建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年7月号〉

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空見スラッジリサイクルセンター(仮称)計画概要

――来年で100周年を迎える名古屋下水道事業

名古屋市 空見スラッジリサイクルセンター(仮称)計画概要

▲完成予想図

1.名古屋市における汚泥計画概要

本市の下水道事業は、明治41年に着手以来鋭意整備を進め、平成24年には下水道供用開始100周年を迎えようとしている。平成21年度末現在では、人口普及率約98.8%に達しており、15の水処理センターで下水を処理(平成21年度末現在1箇所休止)し、3汚泥処理場(山崎・柴田・宝神)で汚泥の集約処理を行っている。
 一方、市民の水環境改善に対する要望の高まりや、名古屋港、伊勢湾などの閉鎖性水域における赤潮の発生原因となる窒素・りんの排出量の削減など、うるおいのある水辺空間の創出や公共水域の水質改善が求められている。このため、下水処理における高度処理の導入や合流式下水道の改善が求められており、これらに伴う汚泥量の増加に対して汚泥処理施設の増強が不可欠である。また、現在処理を行っている3汚泥処理場は、一部の施設を除き老朽化が著しく、施設の増強を視野に入れた改築更新事業を早急に進める必要がある。
 しかし、既設汚泥処理場はいずれも用地が狭いことや、周辺は宅地化が進んでいることから、現在の処理能力を維持した上での改築更新や、増強のための用地確保が困難な状況にある。こうした状況に対処するため、新たな場所において汚泥処理施設(空見スラッジリサイクルセンター(仮称))の建設を行うこととしたものである。
 なお、空見スラッジリサイクルセンターは、段階的に整備をすすめ、第1期整備規模としては本施設全体計画能力の4分の1相当を建設し、平成26年度の稼動を予定している。

▲施工エリア全景(南西面より撮影)


2.空見スラッジリサイクル センター計画概要

空見スラッジリサイクルセンターは、汚泥処理を行う施設であり、汚泥処理過程で発生する返流水は、本施設内で前処理をした後、宝神水処理センターへ送水して高級処理を行い、河川へ放流する計画である。  建設予定地西側には、数多くの野鳥が飛来する「藤前干潟」(平成14年にラムサール条約により登録)があり、周辺環境へ配慮した施設計画としている。また、焼却灰のリサイクルの促進及び廃熱エネルギーなどの活用を図り、循環型社会の形成に寄与する施設を目指している。


空見スラッジリサイクルセンター(仮称)築造工事を代表して

空見スラッジリサイクルセンター築造工事連絡協議会幹事
青木あすなろ・みらい・安井特別共同企業体
空見スラッジリサイクルセンター(仮称)受泥棟築造工事
所長 市毛 一宏

名古屋市の臨海部に建設中の『空見スラッジリサイクルセンター(仮称)築造工事』は6月現在7件の工事が施工中であり、土木・建築工事の最盛期を迎えております。  空見スラッジリサイクルセンター(仮称)築造工事は、埋立地に施工する関係上、基礎形式は杭基礎になり、大口径(Φ600〜Φ1000)、長尺(40m以上)の既製杭を中堀工法とプレボーリング工法を用い、地中に存置されている既設構造物を撤去してからの施工で、杭芯の精度の確保に留意して施工を行いました。  施工エリア西側にラムサール条約に登録されている『藤前干潟』があり、毎月開催される空見環境アセスメント会議(施主と請負業者合同)を通して工事起因の振動・騒音の抑制、水質保全、粉塵対策、搬出入台数の制限(生コン打設日の調整)等の対策調整を行いながら、周辺環境に最大限の配慮をして、施工をしております。  本年は例年より早い梅雨入りを迎え、昨年より熱い夏になるとの予測ですが、熱中症対策を始め、安全環境確保を最優先に考え、無事故無災害はもとより、工期内に、高品質なライフライン築造を目標に努めていきます。

計画諸元
【位置】:名古屋市港区空見町地内
【用途区域】:工業地域
【敷地面積】:約16ha
【計画処理汚泥量】:6,750m3/日(第1期)
【汚泥処理工程】:濃縮 − 脱水 − 焼却(第1期)
【主な施設】:管理棟、受電棟、受泥棟、汚泥棟、焼却炉棟、返流水処理施設、熱利用棟


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