建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年7月号〉

【寄稿】コンクリート打設の現場から

―― 地域住民との協力体制で順調に施工

金出地ダム堤体建設工事
飛島・佐藤・ノバック・森崎特別共同企業体

 金出地ダム作業所 所長 武氣 士郎






1.はじめに

 金出地ダムは、千種川水系鞍居川に建設中の「洪水調整」、「流水の正常な機能の維持(農業用水、河川環境保全)」を目的とした重力式コンクリートダム(堤高62.3m、堤体積約15万m3)です。平成15年に一旦中断したダム事業ではありましたが、鞍居川は過去に甚大な被害をもたらした水害を幾度も経験しており、近年では平成16年台風21号、平成21年台風9号により流域が浸水被害を受けました。そのような経緯、地元からの強い要望、県・国の「事業継続」の方針を受け平成23年8月に事業継続が決定しました。
 金出地ダム堤体の建設工事は、平成24年3月に着工し、1年後の平成25年3月末に減勢部からコンクリートの打設を開始しております。現在は、今年8月の2次転流、11月の定礎式を目標に、左岸側を先行してのコンクリート打設中です。
 今後は、平成27年2月末にコンクリートの打設を完了し、平成28年3月には、試験湛水を終えてダム工事は完成予定となっています。

2.堤体建設工事の概要

 本工事は、9.5t軌索式ケーブルクレーンを用いてコンクリートを打設する拡張レヤ工法を採用しております。コンクリート用骨材は全量購入骨材を使用しますが、骨材貯蔵設備、骨材運搬設備、コンクリート製造設備、コンクリート運搬設備、濁水処理設備、といったコンクリートダム建設に必要な仮設備をダムサイト周辺にコンパクトに配置しており基本に忠実なダム建設を実施しております。

3.自然環境豊かな地域でのダム造り

 ダムの直下流の鞍居川にはホタルが生息しており、流域には、「マヤラン」や「オチフジ」といった貴重な植物も自生しています。そういった環境の中で地域住民の方との連絡協議会を始めとする会合、地域の祭事、催しへの参加等によりダム建設に関するご意見を聴きながら、非常に協力的な地元の方々の中で工期内に高品質のダムを完成させるべく、兵庫県職員の方々の指導のもとJV職員一同日々安全作業に励んでいます。


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