建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年5月号〉

国際競争力の強化に向けて

 国土交通省 近畿地方整備局
神戸港湾事務所長 所長
中島 靖




神戸港全景

 私たち神戸港湾事務所は、昭和9年に内務省神戸土木出張所神戸港修築事務所として開設以来、神戸のみなとと共に歩んできました。神戸港、尼崎西宮芦屋港、姫路港を中心とした港の整備を通して、国際化時代に対応した物流機能強化とにぎわいのあるみなとまちづくりを目指しています。平成7年には、阪神・淡路大震災に見舞われましたが、被災した港の整備を通して神戸の復興に貢献しました。現在は、神戸港の整備に重点を置いて、整備を行っています。
 神戸港は東アジアの玄関口として、世界約130余りの国・地域、500余りの港を結ぶ数多くの国際定期船が寄港しています。アジア主要港と遜色のないコスト・サービスの実現を目指すスーパー中枢港湾のひとつとして指定を受け、一定の成果を挙げてきましたが、アジア主要国との国際港湾間の競争はますます激化しています。
 平成22年には、国際コンテナ戦略港湾「阪神港(神戸港・大阪港)」として指定を受け、更なる国際競争力の強化に向けて取り組んでいるところです。

国際海上コンテナターミナル整備事業
 ポートアイランド(第2期)地区は、国際海上コンテナ貨物輸送のコストを低減と安定的な輸送サービスを確保するため、次世代高規格コンテナターミナルの整備を進めており、連続するバースとしては国内最大級となる延長1,150m、水深16mの岸壁(PC15E〜17)の耐震強化と前面水域である航路・泊地の浚渫を行いました。また、船舶の大型化等と交通の輻輳に鑑み、平成24年度には第3航路の幅員を600mに港湾計画を一部変更しています。
 平成26年度は、引き続き次世代高規格コンテナターミナルの整備に伴う航路(-16m)及び航路・泊地(-16m)の浚渫等を実施するとともに、コンテナ物流の更なる効率化に資するための荷さばき地の液状化対策工事を実施します。

六甲アイランド

 六甲アイランド地区は、昭和47年に着工し、20年の歳月をかけて、平成4年9月に埋立てが完了した総面積595haの人工島です。周囲には、コンテナバースや、関西国際空港へのカーゴアクセス基地K-ACT(神戸空港貨物ターミナル)が整備されており、その背後には冷蔵倉庫団地等の物流関連施設が立地し、海空陸の総合物流拠点として機能しています。中央部では、国際化、高度情報化、高齢化に対応すべく、多種機能都市づくりを進めています。また、南側中央部にウオ―ターフロント緑地として、六甲マリンパークが整備されています。大型化するコンテナ船に対応し、国際海上コンテナ貨物輸送のコストを低減するため、六甲アイランド地区において国際海上コンテナターミナルの増進改良を進めてきました。
 平成26年度は、耐震強化岸壁(水深16m)(RC-7)の増深改良としてエプロン部の改良工事等を実施します。また、岸壁(水深12m)(RW〜RZ)の老朽化対策として改良工事を実施します。
 尼崎西宮芦屋港では、尼崎地区で国際物流ターミナルの整備を行っています。地域経済の基盤を強化し、地域産業の競争力を高めるとともに、大規模地震発生時の救援物資等の海上輸送を確保するため、国際物流ターミナルの整備を進めており、耐震強化岸壁(水深12m)の岸壁部分が平成22年度に完成しました。
 平成26年度は、引き続き国際物流ターミナルの整備に伴う水深12mの航路の浚渫と岸壁(水深10m)の老朽化対策として桟橋部分の改良工事を実施します。

姫路港須加地区
 姫路港では、須賀地区で泊地・航路整備を行っています。流下土砂の堆積により低下している航路・泊地の機能を回復し、安全で効率的な船舶航行を確保するため、泊地及び航路の整備を進めており、引き続き水深12mの泊地の浚渫を実施します。
 また、同港浜田地区では、岸壁改良事業として、老朽化した岸壁(水深10m)の現地調査と改良工法等の検討を行います。
 この他、当事務所では、海洋環境整備事業として、海洋汚染の防除、航行船舶の安全性の向上、海洋環境の保全と改善を目的に、海洋環境整備船による海面に浮遊しているゴミや油の回収、水質及び底質等の調査観測などを行っています。こうした海洋環境整備事業は、1974年から実施してきましたが、現在は「Dr.海洋」(2007年4月就航)と「クリーンはりま」(2013年4月就航)の2隻が従事しています。
海洋環境整備船「Dr.海洋」 海洋環境整備船「クリーンはりま」
 経済のグローバル化や東アジア地域の経済発展などにより、アジア発着コンテナ貨物が急増している中、わが国港湾相対的地位は低下してきています。しかし、わが国の産業活動や国民生活を物流面から支えるためには基幹的な航路を維持・拡大していくことが必要であり、今後とも港湾機能の強化を図ってまいります。

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