建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年12月号〉

【連載シリーズ 第4回】

国交省の広報戦略

―― 大衆へのPRとイメージアップで建設業の再評価へ

国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課


CPDCAサイクル

 広報はともすると、出したら出しっぱなしに終わるきらいがあります。しかし、広報の質を上げ、受け手の関心をより高めるためには、出したものの成果がどうだったのか、どこがうまくいったのか、逆にうまくいかなかったとしたら何が問題だったのか、その都度効果を測定・検証して、次の広報にその反省を活かしていくことが必要です。既にそういった取組を導入して成功している事例も出ていますが、いわゆるPDCAサイクルを広報にも取り入れて進めていくことが必要です。

(3)戦略的広報に向けた提案(アクションプラン)
 建設産業の魅力を発信していくための戦略的広報を進めていくに当たり、当検討会で議論を重ねてきた具体的な提案(アクションプラン)は次のとおりです。建設産業に携わる関係者の自主的な取組を前提としつつ、これらの提案を踏まえて各々の立場から共通の目標を持って連携して取り組むことにより、一般社会と建設産業の間に良好なコミュニケーションを実現し、建設産業が正しく理解されるようになることが期待されます。

1)前提

@団体等の自主的な創意工夫をもとにする

 建設産業は、専門工事業者から総合建設業、建設コンサルタント等、多くの主体によって構成されています。そのため、各団体の自主的な創意工夫に基づき、各団体の考え方に沿って、広報の対象となる受け手にしっかりと届く広報を実施していくことを前提とします。

A持続的な取組による

 情報社会と言われる現代においては、毎日、数多の情報が様々なメディアを通じて飛び交っており、単発的な情報発信では、受け手に十分伝わることなく、発信者側の自己満足で終わってしまうこととなりかねません。情報は繰り返し目に触れ、耳に入ることで、人の意識に留まるようになるものです。建設産業の戦略的広報を行っていくためには、一過性のものではなく、持続的な取組により、根気よく継続して実施していくことを基本とします。

B身近な広報活動から始める

 広報は社会とのコミュニケーションであるということを認識し、一人一人が広報マインドを持つとともに、それぞれの身近に広報チャンネルがあることを意識して、できることから一つずつ広報活動に取り組まなくてはなりません。自分にできることは何かを見まわして、まずは身近な広報活動から取り組んでいくことを基本とします。

2)建設産業の横断的な取組

@必要性

 各業界団体や個々の企業は、様々な広報を行ってきていますが、若年技能労働者の入職促進ももはや待ったなしの状況に至り、建設産業と世間一般との大きな認識のギャップを埋めるための取組が求められます。状況の変化に的確に対応するためには、既存の団体ごとの取組だけではなく、建設産業全体の視点を持って、共通の目標を持ち、共通の戦略を持って、個々の立場を超えた取組を連携して進めることも必要です。

A建設産業界一体となった

情報発信に向けた体制の整備
 各団体の取組と合わせて、総合建設業から専門工事業まで建設産業一体となった情報発信を継続的に進めるため、関係団体により構成される建設産業戦略的広報推進協議会を立ち上げることにより、各団体の特徴ある広報の取組を共有することで相乗効果を発揮するとともに、後述する業界横断的な発信や支援の取組を具体的に検討・推進する場として活動を進めていくことが期待されます。また、協議会では、教育機関やマスコミ、他業界など建設業以外の有識者も参加することにより、外部の視点を取り入れていくことが期待されます。

3)若年者の入職促進に向けた取組

@建設産業に対する理解の醸成

 若年者の入職促進のためには、建設産業の姿を正しく伝え、まずは建設産業に対する理解を醸成していくことが必要です。このため、建設産業が果たしている社会的意義・役割を的確に伝えていくとともに、今後社会資本の本格的な維持管理の時代を迎える中での建設産業の将来性、災害時における国土や地域の守り手としての役割や地域での社会貢献活動などについて、若者の心に届くように情報発信していくことが期待されます。

A受け手に応じた取組

 いずれ生徒・学生になるこども、生徒・学生といった若者、学校の教員・学校そのもの、保護者、世間一般といった、伝えたい、理解してもらいたい相手(受け手)の状況に応じた情報発信を行っていくことが必要です。
イ.子どもに対する働きかけ
・子ども向け教材、マスコット、専用HP等の作成・提供など
ロ.生徒・学生に対する働きかけ
・見る・読む資料の作成・提供(周知資料・教材・インターネットHP等)
・体験の機会の提供(現場見学会・現場実習・出前講座・インターンシップ・富士教育センターでの体験学習等)
・企業を知る機会の提供(相談会や就職セミナーの開催等)
・建設業関連資格の紹介・取得支援
・キャリアアップイメージの公表(特に、多能工について) など
ハ.教員・学校との連携
・建設産業界と中学・高校・専門学校等との間で定期的な意見交換会を開催するなどにより、教育機関との連携の強化。
・教員や教育機関のニーズを踏まえた、見る・読む資料の作成・提供(建設労働者の社会保険加入に関するリーフレット・ポスターなど)
・体験の機会の提供(現場見学会・出前講座・富士教育センターでの体験学習等)
・建設業関連資格の紹介など
・保護者に対する働きかけ
・建設産業の社会的意義や役割などを中心とした見る・読む資料の作成・提供
・体験の機会の提供(現場見学会など)
・建設労働者の社会保険加入に関するリーフレット・ポスター
・建設業関連資格の紹介など
(第5回へ続く)


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