建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年8月号〉

寄稿

人的交流・物流促進と冬期間の交通障害対策で道路ネットワークの形成

留萌振興局 副局長 五十嵐 誠治

五十嵐 誠治 いがらし・せいじ
昭和53年4月 北海道庁採用(室蘭土木現業所)
平成16年4月 札幌土木現業所管理部長
平成17年4月 帯広土木現業所副所長兼企画総務部長
平成20年4月 建設部建設管理局建設政策課参事
平成22年4月 現 職

1市6町1村で構成される留萌管内は、北海道の北西部に位置しており、西側は日本海に面し、南北に長さ140km、東西に幅67kmを有する南北に細長い地域です。管内の面積は、約34百km2と鳥取県に匹敵する面積を有し北海道の総面積の約4.1%を占めています。管内には、昨年20周年という節目を迎えた「暑寒別天売焼尻国定公園」や、南北に続く夕日の美しい海岸線など豊かな自然を有するとともに、「留萌のニシン街道」、「増毛の歴史的建物群」、「天塩川」の北海道遺産等の観光資源に恵まれた地域であります。
 気候は日本海式気候で、4月下旬の雪解けとともに急速に暖かさを増し、夏季には風も弱く海も穏やかな気候ですが、冬期間は降雪量が多く日本海特有の強風による地吹雪が多発する厳しい気象状況にあります。
 管内の課題として、主要産業である農林水産業や観光及び、地域住民の皆様の生活を支える道路交通網は、日本海沿いを南北に縦断する国道231号、及び232号の基軸から上川、空知管内を結ぶ国道40号及び239号を補完する道道名寄遠別線及び小平幌加内線が東側の急峻な地形に遮られ、未だネットワークが形成されていない状況になっています。このため、広域の人的交流や物流の促進に向けて、道路ネットワークの整備が求められています。また、国道が海岸沿いを走るという地理的条件から、特に冬季の高波や地吹雪による交通障害が度々発生しており、緊急時や交通障害の発生時に国道を補完する道路網の整備が強く求められています。

▲豊富遠別線 局改工事(防雪柵)(ゼロ道債) ▲豊岬漁港 水産基盤(交付金)整備工事

留萌建設管理部は留萌振興局の内部組織として2年目を迎え、地域の社会資本を整備するとともに、適切に維持管理を行い地域の安全と安心を確保することはもとより、地域の課題を一体となって考え、地元の皆様のご期待と地域づくりという言葉の重みをかみしめてまいります。また、建設業の経営効率化に向けた取組みへの支援や施策の推進に引き続き努めるなど、地域の雇用や経済を下支えという公共事業の重要な役割をしっかりと担ってまいりたいと考えております。
 平成22年度の留萌建設管理部の事業を振り返りますと、国道40号と232号を補完して上川北部圏と留萌北部圏の短絡ルートを形成する開発道路名寄遠別線(遠別町)の事業が国から道へ移譲され、整備に着手しました。
 また、国道232号と239号を補完し「交通ネットワークの形成」を充実するため、霧立小平線宮下橋(小平町)の整備を促進し、達布石狩沼田停車場線(小平町)では線形改良が完了しました。さらに、小平地区から留萌市立総合病院への通院時間の短縮や国道の補完として長年整備を進めてまいり ました留萌小平線(留萌市・小平町)の事業を完了し、JR旧羽幌線廃止に伴い進めてまいりました力昼九重線(苫前町)の事業も完了しました。力昼九重線は本年4月22日に、留萌小平線については、5月17日に供用を開始しています。

▲豊富遠別線 防雪工事(防雪柵)(繰越) ▲幌糠小平停車場線 災害防除工事(幌糠大橋)(繰越)

治水事業としては、土砂災害から生活基盤を保全する幸の沢川砂防事業(小平町)の完成や漁業基地である岩老漁港(増毛町)で崩落の危険性のある岩盤の除去と法面の安定を目的とした再生交付金事業の完成や、海岸に隣接する家屋への越波による被害を防止するため、平成3年度から進めてきた真砂海岸侵食対策事業(小平町)が完了しました。
 また、昨年7月から8月にかけて発生した3度の局地豪雨により、道路、河川合わせて66箇所の管理施設に、約10億5千万円の災害が発生したことから、その災害復旧事業に着手しました。
 今年度の事業展開といたしましては、引き続き災害復旧事業の促進はもとより、「交通ネットワークの形成」をさらに充実させるため、名寄遠別線の事業を進め、冬期間の安全な道路交通の確保に向けた防雪対策として豊富遠別線外の事業を推進し、橋梁の長寿命化対策としての橋梁補修を幌糠小平停車場線外で継続して進めてまいります。また、治水対策が強く求められている古丹別川上流域や初山別川の整備促進、暑寒別川、番屋の沢川の砂防事業、留萌見晴地区の雪崩対策事業など、引き続き「安全で快適な地域づくり」を進めるとともに、管内の主要産業である漁業の振興を図るため「活力ある産業振興の基盤づくり」として、力昼漁港、豊岬漁港などで整備を継続して進めてまいります。
 本年度も、留萌建設管理部職員が一丸となって、広く地域のご要望をお伺いしながら、選択と集中の視点に立ち、良質な社会資本の整備を効果的に進めて行くことはもとより、海水浴・観光で管内にお越しいただいた皆さんにとっても、安全で安心な、また利用しやすい公共施設であるように、維持管理にも努めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。



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