【寄稿】東海を結ぶ次世代ネットワークの形成―― 東海環状自動車道への地域の期待
はじめに
国道475号 東海環状自動車道
国道475号東海環状自動車道は、名古屋市の周辺30〜40km圏に位置する愛知・岐阜・三重3県の豊田・瀬戸・土岐・関・岐阜・大垣・四日市等の諸都市を環状に連絡し、新東名・新名神高速道路、東名・名神高速道路や中央自動車道・東海北陸自動車道等と広域的なネットワークを形成する延長約160kmの高規格幹線道路です。 東回り区間の開通で実証された効果
東海環状自動車道東回り区間(豊田東JCT〜関広見IC)は、2005年に豊田東JCT〜美濃関JCT間、2009年に美濃関JCT〜関広見IC間が開通し、東回り区間延長約76kmが開通しました。この東回り区間の開通により得られた大きな効果が2点あります。1点は、沿線及び周辺都市間の移動時間が短縮され、人やモノの流れがスムーズになったことです。定時性が確保され配送エリア等を拡げる企業が増加しました。
西回り区間で初の開通
西回り区間延長約77kmの整備は、「一般国道事業と有料道路事業による事業方式」により国土交通省とNEXCO中日本が連係して整備を推進しています。当事務所では、岐阜県の関市〜岐阜・三重県境間約53kmを担当しています。 信頼性の高い道路ネットワークの確立
産業・観光への期待西回り区間の開通により、沿線都市間の所要時間が大幅に短縮されます。また、高速道路インターアクセス15分圏域が拡大されることより、新たな工場立地等の企業進出が期待されています。 西回り区間沿線には、岐阜ファミリーパークや河原町の古い町並み(岐阜市)、根尾谷淡墨桜(本巣市)、加賀野八幡神社(大垣市)、関ヶ原古戦場(関ヶ原町)、養老公園(養老町)、南宮大社(垂井町)、千代保稲荷神社(海津市)など魅力ある観光資源が点在しており、各地へのアクセスのみならず、他の観光資源とのアクセスもよくなり、回遊観光の幅が拡がります。 医療への期待西回り区間の開通により、岐阜県・三重県内で唯一の高度救命救急センターである岐阜大学医学部付属病院への所要時間が短縮され、医療サービスが大幅に向上します。 災害時の期待東海環状自動車道は、今後の発生が危惧される東海・東南海・南海地震により震度6強以上で揺れると想定される地域を概ね迂回しており、緊急時の輸送路として機能を発揮します。また、日本最大の海抜ゼロメートル地帯を有する濃尾平野は、河川氾濫などの災害が多い地域ですが、東海環状自動車道は海抜ゼロメートル地帯も迂回しています。周辺地域が浸水した時に、避難・復旧・復興に役立つと期待されています。
全線開通に向けて
東海環状自動車道は、産業・観光・防災など地域の活力を高める効果が期待されています。国土交通省として、道路整備効果の早期発現、コスト縮減、環境や景観への配慮などを意識し、地域特性を踏まえ、地域の方々の理解を得ながら効率的な道路整備を進めていきたいと考えています。
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