建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年4月号〉

3月11日に襲った三陸沖を震源とするマグニチュード9の東日本大震災にともない、宮城県栗原市では震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強と広い範囲で強い揺れが観測された。これにともない、太平洋沿岸は高い津波が押し寄せた。
 この震災に宮城県の公共施設は県土木部営繕課が調査しただけでも187施設が被害を受け、被害総額は274億に上った。このため、営繕課は、執行委任を受けて庁舎、学校等の公共建築物の復旧に取り組んでおり、平成24年1月16日現在で、県有建築物の災害復旧依頼があった119施設のうち、117施設で設計・建築、改修工事に着手。すでに平成23年9月気仙沼合庁・警察署仮設庁舎建築、石巻合同庁舎応急改修、農業高校仮設校舎を完成。10月には石巻港湾事務所応急改修、南三陸合同庁舎仮設庁舎建築を完成。11月は気仙沼向洋高校仮設校舎建設、12月は水産技術総合センター応急改修工事を完成させるなど、29施設が完了している。
 現在は宮城スタジアム屋根応急復旧工事、県民会館災害復旧工事、みやぎ産業交流センター「夢メッセみやぎ」災害復旧工事等の復旧工事を進めている。

宮城県有建築物・庁舎学校等の公共建築物の復旧状況

みやぎ産業交流センター「夢メッセみやぎ」災害復旧工事

この施設は、展示棟が鉄筋コンクリート造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造で、地上2階、延べ面積約13,993u、会議棟は鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 地上2階、延べ面積約3,411u、エネルギー棟は鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、平屋で延べ面積約1,447uの施設。
 各棟とも1階部の損傷は柱や梁には損傷や斜め亀裂はほとんどなく、構造躯体自体の被害は無かったが、展示棟・エネルギー棟・会議棟は津波により、2〜3mまでが水没。このため外部建具、内部建具、窓ガラス、一部カーテンウォール、内装(壁、床)、造り付け家具が損傷。

 また、展示棟は外壁タイル一部クラック、外壁上部成形板の目地亀裂、展示ホールの天井材の一部が落下。。
 会議棟は津波による流失自動車との衝突により、ガラス損壊、自動車火災による東側出入り口部の柱等がススで変色。。
 外構は津波により一部陥没(浸食)、アスファルト亀裂、インターロッキングが剥離したりずれが生じ、モニュメント・照明ポールが倒壊、側溝フタは流失、ネットフェンスが流されるなど、被害は大きかった。

 津波による被害としては、エネルギー棟、展示棟、会議棟ともに最大FL+2300mmの浸水により、浸水箇所の電気設備は使用不可となった。特にエネルギー棟の電気室は、キュービクル内トランスと蓄電池の電気火災にともなう焼損により、幹線ケーブルも焼損している。。
 外構についても、外灯の倒壊・傾斜、庭園灯の破断流出により使用不可で、エネルギー棟内の冷温水発生機、各種ポンプ類もほとんど使用できない状態。中央監視室等も、自動制御設備がほぼ全損状態となった。
 その他、展示棟ロビーのファンコイルユニット、1階の機械設備や会議室棟の機械設備なども浸水により、ほぼ全損状態である。
 このため3棟ともに、1階は建具(外部、内部)と、内装(床・壁・一部天井)の改修及び清掃が必要となっている。

 外壁はRC壁部亀裂補修、タイル部浮き補修、成形板部目地亀裂補修、カーテンウォールの一部改修と、外構は残存部を含む補修が必要である。会議棟は自動車火災による東側出入り口部鉄骨造も含め改修が必要である。
 そこで、外装改修として清掃、クラック補修、建具新設、カーテンウォール新設、その他、電気機械設備の改修が行われている。
 内装の改修としては、壁・床仕上げ材を新設、大型可動間仕切壁の下部を新設、電気機械設備の改修を行っている。
 会議棟はエントランス庇と風除室、用途変更に伴う間仕切壁を新設。エネルギー棟は内装材・外装材を改修し、電気機械設備を更新改修している。

被災状況

展示棟エントランスホール
外部建具が全くない状況で
波は床面から3m以上押し寄せた
建具を支えるコンクリート、
柱の化粧材も流されている

会議棟
車等がぶつかりガラスに穴が空いた箇所を
ベニヤ板で塞いでいる
車がぶつかり火災が発生、玄関の柱等が
ススで変色している

エネルギー棟


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