建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年11月号〉

ZOOM UP

風が通り光を感じる豊かな教育環境を創出

――自然と町なみを眺望できる優れた立地条件に着眼

神奈川県 川崎市立 百合丘小学校改築工事

▲外観完成イメージ(鳥瞰パース)
▲校庭より「ゆりっ子森」を望む

川崎市が改築を進めている百合丘小学校は、「風が通り、豊かな環境を享受する学舎」を基本理念としている。地域の財産であるゆりっ子森や高台の立地を活かし、風や光を取り入れ、児童の成長と共に、様々な展開を感じることができる施設構成を目指して計画・設計された。
 そこで、施設を「北普通教室棟」「南普通教室棟」「東特別教室棟」「体育館棟」と、それぞれに特徴のある4つの棟で構成し、配置は「わかりやすいゾーニング」とするため、中央に配した廊下を中心に各棟に移動する構造とすることで、ゾーニングを明快にしている。また、「地域開放時も利用しやすい施設」とするため、体育館に付属するように地域開放スペースを配置し、特別教室を1棟にまとめることで、地域開放の際にも分かりやすく利用しやすい施設構成とした。
 児童の教育環境と近隣に対し、日影や視覚的な影響を抑えるため、位置を現校舎と同じ敷地北側とした。現状の3ヶ所の門(正門、ビワ門、サクラ門)をそれぞれ整備し、児童や車両等の動線を明確に分離。校庭は現状と同等の広さを確保し、運動会や地域開放時の利用等に影響のない計画としている。
 平面計画としては、敷地が豊かな緑に囲まれ、高台にあることを生かし、学校生活の拠点となる普通教室を「南側」と「北西側」に配置することで、教室の窓から見える景色が変化する計画としている。この結果、南側校舎では「ゆりっ子森」を、北側校舎では高台から広がる町並みが眺望できることになる。
 また、全ての普通教室やオープンスペースを外壁に面する配置としたことで、風が通り、光を感じる教育環境を創出した。「東特別教室等」を「南普通校舎棟」と「北普通校舎棟」を結ぶ廊下に面して配置することで、できるだけ児童の移動距離を少なく抑えた。中央部分には、吹き抜けを設けることにより、上下階での児童等の動きを感じることのできる開放的な空間を創りあげている。



HOME