建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年8月号〉

宮城県の水産被害と漁港災害

 東日本大震災によって、宮城県の水産業関連被害は約3,936億円にも及んだ。被害の内訳は、142漁港すべての漁港が損壊し、12,023隻の漁船の約9割が大破・滅失。県内57,886ヶ所の養殖施設が滅失した結果、99,045tもの養殖水産物を失った。
 このため、県は早急に気仙沼、志津川、石巻、女川、塩釜漁港の主要5漁港で、航路を緊急確保に当たった。また、漁港・漁場の廃棄物処理と、6月末までに県営漁港の作業を終了し、市町営漁港も順次開始。サイドスキャンソナーによる漁場調査に当たった。
 漁船等の処理については、陸地上げ漁船等の悉皆調査を実施。冷凍水産物処理については、冷凍冷蔵庫内保管の水産物は海洋投入により処理。ただし、ソナーによる瓦礫、堆積状況の調査により、海洋投入できない梱包品等は県外で埋立処分した。現在は操業も再開される一方、各漁港の復旧工事も着工している。

仁斗田漁港

 仁斗田漁港は、県管理の第2種漁港で、石巻市大字田代浜字仁斗田に位置する。登録漁船隻数は59隻で、登録漁船トン数94トン。カキを主要水揚魚種としており、344.4トンの水揚量を擁し、年間3,600万円の水揚高を確保していた。今回の震災により、東防波堤外災害復旧工事などが行われている。

女川漁港

 女川漁港は第3種漁港で、所在地は牡鹿郡女川町鷲神浜に位置する。登録漁船隻数は101隻、登録漁船トン数は1,517.1トン。主要水揚魚種はサンマ、イカナゴ、イワシで、水揚量は62,608トン、水揚高は72億6,600万円に上る。現在は震災により-7.0m岸壁外災害復旧工事などが行われている。

桃ノ浦漁港

 桃ノ浦漁港は第2種漁港で、石巻大字桃浦に位置する。登録漁船隻数は103隻、登録漁船トン数は226.2トンで、仁斗田漁港と同じくカキを主要水揚魚種とする。年間水揚量は2,327.5トンで、水揚高は2億5,900万円の収益が確保されていた。

鮎川漁港

 鮎川漁港は第4種漁港で、石巻市鮎川浜に位置する。登録漁船隻数は213隻で登録漁船トン数は697.2トン。ギンザケ、イカ類、ワカメを主要水揚魚種として、水揚量は2,437.4トン、水揚高は17億2,200万円に上っていた。
 今回の震災で、岸壁や防波堤などの災害復旧工事が行われている。

志津川漁港

 志津川漁港は第2種漁港で、気仙沼漁港と女川漁港の中間となる本吉郡南三陸町志津川字本浜町,汐見町に位置する。登録漁船数は953隻で、ぎんざけ、かき、ほや、わかめ等の養殖業のほか、資源管理型漁業の推進により、県内の栽培漁業の基地として重要な役割を担ってきた。陸揚げ量は9,416トンに上る。


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