建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年12月号〉

寄稿シリーズ 現場代理人の目

建設現場の最前線から
〜北海道建設部 網走建設管理部・稚内建設管理部編




 建設現場は現場代理人をトップに、多くの作業員、重機オペレーターらが、専門的知識と技能をフルに発揮する技術者たちの晴れ舞台でもある。だが、現場は常に平坦な場所とは限らず、寒風吹き荒れる野ざらしの現場や、目のくらむ高所や陽光の届かない地下、坑内の場合もあり、危険も伴うために一般者が立ち入ることは出来ない聖域だ。そうした人目から隔離された建設現場の様子を、最前線で陣頭指揮にあたる現場代理人の寄稿を通じて紹介する。

網走建設管理部


●小石川広域河川改修工事(河川トンネル)
  大林・大豊・宮坂特定建設工事共同企業体 北見JV工事事務所 所長 広尾 俊幸


稚内建設管理部


●須古頓漁港 水産生産基盤整備工事1工区
  藤・荒井・菅原 経常建設共同企業体 現場代理人 瀧谷 哲

●雄忠志内漁港水産生産基盤整備工事
  中田・藤・坂本特定建設工事共同企業体 現場代理人 野本 和弘

●頓別川広域河川改修工事(栄和地区)(補正)(繰越)
  田中建設株式会社 現場代理人 二木 幸嗣郎

●雄忠志内川砂防工事1工区
  坂本建設株式会社 現場代理人 浅沼 比呂志

●目梨泊漁港水産生産基盤整備工事
  安田・渡辺経常建設共同企業体 現場代理人 若松 勝義

●船泊港利礼公園線 特改1種工事(道州)
  共成・タカハタ経常建設共同企業体 現場代理人 堀口 良幸

●23年災0023号知来別漁港災害復旧工事
  丹羽・廣野経常建設共同企業体 現場代理人 山田 正治

●浜鬼志別漁港水産生産基盤整備工事
  ササキ・草別経常建設共同企業体 現場代理人 石原 卓也

●沼の沢川砂防工事
  山本・高木経常建設共同企業体 現場代理人 西垣 茂

●乙忠部漁港水産生産基盤整備工事1工区
  佐藤組・寺沢・三洋経常建設共同企業体 現場代理人 北島 弘一

●アフトロマナイ川砂防工事
  早坂・北武・道北土建 経常建設共同企業体 現場代理人 保田 惠市







小石川広域河川改修工事(河川トンネル)

小石川広域河川改修工事(河川トンネル)
大林・大豊・宮坂特定建設工事共同企業体

北見JV工事事務所 所長 広尾 俊幸

私たち大林・大豊・宮坂特定建設工事共同企業体は、北海道オホーツク総合振興局網走建設管理部発注の「小石川広域河川改修工事(河川トンネル)」の施工を担当しています。
 小石川は北見市北部に源を発し、北見市中心市街地の北東部を流下して入馬川を合流した後、常呂川に合流する流路延長8.0kmの一級河川です。小石川ではこれまでに市街化の進展と発展に合わせて整備を行ってきましたが、都市化が進むことで整備した下水道雨水幹線の処理能力を超えてしまい、近年は台風等によりたびたび氾濫し被害を受けているため、新水路の河川改修事業が始まりました。
 計画の策定に当たっては、国・道・市において協議検討した結果、小石川河川改修事業の一環として市街地の地下を通る河川トンネルを建設することになりました。
 小石川河川改修延長(4.8km)のうちのトンネル区間719m(シールドトンネル:509m、開削トンネル:210m)の新しい河川であり、当該工事ではトンネル部をシールド工法にて施工します。トンネルの規模は延長509mで仕上がり内径は6.1m。トンネルに河川水を取り入れる呑口部と、トンネルから開渠区間へ河川水を吐き出すための吐口部より構成されています。
 工期は平成22年12月に着工し、平成25年6月の完成予定です。現在、発進立坑の掘削が完了し、来年2月からシールドマシンの現地組立が始まり、4月に発進する予定です。
 発進基地の周辺には大学や住宅・IT企業等が立地している状況ですが、掘進工事は昼夜での施工となるため、発進基地内には防音ハウスを建てるなど、周辺環境に十分に配慮しながら工事を進めていきます。








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須古頓漁港 水産生産基盤整備工事1工区

藤・荒井・菅原 経常建設共同企業体
現場代理人 瀧谷 哲



当工事は、須古頓漁港港内及び航路の静穏性を高める事を目的として、平成20年度から工事を着工しております。礼文町船泊港製作ヤードでブロックを製作し、それを160t吊起重機船に積込み、須古頓漁港までの4.1kmを海上運搬して据付ける工事です。  須古頓漁港の施工箇所は、南西からの風向で凪る場所ですが、船泊港から出港する時は向かい風となる事で海象条件が厳しく、また製作したブロックを仮置するスペースが少ない為、据付作業が遅れる事で製作がストップする事が懸念されましたが、今年度は、海象状況も良く、無事故で現場工事を10月で完了する事が出来ました。  須古頓漁港利用者(漁業者)からも、港内の静穏性が良くなったと喜ばれ、私自身も工事目的を達成していると実感しております。



