建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年11月号〉

寄稿シリーズ 現場代理人の目

建設現場の最前線から
〜北海道建設部 稚内建設管理部編




 建設現場は現場代理人をトップに、多くの作業員、重機オペレーターらが、専門的知識と技能をフルに発揮する技術者たちの晴れ舞台でもある。だが、現場は常に平坦な場所とは限らず、寒風吹き荒れる野ざらしの現場や、目のくらむ高所や陽光の届かない地下、坑内の場合もあり、危険も伴うために一般者が立ち入ることは出来ない聖域だ。そうした人目から隔離された建設現場の様子を、最前線で陣頭指揮にあたる現場代理人の寄稿を通じて紹介する。

稚内建設管理部


●道道元地香深線交付金地方道工事(トンネル工)(債務)
  大成・岩倉・藤特定建設工事共同企業体 道道元地香深線トンネル作業所 所長 藤井 健二


●雄忠志内漁港水産生産基盤整備工事(補正・明許)
  中田・荒井・近藤 経常建設共同企業体 現場代理人 佐藤 由広


●猿払川広域河川改修工事1工区(補正)
  ササキ・草別経常建設共同企業体 現場代理人 高橋 彰


●猿払川広域河川改修工事2工区(補正)
  安田建設株式会社 現場代理人 清水 潤


●歌登咲来停車場線 交通安全施設工事外(中央工区)(路盤工)(補正・明許)
  田中建設株式会社 現場代理人 佐藤 友範


●クサンル川総合流域防災工事
  石塚・新谷経常建設共同企業体 現場代理人 玉田 稚明


●元地香深線改良工事(覆道上部工)(補正・明許)
  株式会社富田組 現場代理人 岡部 伸一


●知来別漁港 水産生産基盤整備工事外(補正・明許)
  藤建設株式会社 現場代理人 三浦 栄次


●美深中頓別線 改良工事(補正・明許)
  豊成・橋本川島経常建設共同企業体 現場代理人 森安 雅樹


●雄忠志内川砂防工事(補正・明許)
  株式会社共成建設 現場代理人 芦田 敏昭



道道元地香深線交付金地方道工事(トンネル工)(債務)

大成・岩倉・藤特定建設工事共同企業体
道道元地香深線トンネル作業所

所長 藤井 健二

 私たち大成・岩倉・藤特定建設工事共同企業体は、北海道宗谷総合振興局稚内建設管理部発注の「道道元地香深線交付金地方道工事(トンネル工)(債務)」の施工を行っております。道道元地香深線は、利尻礼文サロベツ国立公園内の礼文島元地地区から香深地区を結ぶ、延長約4.8Kmの一般道道です。当路線は礼文島内の両地区を結ぶ唯一の路線であり、地域住民にとっての通勤・通学等日常生活における生命線となっています。また、元地地区には礼文町の主要産業である水産業の基地である元地漁港や、「桃岩」「地蔵岩」などの観光名所もあり、当該路線は近隣エリアへの唯一のアクセスルートとして季節を問わず活用されています。しかし、沿線は大規模な岩石崩落の危険性が高く、通行車両への被害が懸念され、早急に安心・安全な道路交通の確保が求められていました。このため、平成23年度より安全・安心で円滑な交通確保のための事業として、道路トンネルを主体とした本事業が始まりました。
 元地香深線の新トンネルはその中心的な構造物として平成24年度から27年度までの4年間で、トンネル延長1,489m、道路幅員6.5mのトンネルとしてNATM工法により建設されます。工事は平成25年6月の安全祈願を経て、現在250mほどの掘削が完了しています。先進ボーリングによる地質状況の確認や、坑内計測などによる情報化施工を用いながら安全で確実な施工に努めています。
 特に、坑外設備全てを防音ハウス内に収容したり、濁水処理設備に砂濾過装置を付加し、より確実な処理を行うことで、自然豊かな礼文島という地域環境に配慮した工事を実施しています。
 近隣への配慮としては、毎月工事に関する意見交換会を開催し、工事の進捗や予定を報告するとともに、意見や要望等を確認し改善しながら工事を進めています。また、お祭り等の地元行事には作業員を含めて積極的に参加させていただき、島の伝統や文化に触れながら、地域住民の皆さんと楽しく交流を図っています。
 離島という特殊条件での工事ですが、一日も早く安心で安全な利便性の高い道路として、品質の高いトンネルを無事故・無災害で完成させるよう努力しています。




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雄忠志内漁港水産生産基盤整備工事(補正・明許)

