建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年8月号〉

 副局長インタビュー 渡島総合振興局・檜山振興局

防災対策と地域発展の基礎となる幹線ネットワークの形成を重点に事業推進

 北海道 渡島総合振興局 副局長(建設管理部担当)
 兼 檜山振興局 副局長

 久野 顕
 ひさの・あきら
 昭和34年12月19日生まれ 北広島市出身
 昭和57年 3月 北海道大学工学部土木工学科 卒業
 昭和57年 4月 札幌土木現業所 滝川出張所、長沼出張所、当別ダム調査事務所・建設事務所
 平成5年 4月 土木部 河川課 計画係
 平成10年 4月 旭川土木現業所 治水課 河川技術係長
 平成13年 4月 札幌土木現業所 治水課 河川整備係長
 平成15年 6月 保健福祉部 地域福祉課 主査
 平成17年 4月 建設部 土木局 河川課 主幹
 平成20年 4月 釧路土木現業所 事業部長
 平成22年 4月 建設部 土木局 河川課長
 平成25年 4月 現職

鷹栖東鷹栖比布線特殊改良(道)工事
──副局長のご就任と本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせ下さい
久野 道内では、近年、記録的な豪雪や豪雨などにより、年間を通して、多くの災害が発生しています。この上川管内でも平成22年に大きな災害が発生しており、防災対策を始めとする社会資本の整備や危機管理について、改めて、気を引き締めてしっかりと対応していかなければと考えています。
 また、管内で抱える様々な課題については、地域の方々の声を良く聞き、関係機関と連携しながら、職員の皆さんと一丸となって対応して参りたい。
 今年度の旭川建設管理部における、平成25年度事業予算総額は、158億9千5百万円(平成24年度の大型補正分を含む)となりました。
 このうち、公共事業については、道路・街路・公園事業の合計で69億4千7百万円、治水事業は、66億2千3百万円、また、単独事業については、道路・河川・砂防事業を合わせ23億2千5百万円となっています。
 事業実施にあたっては、より一層の「選択と集中」の観点に立ち、地域の方々の安全で安心な暮らしを支えるとともに、大雪山国立公園に代表されるこの上川の観光資源を活かし、地域の連携や発展を強化するための社会資本整備を着実に行って参ります。
牛朱別川改修工事 倉沼川地区
──安全で安心な地域づくりと喫緊課題の防災対策強化に向けた取り組みについてお聞かせ下さい
久野 近年、集中豪雨や台風、暴風雪など自然災害が多発しており、安全・安心が確保された地域社会の形成が重要と考えています。
 災害に強く安全性の高い道路整備としては、士別滝上線(岩尾内大橋)などの耐震対策を推進します。冬期における安全で快適な道路交通の確保では、吹雪対策個所の整備で下川風連線(防雪柵)の整備を推進します。
 また、洪水から地域住民の人命や財産を守る治水対策では、牛朱別川(旭川市外)、ポン川(旭川市・東神楽町)などで事業を推進します。十勝岳周辺地域における砂防設備と監視観測体制の整備では、富良野川の5号砂防えん堤工、布部川、ヌッカクシ富良野川などにおける砂防工事を推進するとともに、十勝岳火山噴火警戒避難対策事業により監視機器等の整備を進めます。
 東日本大震災などの大規模災害や多発する異常気象などへの対策として、公共土木施設を管理する旭川建設管理部では、異常気象時等の非常配備体制の見直しなど防災対策の見直しを進めてきたところです。今後も危機管理について職員一同が常に意識を高く持つよう、訓練や研修等による防災体制の強化に取り組んで参りたい。
ヌッカクシ富良野川火山砂防工事
──平成25年度予算執行にあたり最重点の施策などお聞かせ下さい
久野 管内は自然景観や観光施設など豊富な観光資源に恵まれ、農林水産業も盛んなことから、地域発展の基礎となる幹線ネットワークの形成が重要と考えています。今年度は、北海道縦貫自動車道と北海道横断自動車道を連結する地域高規格道路(旭川十勝道路)の一部で、地域における観光振興や物流の効率化に大いに寄与する旭川東神楽道路が新規補助事業採択されたので、工事の早期に着手に向け着実に取り組んで参ります。
 また、旭川十勝道路の一部「富良野北道路」の整備にあわせ、開通後中富良野ICと国道237号のアクセスルートとなる、上富良野中富良野線などの整備を推進します。幌加内と旭川を結ぶ旭川幌加内線では、安全・安心な交通を確保し地域の連携化を図る観点から、通行上の隘路となっている区間の改良を進めて参ります。
 このほかにも、地域の中核都市の再生を図るための基盤整備の推進では鷹栖東神楽線、3・3・7旭町通や3・3・8金星橋通などの事業を推進します。中心市街地の活性化などのまちづくり支援では、吹上上富良野線、上富良野停車場線(歩道リフレッシュ)の整備を推進します。地域連携強化、都市と農山村の交流・共生を促進するネットワークの整備として、鷹栖東鷹栖比布線、旭川幌加内線などの整備を推進します。また、農産物などの地域内物流ルートの整備では、瑞穂旭川停車場線、新開旭川線などの整備をします。広域観光ルートの整備として愛別当麻旭川線(当麻町市街地)、観光拠点へのアクセスルートとして奈江富良野線(観光ガーデンなど)、麓郷山部停車場線(麓郷の森)などの整備を推進します。
──社会資本整備事業や災害復旧対策などで貢献している建設業界への要望や期待などがありましたらお聞かせ下さい
久野 建設業は社会資本整備において重要な役割を担うとともに、普段から施設の維持管理や冬期の除雪、災害発生時にはその総合力を通じて復旧作業等に大きな力を発揮されております。今後とも、優れた人材の確保・育成や技術の向上をはじめとして、経営の合理化や多角化などにより経営基盤の強化を図り、質の高い社会資本整備と地域の発展や活性化に貢献されることを期待しています。

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