建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年10月号〉

平成24年度 根室振興局管内農業農村整備事業概要


平成24年度 根室振興局管内農業農村整備事業概要

北海道 根室振興局産業振興部
農村振興課長 青木 眞一

管内のすがた

 根室振興局管内は、北海道の最東端に位置し、北東部はオホーツク海、南部は太平洋に面し、面積は8,534km2(うち北方四島5,036km2)で、全道の10.2%を占めており、根釧原野と呼ばれる広大な波状丘陵地が広がっています。
 人口は、構成する1市4町を合わせて約8万4千人(H17国勢調査)、人口密度は24.4人/km2で、全道平均71.8人/km2に比べ半分以下となっています。
 根室半島及び沿岸部は海洋性気候、内陸部は大陸性気候を示し、平均気温は5〜7℃と冷涼であり、沿岸部は春から夏にかけて海霧におおわれることが多く、霧日数は100日前後に達します。
 このように、一見厳しい自然条件は一方で貴重で雄大な自然環境を育んできました。
 管内には、世界遺産に登録された知床国立公園やラムサール条約登録湿地となった野付半島・野付湾、風蓮湖・春国岱地域があり、タンチョウ、シマフクロウ、オジロワシなど数多くの天然記念物の生息地となっています。

管内の農業
 管内農業は、厳しい気象条件を克服しながら、恵まれた土地資源を背景に、1戸当たりで耕地面積が全道平均の約3倍の68.8ha、飼養頭数が約120頭の大規模な草地型酪農が展開され、生乳生産量は約80万tで全国の約1割(全道の約2割)を占めています。  しかし、近年、国際化の進展や飲用牛乳消費の落ち込みなど厳しい生産情勢に加え、担い手の確保や環境問題への適切な対応が求められています。
 このため、生産性の高い草地基盤整備や農道や営農用水の整備などにより、自給飼料を活用した低コストな生乳生産を基本に、乳質の改善など安全・安心な生乳生産に取り組んでいます。
 また、酪農ヘルパー制度や農作業を外部委託するTMRセンター、コントラクターなどの農業支援システムの構築により、省労働化とコスト削減などに大きな効果を発揮しており、加えて、新規参入者を含めた意欲ある担い手を育成するための研修環境等が整備されています。
 さらに、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づく適切な管理と利用や、林帯の整備などによる環境と調和のとれた農業生産にも取り組んでいます。

農業農村整備事業
 平成24年度の農業農村整備事業は、道営事業の当初予算で30地区、1,946百万円の執行を予定しています。
 内訳としては、酪農・畑作経営の合理化と生産性の向上を図るための畑地帯総合整備事業が2地区で592百万円。
 自給飼料の低コスト生産や農作業の効率化を図るための草地整備事業が12地区(うち新規3地区)で377百万円。
 大型機械導入による生産効率化や農産物流通の合理化に寄与する農道整備事業(農道特別対策を含む)が15地区(うち新規2地区)で892百万円。
 海岸整備事業についても、新規1地区(85百万円)がスタートします。
 このほかにも管内においては、公社営の畜産担い手育成整備事業(6地区776百万円)、ふるさと農道をはじめとする各種団体営事業(11地区427百万円)の執行が見込まれています。
 また、地域における農地・水環境の良好な保全を図る活動に対して、「農地・水保全管理支払交付金」による支援(2団体)も行うこととしております。
 景気の低迷や東日本大震災の影響に加え、TPP協定問題など農業を巡る情勢は厳しさを増しておりますが、根室振興局としましても、農業の生産基盤と農村における生活環境の整備を通じ、農業の持続的発展と地域の活性化を両輪とした農業・農村の振興を支援して参ります。

コスト縮減の取組
 道では、平成21年度から25年度までを計画期間とする「北海道公共事業コスト構造改善プログラム」を策定し、総合的なコスト改善を図ることとしており、農業農村整備事業においても一層のコスト縮減に向けた取り組みが求められています。
 根室振興局においても、既設のアスファルト発生材を再利用する「路上路盤再生工法」に農道の舗装構成に合わせて工夫を加えた『コスト縮減改良型路盤再生工法(通称:根室スペシャル)』を考案し、現場で採用しています。
 これは、従来型工法が予備破砕・混合とセメント・乳剤の投入を同時に行うのに対し、根室スペシャルでは事前に予備破砕・混合だけの工程を追加することにより、農道に必要な舗装強度を確保しながらセメント・乳剤の投入量の縮減を図るものです。
 この工法により、既設アスファルトの廃棄物を排出しないことから、環境負荷が軽減されることはもちろんのこと、コスト面においても現場の状況に応じ約10〜18%の縮減が可能となりました。
 根室振興局では、平成21年度よりこの工法に取り組んでおり、平成24年度においては約8kmの農道整備に採用を予定し、約6千万円のコスト縮減を見込んでいます。
 今後とも、職員のコスト意識の向上と自発的な創意工夫の醸成を図りながら、建設コストの縮減に努めて参ります。




HOME