建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年9月号〉

【ZOOM UP】

利用者に配慮した開放感ある空間設計と温かみの感じられる内装デザイン

警視庁 月島警察署庁舎建築事業

完成予定パース

 我が国の首都・東京都内の治安を守る警視庁では、月島警察署庁舎の建築が進められている。利用者に威圧感を与えないよう配慮されているのが特徴だ。

来庁者の使いやすさとセキュリティ管理に配意する
 警察署庁舎は、多くの地域住民が車両や交通、免許等に関する諸手続きや相談のために来訪する施設であるため、使いやすさに配意する一方、公務上必要となる特殊な物品・機材、機密情報を取り扱うため、徹底したセキュリティが求められる。こうした相反する環境づくりが求められるため、来庁者と職員の動線の交錯が必要最小限となるように配意して計画された。

人にやさしいユニバーサルデザインを推進する
 特に不特定多数の来庁者が利用するため、高齢者や障害者などが利用しやすいよう、積極的にバリアフリー化に取り組むと同時に、外国人を含む誰もが利用しやすい施設づくりを推進している。また、分かりやすい動線計画を図り、適切なサインや案内設備を配置した

地域に親しまれる庁舎としてのデザイン
 また、その職務上、厳格なイメージが先行する警察署庁舎ではあるが、来庁者にとって気軽に利用しやすい開放感のある空間を演出している。特に来訪する相談者や面会者、被害者に、過度な緊張感や不安感を与えないため、暖かみの感じられる内装デザインを採用した。

災害に強く、緊急時にその機能を果たす建物を目指す
 一方、警察署庁舎は災害時にも迅速な業務の遂行が求められるため、耐震性能の高い構造計画とし、内外装や設備においても安全性は高く設計されている。

環境への配意と地域への還元
 さらに、地球温暖化対策への取り組みが重要視されている今日の情勢に配慮し、環境負荷の低減、運用エネルギーの削減、温室ガス発生の抑制を図っているほか、建物の長寿命化に取り組み、東京都建築物環境計画省制度の省エネ評価で最高段階(段階3)の省エネ仕様を実現している。このほか、地上部のほか建物壁面や屋上の積極的な緑化により、地域住民に緑の自然環境を提供することにしている。
将来改修や情報処理の高度化に対応した、フレキシブリティのある庁舎づくり
 内部の基本構造においては、将来の改修に柔軟に対応できるよう、間仕切りは可能な限り乾式を採用し、また情報処理の高度化に伴う設備・機器の更新に配意した設備室の計画としている。


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