建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年6月号〉

副局長寄稿 空知総合振興局・石狩振興局


活力ある地域づくりと「北海道の価値」を発揮するための社会資本整備に全力

 空知総合振興局(建設管理部担当) 兼 石狩振興局

 副局長 金田 幸一
 かねだ・こういち
 北海道大学工学部土木工学卒
 昭和56年4月 北海道庁採用(稚内土木現業所)
 平成14年4月 札幌土木現業所事業部治水課長
 平成16年4月 建設部建設情報課主幹
 平成17年4月 建設部企画調整課主幹
 平成18年4月 建設部建設政策課主幹
 平成20年4月 建設部参事(北海道建設技術センター派遣)
 平成22年4月 建設部建設管理局次長(北海道建設技術センター派遣)
 平成23年6月 空知総合振興局副局長(建設管理部担当)兼ねて石狩振興局副局長

1.はじめに

昨年発生した東日本大震災の発生やその影響が我が国の経済社会に影を落とす中、今ほど、安全や安心が切実に求められていることはないのではないかと考えます。
 道民の皆様の暮らしにとって最も大切な「安心」を、優先していくことが大切だと思います。
 札幌建設管理部が所管する区域は、道央圏の空知総合振興局及び石狩振興局となっており、人口が約268万人と全道の約49%を占めるなど北海道の政治・経済の中心的な地域となっています。こうしたことから道路・河川など社会資本の整備が、安心・安全ばかりではなく、活力ある北海道の実現のためにも必要と考えています。

2.主要施策について

■道路事業
 主な事業としては、新千歳空港とのアクセスを強化し、観光振興や物流の効率化などを図る新千歳空港インター線の整備を進めるほか、昭和30年築造で、老朽化が著しい岩見沢月形線の月形大橋は、平成16年度から事業に着手し、橋梁本体は平成25年度の完成を目指して、整備を進めているところです。
 仁別大曲線は、北広島市仁別を起点とし国道36号との交点を終点とする路線で、この区間を整備することにより、北広島市大曲地区における国道36号線の恒常化した交通渋滞(主要渋滞ポイント:大曲交差点)のバイパスとして機能するばかりでなく、沿線に位置する大曲工業団地へのアクセスが強化されます。
 さらに、美唄市から富良野市に至る延長約53kmの主要地方道である美唄富良野線においては、通行不能区間を解消する事業を行っており、南空知地域と上川南部地域の短絡ルートを形成することから、農産物の物流の効率化や観光アクセスの向上が期待されています。

▲一般道道仁別大曲線(北広島市) ▲月形大橋(主要道道岩見沢月形線)

■街路事業
 街路事業では、岩見沢市中心市街地活性化の一環の事業で、高齢化に備え、バリアフリー化や電線地中化を行い、安全安心な回遊性の高い歩行環境を整備し、まちなか居住の促進を支援する3・4・10駅前通外1街路事業の整備を進めています。
 また、江別市の3・2・330八丁目通事業は、国道12号から野幌駅へのアクセス機能を有する野幌停車場線の整備を行うものです。この路線は、バス路線、商店への荷さばき、通学路などで利用されていることから、必要な幅員の確保により安全・安心な交通を確保することとしています。

■治水事業  河川関係の主な事業としては、徳富川や柏木川等において、自然環境に配慮した河川整備を促進するとともに、千歳川流域河川において、直轄事業と連携した工事及び河川整備計画の策定などを行っており、南9号川の嶮淵川遊水地と連携した河川改修事業を促進します。
 当別ダムは石狩川水系当別川に洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水およびかんがい用水の供給を目的とした多目的ダムとして、平成4年度に建設採択、平成20年度から本体工事に着手しました。昨年12月には本体工事がほぼ完了し、平成24年度中の完成を目指し、今年3月から試験湛水を行っております。

▲当別ダム建設工事(当別町) ▲徳富川広域河川改修事業(新十津川町)

■土砂災害対策
 このほか、ソフト対策事業として、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、土砂災害のための対策の推進を図るため、平成14年度から現地調査を進めています。今後、順次基礎調査を行い、区域指定を進めていきたいと考えています。

3.むすび

 昨年の大震災で、住んでいる私たち自身が気づかなかった「北海道の価値」を見出すことができたように思います。それは、高い食の供給力や冷涼な気候、広大な面積などの特性を活かした災害に備えた我が国のバックアップ拠点としての北海道の新たな機能です。
 こうした「北海道の価値」を存分に発揮するために、社会資本の整備およびその後の維持管理に全力を尽くしていきたいと考えています。


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