建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年9月号〉

【連載シリーズ 第1回】

国交省の広報戦略

―― 大衆へのPRとイメージアップで建設業の再評価へ

国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課


1.建設産業の担い手を巡る現状

 建設産業は、人の毎日の生活の基盤となる住宅をはじめ、道路、河川、港湾、鉄道、空港、上下水道などの社会資本、さらには経済社会の発展の基礎となる工場や事務所等の産業施設、学校や病院などの教育・社会施設など、私たちのくらしを支える経済社会基盤を建設・維持管理していく、社会にとってなくてはならない産業であり、地域社会を支えるという使命の大きさは、東日本大震災や各地の豪雨災害での活動などで、あらためてその重要性が再認識されたところです。
 しかしながら、近年の景気の低迷や公共投資の縮小傾向などにより、建設産業を取り巻く環境は大変厳しいものとなっており、ピーク時と比べて建設投資が半減する中で許可業者は約2割の減少(図1参照)となるなど、過剰供給構造による受注競争の激化などにより、地域を支える建設産業が疲弊し、就労環境の悪化、担い手の確保に支障が生じてきています。

【図1】建設投資、許可業者数及び就業者数の推移

 そして、その影響は社会資本の整備や維持・更新の担い手が不足することに留まりません。建設業は、災害時には地域社会の安全・安心の確保を支える「国土や地域の守り手」として、初動対応から復旧作業に至るまで、災害の大小を問わず、現場の最前線において大変重要な役割を果たしており(図2参照)、災害対応空白地帯の発生など、建設産業の疲弊による災害対応力の減退が懸念されています。

【図2】災害時における建設企業の役割

2.担い手確保に向けた検討

(1)方策2011・2012の提言
 以上のように、建設産業がかつてない厳しい状況にあることを踏まえ、建設産業戦略会議においてとりまとめられた「建設産業の再生と発展のための方策2011及び2012」では、将来的にも地域を支え得る足腰の強い建設産業を構築するためには、総合的な担い手の確保・育成支援が必要であることが提言されました。
 具体的には、建設産業戦略会議では、技術者や技能労働者の確保・育成により、現場の施工力の再生を図り、将来的にも地域を支え得る足腰の強い建設産業を構築するため、人を大切にする施工力のある企業の評価や、公正な契約・取引関係の構築に資する適正な競争環境の整備にあわせ、技能労働者の就労環境の構造的な改善に取り組み、若年者の入職と入職後の育成を図るなど、担い手となる技術者や技能労働者の確保・育成を積極的に展開することが提言されたところです。
(2)担い手確保・育成検討会の設置
 その具体的方策を検討する場として、「担い手確保・育成検討会」が設置され、建設産業の担い手の確保及び育成のあり方に関して、次のような事項について検討が進められています。
○専門工事業者等評価
○技能労働者技能の「見える化」
○登録基幹技能者の更なる普及
○技能労働者に対する教育訓練
○戦略的広報
 若者の就業を促進していくためには、建設産業そのものが一生を託すにふさわしい、魅力ある産業へと生まれ変わらなくてはなりません。働く人がやりがい、生きがいを感じられる、人を大切にする産業へと発展していくため、担い手確保・育成に向けて、様々な角度から建設産業一体となって取り組んでいくことが求められます。(第2回へ続く)


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