンエス・山本電子経常建設共同企業体 現場代理人 小枝 秀昭




伊茶仁海岸 高潮対策工事(補正・明許)外

株式会社 上田組

現場代理人 遠藤 正美

 私たちは、伊茶仁海岸 高潮対策工事(補正・明許)外を担当しています。
この地域は、潮流や、波浪の影響により近年急速に海岸線の浸食が進み、漁業従事者及び近隣住民の生活に不安や、支障をきたす恐れがあり早期の整備が必要とされていました。
 海岸線に、波返しや、消波ブロック、根固めブロックの施設を整備することにより高潮や津波に対する防護となり安全で安心して生活できる環境を整えることを目的とした工事です。
 主な工事内容としては、捨石工(中割石)の上にH=4.6mの波返工を138.5m施工、根固めブロック、被覆ブロックの製作・据付を行う工事です。
 また、魚類保護・遡上による制約により、標津川河口から300m以内の区域において秋サケの回遊・遡上に影響をおよぼす事が想定される為、重機の作業時にはリアルタイムで振動・騒音レベルを調査記録し振動・騒音の低減に努めながら作業を進め、地元漁業者及び地域住民の方々の協力の元、計画通り工事は3月20日に無事工事を完成することが出来ました。




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別海漁港農山漁村地域整備交付金工事

白崎・釧石・堀松 特定建設工事共同企業体

現場代理人 門脇 博雅

 私たち白崎・釧石・堀松 特定建設工事共同企業体は、釧路建設管理部(中標津出張所)発注の「別海漁港農山漁村地域整備交付金工事」の施工をおこなっております。
 この工事は、別海漁港内の静穏を高めるために防波堤を延伸する工事です。
 床掘→基礎石投石→水中コンクリート→場所打ち式上部コンクリートと通常の混成堤ですが、漁港の年間漁獲が集中する時期の一時工事中止や漁港利用者への配慮した作業といたました。
 基礎石厚さ7mの石材投入に関わる工程と沈下の動向に注意しながら施工しております。
 漁港利用者とのコミュニケーション向上のため魚釣りや食事、除雪等を通した対話の中からも漁港完成の待望感を強く感じています。漁港利用者から注目の集まる中、期待に沿える漁港完成へ向けて、作業者の目線を重視して不断の努力により安全施工を進めています。




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根室中標津線道路改良工事(ゼロ国債)

高玉・三友経常建設共同企業体

現場代理人(高玉建設工業株式会社) 須崎 和徳

 私たちは、釧路建設管理部発注の根室中標津線道路改良工事(ゼロ国債)を担当しました。
 主要地方道根室中標津線は、根室市及び重要港湾根室港と中標津町及び中標津空港とを連絡する物流、観光、医療福祉等において重要な役割を担う地域高規格道路に指定されています。
 当該工事は地域高規格道路として必要な機能を備えるため、現道活用を主体とした線形改良、現道拡幅を行い「走行性と安全の向上」・「円滑な交通確保」を目的とし、安全で利便性の高い路線を確保するため、平成19年度に着工し平成27年度の完成を目指して工事が継続されています。
 当該工事は5月〜12月の8ヶ月間のほとんどを片側交互通行規制による作業を行い、路盤置換え時には既設舗装版を撤去して砂利道にて路面開放を行うため、交通規制時及び降雨時の路面凸凹による一般車両の交通事故が懸念されましたが、休日・夜間を問わず実施した砂利道補修によって、道路利用者の安全性・利便性を損なうことなく施工できたと考えています。
 工事の施工にあたり、ご指導ご協力いただいた発注者の皆様、無事故・無災害を達成するため現場代理人の無理難題を受け入れてくれた現場従事者の方々、並びに工事へのご理解とご協力をいただいた地域住民及び一般通行車両の皆様に深く感謝いたします。




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友知漁港 機能強化工事1工区(補正・明許)

真壁建設株式会社

現場代理人 森 弘之

 友知漁港は、根室半島の太平洋側に面していて、昆布漁を主体としている漁港です。
 当工事は、釧路建設管理部発注の工事で友知漁港に出入港する漁船が安全に航行する水深(-3.5m)を確保するための航路区域や年々浅くなってくる漁港内の水深(-3.0m)を確保するための泊地区域を浚渫する工事です。
 工事受注後、-3.5m航路内で潮位が低い時に、漁船の船底が地盤と接触する箇所があるので早急に航路の浚渫を開始してほしいという地元の要望もあり、5月18日から浚渫を開始しました。6月末まで浚渫作業を行い、昆布漁の影響で7月1日〜10月末までの期間は工事を中断し、11月1日から再開しました。
 漁港の間口が狭く、漁船との接触事故が懸念されたので、監視人の配置や濃霧で視界が悪いときなどは監視船を配置して、漁船の動向に注意しながら作業を行いました。また漁業協同組合や地元期成会と連絡を取り合い漁船の係船位置の移動等の協力を得ながら、円滑に工事を進めることができました。
 土砂運搬路の周辺には昆布の干場が多数あり、土砂運搬時に干場に粉塵が飛散しないように運搬路の状態を日々確認し、粉塵の飛散が予想されるときには、運搬路の散水、自社の道路清掃車による道路清掃を実施しました。
 工事繁忙期に気象や海象の悪化により工程が遅れ、工程的に厳しいときもありましたが、発注者や地元関係者協力業者の協力を受け、苦情等も無く、無事故・無災害で工事を終了することができました。




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春採川統合河川整備工事外(電気設備)

サンエス・山本電子経常建設共同企業体

現場代理人 小枝 秀昭

 釧路市内にある春採湖は、海との標高差がほとんどない為、満潮や高潮時には、海水が春採川を逆流し湖内に流れ込む為、湖に生息する生物の生態系をたびたび脅かしていました。
 本工事では、河口の防潮水門ゲートを遠隔操作により自動開閉する事により海水の逆流を防ぎ、春採湖の生態を保護する事を目的とした事業です。
 防潮水門に3台の監視カメラを設置し、河口・水門ゲート・上流河川を映し釧路建設管理部、釧路市役所、釧路市消防本部に設置した端末機により現地の状況をモニター映像を確認しながら、水門ゲートの開閉が操作出来る様にし、状況の変化に対応して、迅速に対応出来るシステムを構築しました。
 津波対策として、防潮水門に地震計を設置し、震度4以上観測した場合には、自動で水門ゲートを閉めるシステムを構築し、J-ALERTにより津波注意報・津波警報・大津波警報を受信した場合にも、自動で水門ゲートを閉めるシステムを構築しています。
 本工事においては、システム全体の試験・調整に大変苦労致しましたが、無事故・無災害で工事を完成する事が出来、又少しでも地域に貢献できた事が良かったです。



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