建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年11月号〉

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我が国初“アイヌ民族舞踊専門劇場”が誕生

――アイヌ文化の伝承・保存・普及と地域観光の促進

釧路市 阿寒湖アイヌシアター イコ 新築工事

▲完成イメージ

阿寒湖温泉地区は、阿寒国立公園内の阿寒湖畔に位置しており、東北海道を代表する温泉観光地である。
 開湯は明治の初め頃とされており、発見当初はアイヌの人々が利用する温泉であった。
 昭和9年12月に「森と火山と湖」の多様な自然を内包している公園として国立公園の指定を受けており、それ以降、「阿寒国立公園」の観光拠点として発展してきた。
 昭和34年には、阿寒湖温泉アイヌコタンが成立し、昭和49年には、阿寒湖アイヌ民族文化保存会が設立、昭和59年には、古式舞踊が重要無形民俗文化財に指定、平成21年には、ユネスコ世界無形文化遺産に登録された。
 「阿寒湖アイヌシアター イコ」は、我が国初のアイヌ民族舞踊専用劇場であり、アイヌ文化の伝承・保存・普及、地域観光の振興、国内外の文化交流促進を目的に設置され、運営は地域の運営協議会が担うことになっている。
 現状演目の古式舞踊、ユーカラ劇、イオマンテの火まつり上演と自主事業であるアイヌユーカラの人形劇等を上演する予定である。
 建物の特徴は、アイヌ民族の自然の神である「火」と「水」を活用した演出に資するため、昇降式のかがり火装置や水路を常設しており、会場内では、かがり火が燃え、水路には丸木舟が浮かぶ設定になっている。
 また、客席ホールには332席の固定席、幅14m、奥行8.9mの舞台及び舞台と客席の間には、かがり火の回りを取り囲むように観客の踊りスペースも設けられている。



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