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雄忠志内漁港水産生産基盤整備工事

中田・藤・坂本特定建設工事共同企業体
現場代理人 野本 和弘



当漁港は、春から秋は利尻名産のコンブ・ウニ漁、秋から冬は鮭・ホッケ・なまこ漁と1年を通じて活気のある漁港です。  しかし、港の構造上、北から北東方向の波浪が港内に進入するため、荷揚げ作業では船体が揺れ・悪天候時の安全な船の係留も厳しく、漁港利用者の方は大変苦労されている漁港でもあります。  これを解消すべく、本工事は既設北防波堤北北東70m沖合に外防波堤を新設して、港内に進入する波浪を低減させ、静穏性を向上させる事を目的とした工事です。  施工箇所は水深-15.0m〜-18.0mから-10.0mまで基礎捨石、場所打式本体工、根固め・被覆ブロック据付、消波ブロック据付の順に行いました。施工中は風向が変わると波が立つ箇所なので、天候の変化には特に注意しながらの施工となりました。  この事業は今年度が初年度となり、完成に至るまではまだ数年かかりますが、完成後漁港利用者の方々の安全作業と船舶の安全な停泊が出来るよう図っております。今後も地域産業の発展を願いつつ、携わって行きたいと思っております。



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頓別川広域河川改修工事(栄和地区)(補正)(繰越)

田中建設株式会社
現場代理人 二木 幸嗣郎



当工事は、河川の氾濫を未然に防止することを目的とした浜頓別町字下頓別における頓別川の河川改修工事です。  主な工事概要は、河川土工(高水敷掘削V=100,570m3)及び護岸工(コンクリートブロック工A=1,923m2、法枠工A=964m2)を施工しました。  当工事での課題は、頓別川がサケ・マスの遡上河川であるため、濁水流出防止と護岸工の早期施工完了でした。実際施工してみると仮締切の変更等があり、発注者の迅速な対応で無事竣工することができました。また、地域の方々のご理解を得て施工できたことに感謝しています。




▲連結ブロックの敷設状況 ▲改修工事後の状況


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雄忠志内川砂防工事1工区

坂本建設株式会社
現場代理人 浅沼 比呂志



当工事は平成元年9月の集中豪雨により土石流が発生し、河道部から多量の土砂が海岸部に流出しました。  幸い、完成直後の砂防えん堤の効果により、甚大な被害の発生は免れたものの、次期出水で地域経済や漁業資源に多大な被害が懸念されることから、地域住民の生命、財産、公共施設などを守るため砂防設備の整備を行うのが目的です。  私達が施工する雄忠志内川砂防工事1工区は、2箇所の既設えん堤をスリット化に改良して土砂の補足機能の向上をはかる工事です。  施工期間・箇所は冬期間・山間部ということもあり、非常に厳しい作業環境ではありますが、施工品質の確保と無事故・無災害を目標に勤めてまいります。



▲コンクリートブロックの取り外し状況




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目梨泊漁港水産生産基盤整備工事

安田・渡辺経常建設共同企業体
現場代理人 若松 勝義

私達は、目梨泊漁港水産生産基盤整備工事を行いました。本工事は漁港内の静穏性の向上を目的とし、既設の外防波堤を延長する工事です。  本体構造は基礎捨石を施工し、水中コンクリート(2段打ち)、上部コンクリート(2段打ち)を行ない消波ブロック(50t型及び80t型)を使用しております。  本漁港では枝幸町の主要水産物であるホタテ貝や鮭等が水揚げされており、港内の静穏性向上により船体動揺を低減させることで、漁獲物の陸揚げ作業時の安全性が向上するとともに、防災機能強化により海上の悪天候時、船舶が安全に停泊できる漁港とするための整備を図っています。




▲消波ブロック据付 ▲水中コンクリート打設


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船泊港利礼公園線 特改1種工事(道州)

共成・タカハタ経常建設共同企業体
現場代理人 堀口 良幸

私たちは、船泊港利礼公園線特改1種工事(道州)を担当しています。  本現場の主たる工事である法枠工は、斜面の安定を図るため切土法面整形後の法面に、格子状に型枠を設置し、内部にコンクリートを吹き付ける工法です。  また、法枠内は緑化を目的として、植生工の処理を施しています。 冬季に向かっての施工となり強風・豪雪の季節となるので、細心の注意を払って施工するために企業体・専門業者と一丸となって、無事故で工事竣工を目指します。









