建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2014年1月号〉

【連載シリーズ 第5回】

国交省の広報戦略

―― 大衆へのPRとイメージアップで建設業の再評価へ

国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課


B入職促進に向けた取組・ ノウハウの共有

 各団体・企業で実施している入職促進に向けた出前講座や現場実習、若者向けPR活動などの取組について情報の共有化を図るとともに、各団体・企業で実施している取組のうち、優良事例のノウハウを抽出し、各団体・企業における取組にフィードバックすることが必要です。

C入職促進に関する関係機関との連携

 中学・高校・専門学校、大学等の教育機関、職業訓練機関、労働施策担当機関などと建設産業との間で定期的な意見交換会を開催するなどにより、入職促進に関する関係機関との連携を強化し、各方面のニーズを踏まえた的確な入職促進策を推進することが必要です。


4)一般的な広報活動の推進
 関係団体により構成される建設産業の魅力発信推進協議会(仮称)を中心に、建設産業界全体として取り組むことでより高い効果が期待される、次のような取組を業界横断的に推進することが必要です。

@業界横断的な情報発信の推進

・建設産業の魅力を発信する総合HPの開設
 戦略的広報テーマを設定するとともに、各団体や企業からの情報提供を受け一元的に情報発信を行う総合HPを開設。また、スクリーンセーバー、壁紙の配布、ソーシャルメディアの活用など、若者の関心を惹起するような取組を進めていくことも期待されます。
・共通ロゴ・トレードマーク・標語・マスコット等の作成
・優良広報の表彰

A新聞・雑誌等のメディアへの情報発信強化

・建設産業に対する理解・関心を持ってもらえるよう、受け手の関心を惹起するようなテーマを設定するなどの工夫を行いながら、記者懇談会、記者向け現場見学会などを定期的に開催。また、メディアに情報発信した内容が、どのように取り上げられているかについて適切にフィードバックし、取組に反映。
・若者の利用が多い、フェイスブック・Twitterなどのソーシャルメディアの活用に取り組む。

B建設企業や団体が行う情報発信の支援

・建設企業や団体の情報発信の取組を支援するため、広報ガイドラインを作成。作成に当たっては、5(2)の各ポイントや、地域における情報発信の必要性、情報の受け手の立場に立ったわかりやすい広報の実践、記者に読まれるプレスリリース、メディアチャンネルの特性に応じた対応、発信した結果のフォローと効果測定などに留意するとともに、具体的な事例の紹介に努めることが期待されます。
・作成したガイドラインについては、積極的かつ効果的な広報に向けて、中小建設企業向けの実践広報塾などにより周知・普及。
・建設業団体による戦略的広報や入職促進に向けた取組を加速するため、必要な支援制度を整備。

C地域での情報発信の強化

・企業活動の舞台となる、身近な地域社会での理解促進に向けて、地域建設企業や団体の地域での様々な活動について、地域メディアや地域広報誌に対して積極的に情報発信。
・建設産業による災害対応や地域貢献活動の事例集の作成や、災害時活動の記録方法、災害対応用の業界統一ベストの作成等について記載された災害時対応マニュアルの作成などにより、地域における建設産業の果たす役割を一般向けに分かりやすく情報発信。
・建設産業と地域社会の接点である工事現場の活用等により、地域住民の身近なところから建設産業に対する理解を醸成。さらに、オープンデー(一斉現場開放デー)など、インパクトのある現場見学等を実施。
・地域に密着する多くの建設企業は、地域における様々な課題の解決に向けて、地域における清掃・奉仕活動など、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。地域を支え、支えられる建設産業として、こうした取組を一層充実させていくとともに、地域とのコミュニケーションにより、さらにその内容に磨きをかけていくことが期待されます。

D広報活動のフォローアップ

・単にメディアに情報発信をするだけで終えるのではなく、その情報発信した内容が、どのように取り上げられているかについてフィードバックし、今後の広報活動に活かしていく。
・一般の人々の建設産業に対する認識を調査する、建設産業のイメージ調査(仮称)を定期的に実施することにより、戦略的広報の効果を継続的に測定し、今後の取組に活かしていく。 <平成25年度以降における取組>  平成25年3月25日に「担い手確保・育成検討会」においてとりまとめられたアクション・プランに基づき、平成25年8月28日に「建設産業戦略的広報推進協議会」を設置しました。
 また、6月21日には、「建設業の人材不足を改善するため、国土交通省・厚生労働省が連携〜「当面の建設人材不足対策」のとりまとめ〜」がプレスリリースされ、「建設産業戦略的広報推進協議会(仮称)」の枠組みを活用して、国交省・厚労省・業界団体が一体となって、仕事の場としての建設業の魅力を学生、求職者に広く戦略的に広報する取組みを推進することが発表されました。そこでは、建設業の総合HPの開設や出前講座、現場実習、地域貢献活動など身近な地域での情報発信の強化、労働局と連携した周知広報、広報ガイドラインの作成などが当面の対策として示されています。

5.最後に

 建設産業が、国土づくり・地域づくりの担い手として将来にわたり国民の期待に応え、その使命を果たしていくためには、行政はもとより、建設業界自らがこの産業の将来をしっかりと見据え、担い手の確保・育成に取り組むことが重要です。
 行政と建設業界が密に連携し、建設産業の更なる健全な発展のため努めていきたいと考えております。


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