中田・荒井・近藤 経常建設共同企業体

現場代理人 佐藤 由広

 当漁港は利尻島の北東部に位置しており、今後秋から冬にかけて季節風の影響により、風向きが北方向からとなり時化の日数が多く港内に波浪が進入するため、漁船の係留には穏やかな夏季に比較し十分な警戒が必要となる状況が考えられます。
 本工事は航路と港内の静穏化を図る事を目的とし北防波堤の沖合に外防波堤を建設する工事で、平成22年から着工しております。今年度は堤体延長55mの内30mの施工予定です。施工内容としては1スパン(5m)で水中コンクリートを2段、上部コンクリート1段の計3段を4スパン施工すると伴に、鬼脇港で製作した消波ブロックを14Km海上運搬し据付を行う工事です。
 これからの時期は、冬期に向けて天候悪化が予想されるため船舶関連事故の予防措置、時化による稼働率の低下も考えられるため工事の進捗状況には十分配慮し、安全管理・工程管理を重点項目とし無事故・無災害での工事完了に全力を尽くして行きたいと思います。




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猿払川広域河川改修工事1工区(補正)

ササキ・草別経常建設共同企業体

現場代理人 高橋 彰

 私たちは猿払川広域河川改修工事1工区(補正)を担当しております。
 この工事は、河川から海に合流する地点に漂流砂などによる河口閉塞を防止するために設置された既設導流堤の老朽化した腐食鋼矢板部をコンクリート拡幅工法により改善し導流堤としての機能を回復する事を目的とする工事です。
 工事の課題として、当該工事区間を含む猿払川流域は、イトウの生息地となっているため作業ヤードの造成等による河口部の閉塞に配慮し、施工において発生する汚濁水の拡散を抑えるため仮設鋼矢板による締切と汚濁防止フェンスを設置し作業しています。
 10月中には本工事の大きな施工部分は完成できる見込みですが、これからの時期は気候の変動も激しくなっていきますので、早期の工事完成を目指して無事故無災害と環境に配慮し施工を進めていきたいと思っています。




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猿払川広域河川改修工事2工区(補正)

安田建設株式会社

現場代理人 清水 潤

 私達は、猿払村浜猿払で猿払川 広域河川改修工事2工区(補正)の施工に取り組んでいます。
 この工事は、導流堤の矢板が経年劣化によって腐食が進んでいるので、水中・上部コンクリートの拡幅を行い消波ブロックを設置して、腐食した矢板を覆うことにより老朽化した導流堤の機能を回復することを目的としています。
 施工箇所の猿払川は、絶滅危惧種のイトウが多く生息しているので汚濁水の流出には十分に注意して施工を進めています。また、工事期間中は安全上、関係者以外立入禁止にしているので魚釣りを楽しんでいる方々には大変ご迷惑を掛けています。
 工事開始から約6ヶ月間を経過しており、残りの施工についても最後まで気を緩めることなく安全作業で行い、工事関係者一同無事故・無災害で工事を終了するよう努めていきます。




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歌登咲来停車場線 交通安全施設工事外(中央工区)(路盤工)(補正・明許)

田中建設株式会社

現場代理人 佐藤 友範

 当工事は国道40号線と枝幸町歌登を結ぶ、道道歌登咲来停車場線の急カーブを改良する工事です。
 本工事の完成により、緊急車両による搬送時間の短縮化及び一般車両の安全通行の確保が可能となります。
 昨年度より着手し今年度の工事で2年目となり、路盤工が完了し舗装工事の表層が次年度となる3年計画で進めています。
 この急カーブは、旧歌登町で平成五年に交通事故死ゼロ三千日を達成し、五千日達成に向かって交通安全啓蒙運動実施中に、3,623日でストップした死亡交通事故発生箇所で地域住民から改良の要望が求められていた場所でもあり、長年の願いがやっとかないます。
 施工では現道の路盤改良及び新道と現道の擦り付けが片側交互通行での施工のため重機災害及び交通災害に十分注意し、リスクアセスメント・TBMを充実させ無災害竣工を実現させるよう心がけます。




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クサンル川総合流域防災工事

石塚・新谷経常建設共同企業体

現場代理人 玉田 稚明

 当工事は、北海道稚内建設管理部発注の河川改修工事です。
 稚内市末広の天北埠頭2号橋から副港2号橋までの170mの区間において護岸工事を行っています。
 クサンル川は、河口から3.0kmの区間において昭和32年より災害復旧工事や単独工事、準用河川改修工事等が行われてきましたが平成6年8月の豪雨により下流の市街地を中心に洪水被害が発生し、家屋浸水などの被害を受け、さらに平成12年、23年にも被害を受けています。
 このため天北埠頭1号端から緑2号橋までの延長1.05kmの区間において大雨による洪水から、クサンル川周辺に住む住民の生命と財産を守るため河道掘削工事等を実施しています。
 当工事施工区間は市街地にあり近隣には住宅、病院などが隣接しているため矢板護岸工、コンクリート構造物取壊し工事などに従来使用していたバイブロハンマー、コンクリートブレーカーなどの騒音・振動の低減が難しい機械からオーガ先行削孔の併用による油圧式圧入工法(硬質地盤クリア工法)を採用、既設コンクリート構造物の取壊し作業にはコンクリート圧砕機(ニブラ)を使用して作業を行い、これらの作業時には騒音・振動調査を実施して騒音・振動対策に努めています。




