建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年2月号〉

interview

総合評価方式は本気で工事を施工したい業者に絞られる

――優秀な技術者を現場に投入すると高くなる〔中編〕

北海道 後志総合振興局 副局長(建設管理部担当)
桶田 謙一 氏


──基礎的な技術については、共有知材として継承されていくのでは
桶田 それも今後はTPPによって、どのように変化していくかです。総合評価方式はあくまで入札・契約の方式ですから、工事の技術とは別の場合があります。  以前に見た土木学会の「技術公務員の役割と責務」では、直営時代はプレーヤーの時代、その後、設計・施工とも外注した監督の時代となり、そして、新たな役割分担をして良質な公共調達を行うコーディネーターの時代となってきました。今後は、さらに調達分野においてどんな変化があるのかですね。さらに、調達後の品質の問題は何に結びついていくのか、まだまだ課題は残るかも知れません。
──年間の契約件数は膨大ですから、すべてに適用するのは時間がかかりますね
桶田 発注者、受注者ともに手間がかかります。そこが総合評価方式の課題です。そのために簡易型の総合評価方式を用いるわけです。しかし、それでもチェックに手間暇はかかります。そのため、指名競争にして欲しいとの要望があるのは事実です。  実際にイギリスなどでは、1965年から指名競争入札が基本です。英国政府のバンウェル委員会で一般競争入札では課題があるので、指名競争入札を中心にすることになりました。しかし、日本では指名競争にはなかなか後戻りできません。
▲ふれあいの街ボランティア活動状況(真狩村)
──一つの工事案件に数十社が入札参加するとなると、さらに契約事務は煩雑になりますね
桶田 この小樽管内の工事でも、大規模の工事では20社くらいが参加しますから、札幌管内ではさらに多いのではないでしょうか。過去には総合評価方式の導入を渋る声もありましたが、しかしそれを一般競争入札でやれば、もっと参加業者数は増加します。中には、深い考えもなくただ参加する業者もあるかも知れません。その意味では総合評価方式は、本気で工事を施工したいとの意欲ある業者に絞られるという利点はあります。
──中には、落札比率が逆転するケースもあるのでは
桶田 そういう事例もあります。逆転比率でみると、2、3割はあったかも知れません。
──評価の高い会社は、どこがポイントになりますか
桶田 この方式の中には、技術者に評価点数が付けられます。現場代理人の表彰実績やCPDSの受講経験の有無などがポイントで、そうした技術者を現場に投入することで、現場の評価点数も高くなるのです。したがって、企業としてはそうした人材をどの現場に投入していくかが、受注競争における戦略となります。(以下次号)

桶田 謙一 おけた・けんいち
昭和29年3月30日生まれ 泊村出身
昭和53年1月 札幌土木現業所美唄ダム建設事務所職
平成 6年4月 土木部総務課主査(計画)職
平成 7年6月 土木部管理課開発推進係長職
平成10年4月 網走土木現業所工事契約課主幹職
平成12年4月 札幌土木現業所工事契約課主幹職
平成14年4月 建設部建設管理局技術管理課主幹職
平成17年4月 (財)北海道建設技術センタ−企画研修部長職
平成20年4月 建設部建設管理局技術管理課長職
平成23年6月 現職


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