建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年8月号〉

寄稿

北海道新幹線を見据えた高速交通網の整備と防災対策の推進

渡島総合振興局(建設管理部担当)
兼 檜山振興局 副局長 佐藤 義広

佐藤 義広 さとう・よしひろ
昭和31年6月生 剣淵町出身
昭和55年3月  北海道大学工学部卒
昭和55年4月  北海道庁採用(網走土木現業所)
平成13年4月  小樽土木現業所道路建設課長
平成15年6月  建設部土木局河川課主幹
平成16年4月  建設部建設管理局技術管理課主幹
平成19年6月  帯広土木現業所事業部長
平成21年4月  留萌土木現業所副所長
平成22年4月  留萌振興局留萌建設管理部長
平成23年6月  現職


はじめに、東日本大震災から4ヵ月を過ぎたところですが、亡くなられた多くの方々のご冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様のご心中、ご苦労をお察しし、心よりお見舞い申し上げます。
 この東日本大震災を契機に、改めて安心・安全な社会基盤整備の重要性を痛感している次第です。このため、災害に強い安全性の高い道路整備や総合的な治水対策、土砂災害対策などの推進が必要となります。また、平成27年度中の開業を目指す北海道新幹線や高規格幹線道路の整備と連動し、高速交通ネットワークの整備効果を最大限発揮するために必要な社会資本整備を促進していく必要があります。このためには、地域の皆様との連携が重要と考えており、折々の機会に各市町の皆様と意見交換しながら、災害に強い安心で安全な社会資本整備を行って参りたいと考えております。
 さて、函館建設管理部の平成23年度執行予算額は、約228億円(昨年度の最終補正予算を含み、今年度の2定補正後。)で、公共事業費が約201億円(道路課所管約112億円、治水課所管約89億円)で、単独事業費は、約27億円(道路課所管約16億円、治水課所管約11億円)となっております。

本年度の重点事業
▲3・4・2出雲通踏切除却工事(下部工)2工区
 道路事業では、北海道縦貫自動車道(道央自動車道)の落部〜森間が今秋に、森〜大沼公園間が平成24年度中に、直轄事業の函館・江差自動車道の北斗富川〜茂辺地間が本年度中にそれぞれ開通が予定されております。このため、函館建設管理部ではこれらの動きと連動して、道央自動車道では森インター線(森町)、大沼インター線(森町)の整備、直轄事業の函館・江差自動車道では茂辺地インター線(北斗市)の整備、函館新外環状道路では3・3・20放射2号線(函館市)の用地買収及び工事を促進します。
 さらに、着工6年目を迎えた北海道新幹線の新青森・新函館駅(仮称)間についても、新設トンネルが全地区着工され、明かり部での橋梁や高架橋などの工事も始まるなど、平成27年度中の開業に向け工事が進められております。
 このため、北海道新幹線関連では、開業後のまちづくりを支援するため、新函館駅(仮称)の新駅駅前通(北斗市)や木古内駅の駅前通(木古内町)の整備を促進します。そして、木古内駅と檜山方面とのアクセス機能の向上などを図るため、道道江差木古内線の新吉堀トンネル(仮称)(上ノ国町、木古内町)の着工に向けた調査を行い、道南地域の地域特性を考慮しながら高速交通ネットワークの整備を促進します。
 また、老朽化の進んだ函館上磯線の常盤川橋の架換工事を促進します。さらに、松前港線福山地区(松前町)の事業においては、道路の拡幅及び歩道の整備を促進します。
 街路事業では、函館上磯線(産業道路)の渋滞緩和のため3・4・47文教通(函館市)の早期完成を目指し、用地買収を進めるとともに、踏切渋滞の解消を図るため3・4・2出雲通(八雲町)の立体交差化を進めます。
 下水道事業では、函館湾流域下水道において、沈砂池ポンプ棟と幹線管渠の耐震補強を進めるとともに、既存の水処理施設等を更新します。

▲野田追川通常砂防工事 ▲太櫓川広域河川改修工事2工区

河川事業では、安全・安心な地域づくりに寄与するため、新たに中の川総合流域防災事業(知内町)で調査に着手するほか、久根別川(北斗市、七飯町)、木古内川(木古内町)、厚沢部川(厚沢部町、江差町)、太櫓川(せたな町)などの事業を促進します。
 砂防事業では、駒ヶ岳など火山地域における土砂災害対策のため、本年度新たに石倉川(森町)に着手します。また、荒廃渓流における土砂災害対策のため、新たに無名川(今金町)に着手するほか、子熊の沢川(北斗市)、パンケオイチャヌンペ川(今金町)などの事業を促進し、タンコウの沢川(上ノ国町)は完成を図ります。
 急傾斜地事業では、崖地における土砂崩れ等の対策を促進するため、本年度新たに知内市街地(知内町)に着手するほか、函館山背泊(函館市)など海岸線の急峻な崖の対策に努めます。

▲今金田代1急傾斜地工事 ▲日浦漁港地域水産基盤整備工事(補正)外(繰越)

河川局の海岸事業では、波浪による海岸の越波防止を目的として、松前海岸(松前町)、紋兵衛海岸(森町)、西浜海岸(八雲町熊石)などの護岸整備に努めます。
 漁港事業では、日浦漁港(函館市)、掛潤漁港(森町)、大中漁港(長万部町)、太田漁港(せたな町)の完成を目指します。
 漁港海岸事業では、津波・高潮対策を目的とする川汲漁港海岸(函館市)の完成を目指すとともに、静浦漁港海岸(松前町)や久遠漁港海岸(せたな町)などの高潮対策を進めます。



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