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元地香深線改良工事(覆道上部工)(補正・明許)

株式会社富田組

現場代理人 岡部 伸一

 私たちは、元地香深線改良工事(覆道上部工)(補正・明許)を担当しています。この元地香深線はフェリーの発着地である香深地区と元地地区を結ぶ唯一の道路で、地区住民にとって生命線です。近年は、落石の発生による通行止めが頻発しており、地区住民の生活や産業活動に影響を与えていました。
 本工事は、礼文町香深村元地地域の海岸線の覆道上部工で、平成25年5月22日から平成26年1月30日までの施工です。自然豊かな地域で、全工期を通じて自然環境の確保に努めています。
 通勤・通学など日常的に元地香深線を通行しています。危険箇所の整備により安全・安心な道路交通を確保するための対策工事です。
 地域経済を護るため、私たちは設計に忠実に施工し、計画目標とする効果が十分に得られることを期して、施工に臨んでいます。




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知来別漁港 水産生産基盤整備工事外(補正・明許)

藤建設株式会社

現場代理人 三浦 栄次

 本事業は、狭隘化している知来別漁港の拡張及び港内への漂砂流入防止を目的とし、平成20年度より工事を開始し、当工事では-3.5m岸壁及び、漁港拡張に伴う河口切り替えのための導流堤を延伸しております。
 導流堤においては、海象の影響を受けやすく、また、築造した構造物を次工程施工のための重機足場として使用する巻き出し工法としており、1スパン毎の一連の作業を連続且つスピーディーに行わなければならないため、下請け業者が混在する中、また、工事繁忙期の中、時間単位の工程管理、労務手配に苦労しているところです。
 対外関係として、先日は、発注者、学校の協力を得ながら地域の小学生を対象に、工事見学会(ふれあい土木教室)を実施し、地域とのコミュニケーションを図りながら施工を進めています。
 漁港利用者においても、工事の完成を待望しており、注目の集まる中、期待に添えるよう工事完成に向け、安全を第一に最大限努力し施工を進めていきたいと考えております。




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美深中頓別線 改良工事(補正・明許)

豊成・橋本川島経常建設共同企業体

現場代理人 森安 雅樹

 私たちは、美深中頓別線改良工事(補正・明許)を担当しています。
 当工事は、美深中頓別線の落石防止対策を目的としています。平成16年度に落石が発生し応急対策及び現地調査を行い、平成23年度より落石対策工事を着工しております。
 本工事では、岩塊を人力穿孔し、非火薬破砕薬の蒸気圧により破砕して破砕された岩石(50cm程度)は、断崖掘削機により小割破砕と掻き落としを行い、堆積した岩石はダンプトラックにより搬出します。今年度の工事で、地滑り面上部の不安定部分(崩壊の危険)を完全に除去し、安定勾配へ掘削を行い完成させます。
 施工箇所の比高差が60m以上ある為、墜落・転落災害防止に努めるとともに、破砕・投石施工時の、岩石飛散による交通障害を起こさないよう、飛散防止に細心の注意を払って施工を進めて行きます。
 これから、気象条件が非常に厳しい時期となりますが、専門業者と一丸となって無事故・無災害で工事完成にむけ努力します。




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雄忠志内川砂防工事(補正・明許)

株式会社共成建設

現場代理人 芦田 敏昭

 雄忠志内川は、利尻山(標高1721m)の山頂付近の大規模崩壊地にその源を発し直接日本海に注いでおり、土石流想定氾濫区域内には、海岸線に沿って点在する人家が有り、土石流危険渓流に指定されいます。
 当工事は、地域住民の生命・財産、漁業資源を守る事及びライフラインを確保するための砂防改良工事です。
 施工は、既存の砂防えん堤をワイヤーソーにて切断し、バースターにて分割し根固めブロックとして流用し、鋼製スリットT型設置により土砂捕捉機能を向上させ恒常的に土砂流出を防止する事を目的に行っています。
 施工箇所は、標高320mの山間部という非常に厳しい作業環境にありますが、無事故、無災害で地域の発展に貢献できるよう工事完成を目指します。




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