建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年3月号〉

interview

地域企業が地域の雇用を守っていけることが最も大切

――豪雪地帯の通年通行の確保へ〔後編〕

北海道 後志総合振興局 副局長(建設管理部担当)
桶田 謙一 氏


──ところで、6月に現職に就任されましたが、管内についてはどんな印象を持ちましたか
桶田 この管内は観光と農業、水産が主力産業となっており、それぞれを中心とする3つの地域で構成されていますね。そして、市町村間の距離が遠い。
──市町よりも財政基盤の弱い村が多いので、道への要望事項も多いのでは
桶田 いまの要望の中心といえば、やはり泊原発ですね。また、豪雪地帯でもあるので、通年通行の確保への要望もあります。峠が多いので通行止めになったりしています。
──地域の除雪体制は、どのように構築されていますか
桶田 建設管理部の出先である出張所ごとに、組合を組織しています。
──豪雪地帯なので、冬場の観光客も多いですね
桶田 夏と冬では別の場所と思えるほど異なる印象があります。外国人の観光客も多いので、比羅夫地区などの勾配のきつい坂道などにはヒーティングを敷設しています。
 今後、高規格幹線道路網として余市-黒松内間が開通するようになれば、そこにアクセスするためのインター線も検討されるようになるでしょう。
──将来展望は描かれていますか
桶田 地域を良くしたいと思っています。地域の企業が地域の雇用を守っていけることが、最も大切で、人が働くことができて、災害にも強いまちであることが必要です。人がいて働く場もあり、活気が生まれれば、外部からも人が来るようになります。
──雇用機会の源となる公共投資が削減され続けてきましたが、一方では老朽化した土木施設も増えてきたのでは
桶田 今後はそれらの補修工事が、大きな仕事となっていく可能性はあります。しかし、それは一過性の飛び飛びの仕事でしかないので、企業側としては利益率が上がらないのが現実ですね。
──一方、管内で無視できないのは泊原発の存在ですが、福島原発事故を通じて管内の住民の意識も変わってきたのでは
桶田 そうですね。関係町村の位置づけは専門委員会の提言を受けて決まっていくでしょう。私たちは、それに従ってインフラ整備を実施することになります。先頃の専門委員会でも避難道が論議されていたので、何らかの事業計画が策定され、それに基づいて実施していくことになります。
 以前より4町村からは、避難道として既存の道道の改修への要望もあります。例えば袋小路になっている箇所もあるので、それを解消してほしいとのことです。どのような計画もトンネルが多く、費用がかかります。
──最後に、現業に携わる技術職員の今後の教育方針について、考え方をお聞きしたい
桶田 技術管理課に在席していた時に、職員が通信教育を受けて資格を取得しようとする場合には、道として費用を半額補助する制度を創設したので、職員は大いにそれを利用して欲しいと思います。
▲尻別川堤防除草(喜茂別町)

桶田 謙一 おけた・けんいち
昭和29年3月30日生まれ 泊村出身
昭和53年1月 札幌土木現業所美唄ダム建設事務所職
平成 6年4月 土木部総務課主査(計画)職
平成 7年6月 土木部管理課開発推進係長職
平成10年4月 網走土木現業所工事契約課主幹職
平成12年4月 札幌土木現業所工事契約課主幹職
平成14年4月 建設部建設管理局技術管理課主幹職
平成17年4月 (財)北海道建設技術センタ−企画研修部長職
平成20年4月 建設部建設管理局技術管理課長職
平成23年6月 現職


HOME