建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年11月号〉

コンクリート打設の現場から

―― 多目的ダムの早期施工

 由良川水系滝の尻川 西紀ダム堤体建設工事 西紀ダム作業所

 所長(前田・ウエダ特別共同企業体) 稲村 聡




1.はじめに

 西紀ダムは、由良川水系滝の尻川に建設中の重力式コンクリートダム(堤高26.7m、堤頂長172m、堤体積約38000m3)です。洪水調節、水道水確保、河川環境の保全、農業用水の安定供給といった役割を持つ多目的ダムです。地元からの要望が高く、工事の早期完成が望まれています。
 西紀ダム堤体の建設工事は、平成24年3月に着工しました。半年後の9月27日より堤体コンクリートの打設を開始し、10ヶ月後の7月31日にコンクリートの打設を完了しました。現在は今年11月の湛水開始に向け、設備工事や建築工事等を行っています。平成26年3月25日が竣工予定です。

2.堤体建設工事の概要

 本工事は、200tクローラクレーンを用いてコンクリートを打設する拡張レヤー工法を採用しました。コンクリート用骨材は、全て購入骨材を使用しています。コンクリートの打設量は約38,000m3と少ないですが、骨材貯蔵設備、骨材運搬設備、コンクリート製造設備、コンクリート運搬設備、濁水処理設備といった、コンクリートダムの施工に必要な仮設備は全てそろっています。

3.施工の特色

 本工事は、着工からコンクリート打設まで6ヶ月、コンクリート打設期間が10ヶ月、実質工程が1年7ヶ月という非常に短い工期でありました。そのため、安全に支障が無い限り並行作業を実施し、打設設備のランクアップや監査廊のプレキャスト化などの対策を行うことで、コンクリートの打設を予定通り終わらせることができました。コンクリート打設の最盛期は冬季に当たることから、品質を確保するために様々な対策を行いました。周辺住民への配慮、周辺環境対応などについても、一つ一つ対策に当たってき、トラブルもなくここまで進めることができました。施工業者としては厳しい工程ではありましたが、地元や発注者が喜んでくれたことが何よりでした。完成まで残りわずかでありますが、丹波県民局の方々の指導のもと、JV職員及び作業員一同、日々安全作業に励んでいます。

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