建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年8月号〉

 副局長インタビュー 後志総合振興局

“しりべしの食と観光”を生かし、地域を支える交通ネットワークを形成

 北海道 後志総合振興局 副局長(建設管理部担当)

 副局長 三浦 孝利
 みうら・たかとし
 昭和31年8月15日生まれ 札幌市出身
 昭和54年4月 釧路土木現業所 事業課(新任地)
 平成16年4月 帯広土木現業所治水課長
 平成19年6月 旭川土木現業所富良野出張所長
 平成21年4月 室蘭土木現業所事業部長
 平成23年6月 水産林務部漁港漁村課長
 平成24年4月 現職

──本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせ下さい
三浦 後志管内は羊蹄山や神威岬など多くの景勝地に恵まれるとともに、歴史的遺産を活かした「小樽運河」や豪州などの外国人が多数訪れるスキーリゾートのニセコ地区をかかえ、国内外から年間二千万人の観光客が訪れる本道を代表する観光圏となっています。
 また、果実をはじめ新鮮な農水産物やおいしい水など多くの食資源にも恵まれ、両者を組み合わせた“しりべしの食と観光”の取り組みが盛んに行われております。
 一方で管内では「泊原発に係わる避難路の確保」「北海道新幹線の札幌延伸」「北海道横断自動車道」という大きなプロジェクトが進行しつつあり、何れも後志の将来にとり重要な社会資本の整備です。当部でも、関係機関と緊密な連携を図りながら、それらのプロジェクトに関連する社会資本の整備に取り組んでまいります。
尻別川
──安全で安心な地域づくりと喫緊課題の防災対策強化に向けた取り組みについてお聞かせ下さい
三浦 当管内においても、近年、豪雨等により洪水被害が発生しているほか、今後、集中豪雨の増加や台風の大型化などによる洪水被害の発生が懸念されています。
 また、当管内は豪雪地帯でもあり、吹雪や雪崩による交通障害の対策も行う必要があります。このため、河川の整備などの治水対策や砂防、地滑り、急傾斜、高潮対策の他、道路の危険個所の解消や除雪作業を着実に行うことにより、地域の安全で安心なくらしの実現に努めていきたいと考えています。
軽臼漁港
──平成25年度予算執行にあたり最重点な施策などお聞かせ下さい
三浦 本年度の小樽建設管理部の公共事業費は、国の緊急経済対策による補正を含めた15カ月予算として、道路課所管分で60億3千万円、治水課所管分で53億8千万円、あわせて114億1千万円で平成24年度当初予算の約3割増となっており、早期の効果発現に向け、効果・効率的な執行に努めます。
 なかでも今年度から泊原発の避難道路として整備する泊共和線を新規に着手します。今年度は調査設計を予定しており、避難道路という性格上、スピード感を持って整備して参りたいと考えています。
 本年度の事業の中で道路事業については、観光・食など地場産業の発展を支援する道路整備として観光地の交通利便性を向上させる観光ネットワーク整備や農産物の生産拠点と消費者を結ぶ物流ネットワーク機能強化を図りたい。次に、安心・安全なくらしを支える道路交通としては歩行者や観光客の安全な通行や生活道路の整備を進めます。災害に強い交通ネットワークの確立としては、地すべり対策や雪崩・地吹雪対策の強化を進めます。また、津波対策では道道における津波対応マニアルに基づき海抜表示、小型情報板の設置を実施します。防災避難路・緊急輸送道路の確保については、特に泊共和線は防災・安全交付金(地方道)事業で岩宇4か町村から防災対策として道道の整備要望があったところです。泊原子力発電所防災計画の見直し及び有識者専門委員会より課題抽出(道路の複線化の必要性、行き止まり道路の解消)について対応するための道路整備です。25年度は、新規事業として、環境調査、予備設計、実測実施設計、トンネル予備設計、構造物設計、用地測量を予定しています。
 また、治水事業として、流域住民の生命と財産を洪水から守るため1級水系の尻別川(喜茂別町)では護岸工、オロッコ川(京極町)では放水路及び橋梁下部工を実施するほか2級水系朱太川(寿都町・黒松内町)や堀株川(共和町)などで護岸工や頭首工を進めます。防災事業として、砂防や急傾斜・地すべり事業も重要です。現在管内に157基の砂防ダムがありますが、今後さらに、過去の被害に鑑み、障がい者施設や幼稚園等災害時要援護者支援施設のある渓流を優先に整備することにしています。急傾斜・地すべり対策は現在管内56箇所が整備されていますが、この事業も災害時要援護者支援施設のある斜面を最優先に整備します。次に、管内主要産業の水産物の安定供給や高潮から生命、財産を守るため漁港整備事業が重要となっています。現在道が管理する漁港は38港ですが、軽臼漁港(島牧町)で水産生産基盤整備や機能保全、日司漁港(積丹町)で施設機能強化・機能保全を進めます。美谷漁港(寿都町)、忍路漁港(小樽市)では漁村再生事業に取り組んでいきます。
小樽定山渓線(集水井工事)
──社会資本整備事業や災害復旧対策などで貢献している建設業界への要望や期待などお聞かせ下さい
三浦 社会資本整備の重要な担い手となる建設業は、地域の経済や雇用を支える重要な役割を担っています。また、機動力を生かし、異常気象、雪害、土砂災害時等の緊急時には被害の未然防止や、拡大防止のために大きな力を発揮していただいております。
 今後も地域の経済・雇用を支え、地域の安全・安心を担う建設業が活力ある地域づくりに役割を果たして頂けるよう、道としても引き続き支援して参りたい。

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