建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年7月号〉

【寄稿】「東九州道」の早期開通に向けて

 国土交通省 九州地方整備局 延岡河川国道事務所

 所長 春田 義信












三陸沿岸道路 仙塩道路の整備状況(4車線化事業中)
 延岡河川国道事務所は、九州の東側、宮崎県の北部に位置し、一般国道10号、東九州自動車道、国道218号北方延岡道路(権限代行)及び九州中央自動車道の道路事業と1級河川五ヶ瀬川水系の河川事業をとりおこなう事務所です。今回はその中から、昨年度開通しました東九州自動車道についてご紹介します。

1.H24年度は6区間も開通

 東九州自動車道は、北九州市を起点に九州東岸の各都市を経由して鹿児島市に至る延長436qの高速道路です。
 しかしながら、供用延長242km(55%H25.3月)とやっと半分を越えた状況です。
 そのようななか、平成24年度は、当事務所と隣接する佐伯河川国道事務所及びNEXCO西日本で大分・宮崎両県で6区間も開通しました。
 北から順に「蒲江(かまえ)〜蒲江波当津(かまえはとうづ)〜北浦(きたうら)」(佐伯・延岡14.2q・2/16開通)、「須美江(すみえ)〜北川(きたがわ)〜延岡(のべおか)」(延岡18.4q・12/15開通)、「都農(つの)〜高鍋(たかなべ)」(NEXCO12.9q・12/22開通)、「清武(きよたけ)JCT〜清武南(きよたけみなみ)」(宮崎・NEXCO1.2q・3/23開通)、合計6区間、延長にして46.7qが開通したことになります。
 その結果、東九州道の中でも整備が遅れていた宮崎県においても55%まで整備率が伸び、東九州道全体の整備率に追いついたことになりました。

蒲江〜北浦開通式典

2.高速道路の潜在能力

@時間短縮

 現在、延岡市から北九州市まで3時間57分かかりますが、高速が整備されることで3時間10分と47分短縮されます。時間が短縮されることにより、物流は勿論、救急医療や地域開発の支援等に貢献できます。

A代替えルートの確保

 災害等で国道10号等の一般道が通行止めになった場合、代替えルートとなり、緊急輸送等の災害初動時から活用することで安心・安全な暮らしの確保に寄与することが可能です。

B巨大津波対策

 南海トラフ大地震を想定し津波被害によって逃げ場の無くなる可能性がある地区に、住民の避難行動の一助となる「緊急連絡路」や「避難階段」を設置しています。大分県側では丸市尾と葛原の2カ所に、宮崎県側では北浦地区に2カ所設置しています。

須美江側より北川ICを望む 避難階段

3.開通がもたらした効果

 今年度の開通で特筆すべき事は、大分県と宮崎県が初めて高速道路で結ばれたところに意義があります。両県知事も経済交流や観光交流を期待する旨発言されています。特に、佐伯市蒲江と延岡市北浦は、これまで車で55分もかかっていました。本当に近くて遠い町でしたが、「蒲江〜北浦」間の開通によって、23分に短縮され、近くて近い町へと変貌してしまったのです。経済界では、佐伯・延岡それぞれの海の幸・山の幸など、お互いの良さを活かした戦いが始まるとの声も聞こえてきます。実際、蒲江では、海の幸を中心に観光宣伝隊を組織し、宮崎県北をターゲットに精力的に活動していますし、延岡では、今一度延岡のシンボルである五ヶ瀬川を活かした街づくり計画に沿って、鮎やなや食事処の整備などに着手、来訪者の受け入れ準備が着々と進んでいます。
 実際ゴールデンウィークに道の駅「北川はゆま」では昨年と比べレジカウントが1.5倍になっており、支配人も「遠方からのお客様が増加した」と言っております。
 また、道の駅「北浦」は1.9倍ににもなっており、支配人は「交通整理をしなければならないほど盛況だった」と喜んでおり、開通効果があちこちで勃発しています。

4.今後の見通し

九州の高規格幹線網図
 東九州道は、遅くとも平成27年度末までには、北九州市から宮崎市までつながります。
 現時点で、見通しの立っている区間を開通年度ごとに整理すると次のとおりです。
●平成25年度
「苅田北九州空港(かんだきたきゅうしゅうくうこう)〜行橋(ゆくはし)」、「日向(ひゅうが)〜都農(つの)」
●平成26年度
「行橋(ゆくはし)〜豊津(とよつ)」、「椎田南(しいだみなみ)〜宇佐(うさ)」、「北浦(きたうら)〜須美江(すみえ)」、「曽於弥五郎(そおやごろう)〜鹿屋串良(かのやくしら)」
●平成27年度
「佐伯(さいき)〜佐伯南(さいきみなみ)〜蒲江(かまえ)」
 これからも分かるとおり、平成25年度には延岡〜宮崎間が高速道路で繋がり、平成26年度には北九州〜佐伯間が繋がることになります。
 両県知事や経済界などからの、北九州市から宮崎市まで、早期に繋いでほしい、との切なる思いを重く受け止め、一日でも早い開通を目指しさらなる努力したいと思います。


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