建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年2月号〉

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市立札幌病院の精神科病棟増築(38床分)が完了

――平岸静療院成人部門の統合で身体合併症を有する精神科患者に対応

市立札幌病院 精神科病棟増築

▲外観完成イメージ

市立札幌病院の精神科病棟増築工事が竣工を迎えた。この事業は2009年3月に策定された「市立札幌病院新パワーアッププラン」に基づくもので、民間精神科病院では対応が難しい身体合併症を有する精神科患者のため、従来の静療院成人部門を本院へ統合したもの。これにより精神科救急・合併症医療への対応が可能となった。
 その設計に当たっては、動線の円滑性を確保するため、本院と連絡する外来患者動線、看護動線、医器資材動線、給食動線の主階を2階に設定した。計画病床は38床で、このうち8床は合併症対応の個室、差額ベッド対象室2床、さらに他の病室もレイアウトの許す限り個室中心の構成とした。また病棟の観察室は透析対応として給水・排水対応も行う。
 病院外来動線は本院2階から渡り廊下で接続し、救急車両アプローチは敷地内構内道路より受入。本院への渡り廊下は各棟と別棟にする。また、建物基礎は本院ドライエリア躯体に干渉しないものとし、施設面積は精神科棟RC 4階 約3,000uとなった。
 敷地が縦長であるため、東西採光として病室をレイアウトし、構内道路から連続する救急車両寄り付きを設けている。本院ドライエリアと本院側建物基礎の間には余地を設け、1F部分をピロティ空間として既存排水等の配管処理スペースとした。
 施設構成は病棟、外来、管理の3つの部門に大別され、本院からの患者・職員・給食・物流の動線連続性に留意し、1階は救急処置室関連のほか、医局他管理部門を配置。2階は本院との動線接続の主階として、診察室、処置室などの外来部門を配することで、一般外来動線と救急患者の病棟への搬送や管理動線との交錯が無い断面構成とした。3・4階は2層を1病棟として配し、ナースステーション間は専用階段で連絡。
 病室は38床を確保しつつできる限り個室化したが、不足分は4床室とした。合併症等に対応するため、ベッドレイアウトを回転してベッドの両側から看護できる周囲空間を確保する。病床奥行きの設定は敷地短辺寸法から階段等のレイアウトを考慮し、約5.3mとする。個室は洗面とトイレを併設することを基本とし、差額ベッド対象室はシャワー付としている。




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