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23年災0023号知来別漁港災害復旧工事

丹羽・廣野経常建設共同企業体
現場代理人 山田 正治

私たちが担当する知来別漁港は、猿払村を代表する水産業のホタテの一大生産基地であり、漁船の大型化等に伴い漁港施設の充実が望まれています。  平成22年の大時化により西護岸が被災したので、今年度は被災部分の災害復旧工事を施工後、西護岸、道路、物揚場、導流提と施工していきます。  漁港内を知来別川が流れており上流には鮭の捕獲場があり、また施工場所のそばには民家があることから、環境に配慮した施工を心がけております。  これからが本格的な施工で気象条件が非常に厳しい時期となりますが、安全管理に十分留意し工事完成にむけ日々努力しております。










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浜鬼志別漁港水産生産基盤整備工事

ササキ・草別経常建設共同企業体
現場代理人 石原 卓也

私たちは、平成23年度浜鬼志別漁港水産生産基盤整備工事を担当させてもらいました。  この工事は北海道を代表するホタテの産地である宗谷郡猿払村浜鬼志別漁港の基盤整備工事であり外洋からの波浪を防ぎ港湾の内部を安静に保つ事を目的として、捨石を基礎としたコンクリートブロックによる防波堤を沖合に新設中です。  当工事期間中は、ホタテ漁が最盛期であった為に、漁船の入出港・荷揚げに対する配慮を行い、その上で工程が遅れないよう、各関係者との連絡を密にとって安全に進めて行きました。  よって、10月末には、漁業関係者の協力もあり工事を完成する事が出来ました。これからも、住民が安全・安心に利用できる施設をめざして、地域の発展に貢献する事に努めて参ります。







▲完成(当工事L=20.0m) ▲捨ブロック据付状況


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沼の沢川砂防工事

山本・高木経常建設共同企業体
現場代理人 西垣 茂

沼の沢川砂防工事の施工場所は、利尻島の北側に位置している沼の沢川で、1号導流堤(施工延長L=272m)及び護岸工(L=31m)を新設する工事となっています。  工事の内容は他工事(雄忠志内川砂防事業)より発生した残土を有効利用するため、NETIS登録されている自走式土質改良機を現場内に設置して、セメントと攪拌されたソイルセメントを平均高2.5mの高さで盛土する工事です。  工事完成後には島民を土砂災害から守る構造物となるため、誠心誠意をもって施工しております。11月10日現在の進捗率は島民及び現場周辺の皆様のご協力もあって90%まで完成しております。  工事も終盤を迎え無事故・無災害で完成させたいと思っています。









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乙忠部漁港水産生産基盤整備工事1工区

佐藤組・寺沢・三洋経常建設共同企業体
現場代理人 北島 弘一

私達は、枝幸町乙忠部漁港の整備工事を施工しています。  乙忠部漁港は、昭和42年に第1種指定漁港として、サケ定置網・タコ・ナマコ・ホタテ桁曳網・ホタテ稚貝の養殖などを営む、地域沿岸漁業の水産基地となっております。  漁港内、船揚場の用地不足解消のため、新設により北護岸・北防波堤内の浚渫・整備を行い、搬入道路供に14,400m2の漁港となります。また、縦レール145.6m・横レール約70mの3条の軌条工により、漁船保管用地が近年の漁船大型化にも適応出来る船揚場となります。  東防波堤内からの漁船の出入れにより、港内は奥まったスペースとなり、今まで以上の安全性・効率的な作業が確保出来るようになります。  漁協組合員の方々の対応も協力的で、早期完了によりすみやかに使用出来る様、完成を目指します。





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アフトロマナイ川砂防工事

早坂・北武・道北土建 経常建設共同企業体
現場代理人 保田 惠市

私達が受注施工している工事は、アフトロマナイ川砂防工事です。平成5年に砂防工事として、本格的に着手されました。当該アフトロマナイ川は、土石流危険渓流で、その渓流は土砂災害危険個所に指定されており、近年では平成19年に土砂災害が発生しております。  また過去には、平成1年と平成2年の集中豪雨で土石流が発生し、利尻島東部に甚大な漁業被害が発生して、利尻島の基幹産業である漁業に大打撃をあたえました。  本工事は近年の異常気象に対する備えを万全とするため、すでに着手、完成している4号導流堤・5号導流堤の改良工事と、1号・2号の二箇所の分散工の設置を施工し、3号分散工・7号床固工の改良を施し、更なる安定性を保つための工事です。設計図を基に企業体はもとより、協力会社とのタッグで日々尽力しております。  本工事も完成に近づいてきておりますが、島の重要な基幹産業の一つである漁業の保護と、地域経済の更なる発展を期して、残りの工事を施工していきたいと思っております。


▲コンクリートえん堤工(嵩上げコンクリート打設) ▲砂防土工(ソイルセメント工)


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