建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年10月号〉

徳山下松港新南陽地区国際物流ターミナル事業について

 国土交通省 中国地方整備局 宇部港湾・空港整備事務所

 所長 牧野 武人












1.徳山下松港の概要

徳山下松港位置図
 徳山下松港は、山口県の瀬戸内沿岸のほぼ中央に位置し、天然の良港として栄えてきました。港湾背後は「周南工業整備特別地域」の中核をなす周南地域(周南市、下松市、光市)の石油コンビナートを形成し、日本の代表的な臨海工業地帯を支える工業港として重要な役割を果たしており、昭和40年4月に「特定重要港湾」、平成23年4月には、「国際拠点港湾」の指定を受けました。平成23年8月には、徳山下松港・宇部港において「国際バルク戦略港湾(石炭)」の選定をされました。  こうした状況の中、徳山下松港新南陽地区では、立地企業の生産拡大に伴ってバルク貨物船の大型化に対応した港湾機能の強化を進めることが喫緊の課題となっております。また、現在、港湾管理者である山口県は、「産業力・観光力の増強」を図るための指針となる「やまぐち産業戦略推進計画」を策定するとともに、徳山下松港長期構想委員会を設置し、港湾計画の変更作業が進められ、平成26年3月の港湾計画改訂を目指しております。

事業位置図

2.整備事業の概要

港湾連携の推進イメージ
(国際バルク戦略港湾の育成プログラムに沿った整備)
 本事業は、新南陽地区の背後に石油化学コンビナートを中心に化学、鉄鋼、金属、ゴムなどの企業が臨海工業地帯を形成しており、そのほとんどの原燃料は、海外からの輸入に依存しております。しかし、現在の港湾施設では、石炭等バルク貨物の増加や船舶の大型化に対応した係留施設及び水域施設の水深が不足していることから、国際競争力の強化、物流の効率化を図るため、岸壁(−12m)を中心とした国際物流ターミナルの整備を行っております。

徳山下松港の全景 浚渫土砂を活用した大島干潟

3.整備事業の進捗状況と効果

 岸壁(−12m)は、既に完成しており、泊地(−12m)及び航路(−12m)整備について、鋭意施工中ですが、浚渫土砂の処分先が課題となり事業促進が進まない状況となっておりました。それを打開する方策として、地元漁協関係者及び周南市の協力により、航路整備の付帯工事として、平成17年度より浚渫土砂120万m3を活用した干潟造成事業を行うことにより事業促進を図ることができました。ちなみに、干潟造成事業は平成24年度に完了しました。また、N7直轄土砂処分場(容量300万m3)を平成22年より整備を始め、護岸構造は、ハイブリットケーソン式(39m×14m×9.3m、約1800t/函)を採用し、全体として24函の製作・据付を行っており、平成25年度末の完成を予定しております。これにより平成26年度からは、航路整備を本格的に開始し、平成28年度の完成を目指して整備を行うこととしております。

(株)東ソーによる石炭荷役状況

 一方、本施設のメインユーザーである(株)東ソーは、港湾管理者である山口県から占用許可を受け、既設の岸壁(−12m)に石炭専用アンローダーを設置し平成23年1月より、暫定的に運用を開始し、年間約200万tの石炭の輸入を行っております。しかし、現在は、−10mの暫定水深で運用しているため、−12m航路整備が完了すると更に、輸送コストの大幅な縮減が見込まれています。

4.おわりに

ハイブリット・ケーソン製作状況 ハイブリット・ケーソンの曳航作業状況

 徳山下松港が国際バルク戦略港湾に選定されたことは、我が国の経済成長及び地域経済の発展に大きく寄与するもので、地域の皆様の期待も大きく、その期待に添えるように事務所一丸となって取り組んで行きます。


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