建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年3月号〉

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大阪東部の鉄道ネット

――地域開発にも絶大な効果を発揮

大阪外環状鉄道(株)・JR西日本 おおさか東線

▲騒音・振動の少ないロングレールの採用

おおさか東線は、JR京都線の新大阪駅を起点に大和路線の久宝寺駅にいたるまで、大阪東部を南北に走る新路線である。旅客輸送を行うため、城東貨物線(片町線支線)の施設や用地を活用しながら、複線化・電化を行うとともに淡路駅(仮称)から新大阪駅までの連絡線を新設し、新大阪駅から大阪東部地域を経て大和路線の久宝寺駅にいたる旅客線として整備が進められている。
 途中には、大阪中心部から放射状に拡がる阪急千里線・京都線、京阪本線、学研都市線、地下鉄御堂筋線・谷町線・今里筋線・中央線、近鉄奈良線・大阪線と相互に連絡しており、この地域の南北流動と都心部へのアクセスの向上を図るとともに、都心部に位置する各ターミナル駅への旅客集中を緩和させる効果が期待される。また、JR線との連携を深めることで、関西圏での広域鉄道ネットワークの充実が一層図られることになる。すでに平成20年3月には放出から久宝寺間が開業している。

▲JR吹田駅北口再開発 ▲大阪竜華都市拠点土地区画整理事業

活気あふれるまちづくり

この大阪東部地域では、都心部に近い利点を生かし、既成市街地の再生や都市機能の拡充によって、新しい街づくりが進められている。おおさか東線は、こうした高いポテンシャルを有する拠点地区を相互に結びつけることで、各駅周辺を中心とした活気あふれる街づくりを促進し、沿線地域をより便利に、より豊かにする路線としても大きく貢献している。
 整備に当たっては、既存の鉄道施設(盛土、橋梁等)を活用しながら複線化・電化工事を進めており、放出〜久宝寺間における盛土区間では、既存の盛土を拡幅し、高架区間では既存の高架橋の横に同規模の単線高架橋を新設した。また、連続立体交差事業区間では、新たに複線高架橋を新設している。
 中でも注目される工法は、押出し工法と呼ばれるもので、JR俊徳道駅付近の道路をまたぐ工事については、道路の上空に線路を少しずつ延ばす工事工法が採用されている。

▲淡路駅周辺地区土地区画整理事業 ▲東大阪新都心整備ル

また、周辺環境への影響をできる限り小さくするための工夫も行われている。例えば、急カーブや分岐器部を除く箇所では、騒音・振動の少ないロングレールや、弾性まくらぎ直結軌道を採用している。また、消音バラストの散布や、必要に応じた防音壁や既設橋梁の防音対策も行っている。
 一方、利用者の利便向上に向けて、すべての人が利用しやすい駅づくりを目指しており、エレベーターとエスカレーターの設置(全駅)、わかりやすい案内表示の整備、(音声案内、点字案内板を含む)、誘導・警告ブロックの整備、多機能トイレの設置(可動式手すり、オストメイト対応設備など)など、施設面でのサービス向上にも努めている。

▲押出し工法の事例(2004.9.6) (2004.10.22)

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