建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ〉

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特定建築者制度と立体道路制度を利用

――幹線道路を内包し周辺地域にも貢献する大規模複合施設として計画

東京都都市整備局 環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業V街区(虎ノ門街区)


▲完成イメージ図(日比谷通り側より) ▲完成イメージ図(U街区側より)

立体道路制度は土地利用の合理化を図るため、道路の区域を立体的に定め、道路施設として必要な空間以外の空間利用を自由にすることで、道路上下に建築物を建設可能にした制度。これによって、民有地内にも道路を整備することが可能となるなど、用地確保の困難な過密都市にとっては極めて有効なシステムである。V街区では環2本線の地下トンネルの上下部に建物を重ねることで、内部を環状2号線が通る画期的な建物となり、敷地の有効活用が図られている。
 こうした制度を活用し、V街区は17,069uの敷地に高層部と低層部からなる建築物が施工されている。店舗、住宅、オフィス、文化・交流施設、駐車場で構成される複合施設で、地上52階、地下5階、高さは247mに達する。住戸数は172戸で、駐車場は544台が収容可能だ。

▲全体計画図
▲配置図

 当初の計画では4棟が建築予定だったが、権利者から寄せられた要望に応え、さらなる良好な生活空間や生活再建のあり方を検討した結果、施設建築は2棟に減らし、広場を大きくする等の都市計画変更を行い、平成20年12月に事業計画の変更、平成21年3月に第三工区の管理処分計画が決定された。
変更後の計画では、約6,000uの広場を設け、良質な屋外空間としての機能を強化し、一部には大屋根を設置して、降雨や日射に影響されない空間を創出して利便性を高めることになった。また、文化・交流機能(ホテル、カンファレンス)の導入を図り、国際交流や観光都市の推進に貢献するほか、街区北側には歩道状空地を新設し、良好な歩行者空間を創出することになっている。
 平成21年9月に特定建築者として森ビル鰍ェ決定して以降、設計は日本設計、施工は大林組という体制で整備が進められている。建築工事は平成23年度に着手し、26年度の竣工を予定している。
 東京都は環状2号線新橋・虎ノ門間で、道路整備と合わせて沿線の再開発事業を進めており、現在は虎ノ門にあるV街区で、特定建築者制度と立体道路制度を利用した複合施設の建築を進めている。
 この再開発事業の特徴は、特定建築者制度と立体道路制度を活用したことである。特定建築者制度とは、事業者が計画した施設建築物の建築と保留床の処分を民間企業などが代行するシステム。企業の資金力とノウハウを活用することで、より魅力的で処分性の高い建物を建築できることが利点である。特定建築者は公募によって選任され、V街区の場合は森ビル鰍ェ選任されている。

▲施設構成イメージと断面イメージ図



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